北海道の知床半島沖で観光船が沈没して1週間がたちました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。一方昨日は、関越自動車道でのツアーバス事故から10年を迎えた日でもありました。どちらも観光輸送の最中に起きた惨事で、原因は異なりますが、無理な運行が事故を誘発した可能性が高い点は一致していると考えています。

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たしかに観光は、初めて訪れる土地であることも多いので、個々の交通事業者がどれだけ安全を考えているか、判断は難しいと私も思います。しかしながら実際に移動するのは、私たちの身近にもある、海や川や道路といった場所です。事業者の対策はもちろん大事ですが、それとともに利用者もできる範囲で安全性をチェックし、双方向からレベルアップしていくことが大切だと考えます。

そもそも安全はお金の掛かる対策です。他のサービスについても言えることですが、度を越した低運賃や平常運航などをアピールする事業者は、100%信用しないほうがいいと思います。利用する側も、自分たちの命を乗せて移動しているということを肝に命じていただき、選択眼を養うとともに、運賃や運航面での理不尽な要求は慎んでいただきたいものです。

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観光業界は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた業界のひとつです。それが無理な運行・運航を誘発することがないよう、まずは国が積極的に支える姿勢が重要です。対策に不足がある事業者に処分などを行うことも必要でしょう。しかし国が民間事業者に順位をつけたりはできません。利用者個人の選ぶ目もまた大切になってきます。

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*今回使用した写真はすべてイメージです

昨日から大型連休が始まりました。3年ぶりに行動規制のない大型連休ということで、国内各所に観光客が訪れています。また個人的には良いことだとは考えていませんが、急激な円安によって、海外からの旅行客が再び増加する可能性もあります。この流れに水を差さないよう、事業者と利用者がいっしょになって、観光輸送における安全とは何かを、もう一度考えていただきたいと思います。