2021年最後のブログになります。今回は日本でもいくつか導入事例が出てきた、徒歩や公共交通などでの移動でポイントやマイルが貯まり、商品の割引などが受けられるアプリを取り上げます。以前紹介した富山市のとほ活アプリもそのひとつですが、スマートフォン利用者の移動速度を位置情報機能で計測し、それをポイントやマイルに換算するという仕組みです。

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私の知る限り、この種のアプリは2018年に米国シリコンバレーで生まれたMiles、翌年フィンランドのラフティで導入されたCitiCAPあたりがパイオニアだと思っています。とほ活も2019年導入なので早いほうと言えるでしょう。このうちMilesは今年10月から日本でもサービスを始めました。さらに今月に入ると、全日空が自身のマイレージサービスとの連携もできるANA Pocketをスタートしています。

とほ活は外出促進による健康増進という目的から、徒歩や公共交通利用だけでなくイベント参加でもポイントを獲得できることが特徴です。CitiCAPは環境対策の一環で始まったので、移動手段を変えることでどれだけCO2排出量を減らせたかがポイントになります。MilesやANA pocketはこの2つの要素も含めてはいますが、ポイント活用アプリとしての側面もあると感じています。

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MilesとANA pocketについて獲得マイル数を紹介すると、前者は1マイル(約1.6km)あたり飛行機は0.1、自動車は1、鉄道・バスは3、自転車は5、徒歩は10マイルたまります。後者は1kmあたり飛行機が0.8、自動車が6、鉄道が8、自転車が20、徒歩が50ポイントです。レートはやや違いますが順番は同じで、どの乗り物が環境負荷が低いのかを教える点でも価値があると考えています。 

ただ、どちらも全国同一レートでの展開としていることは気になります。地域によって公共交通の普及の度合いには差がありますし、平坦な都市と坂の多い都市では選ぶ乗り物も違ってくるからです。仕事などで長距離移動が多い人はMilesやANA pocketのほうがありがたいかもしれませんが、地域の課題に真摯に取り組み、商店の宣伝などで地域振興にも役立つのはCitiCAPやとほ活のようなアプリではないかと考えています。

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もうひとつ気づいたのは、ここで紹介した4つのアプリには、経路検索や運賃決済といったMaaSの要素は入っていないことです。 経路検索には速さや安さだけでなく、環境や健康といった面を重視した結果を提示してもいいし、ひと月の移動の半分でこれらを選択すると特別の待遇が受けられるようなサブスクメニューがあっても面白いと思いました。

今年もTHINK MOBILITYをご覧いただき、ありがとうございました。来週はお休みとさせていただきます。2022年最初の更新は、1月8日を予定しています。良いお年をお迎えください。