公共交通の乗り換え地点のことを、交通結節点やトランジットセンターと呼ぶことが多くなってきました。このブログでも米国ポートランドの事例などを報告しましたが、最近は国内でもしばしば目にします。なおこの2つの言葉、交通結節点が文字どおり点というイメージなのに対し、トランジットセンターは機能を含めた面を示していると個人的に思っているので、ここでは後者を使います。

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まずは香川県を走る高松琴平電気鉄道(通称ことでん)琴平線の伏石駅です。2020年11月に開業したばかりの新しい駅で、今年11月にトランジットセンターがオープンしました。駅は高速道路の高松自動車道および国道11号線と交わる場所にあり、路線バスのほか、高松と徳島を結ぶ高速バスも乗り入れています。

これまで高速バスは当駅付近を通過していましたが、高松の中心市街地の渋滞で到着が遅れることがあったそうで、一部が中心市街地から離れた伏石駅に停車するようにしたそうです。同駅からことでんを使うと、県庁や市役所に近い瓦町駅まで7分で到達します。東京でも都心へ向かう高速バスの一部が手前の駅などに停車していますが、地方都市での実施は珍しく、今後の状況に注目したいと思っています。

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ブログで何度か紹介している栃木県の宇都宮ライトレールも、トランジットセンターを5カ所作る予定です。そのうちのひとつ、宇都宮市の清原管理センター前停留場では、隣接する工場から敷地の提供を受け、バスやタクシー乗り場などが整備されていました。写真は今年5月に撮ったものなので、今はさらに工事が進んでいるかもしれません。

ここからは宇都宮市に隣接する真岡市などに向かうバスが発着予定です。現在はJR東日本宇都宮駅と真岡市の間はバスで直結しているので、ライトレール開業後は乗り換えが必要になりますが、間を流れる鬼怒川の橋がしばしば渋滞したりするので、定時性ではこちらが上になりそうです。LRTの恩恵を受けるのは沿線だけではなく、周辺の広い地域に及ぶことが想像できます。

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複数の交通をつなぎ合わせ、便利で快適なものにする概念と言えば、MaaSが思い浮かびます。しかしデジタル技術を使って移動のシームレス化を目指しても、実際の乗り換えに時間が掛かっては効果半減です。ハードとソフトがともに高いレベルにあってこそ、真に使えるモビリティサービスになるはずです。MaaSを導入するのであれば、同時にトランジットセンターなどハードウェアのシームレス化にも目を向けてほしいものです。