道路交通法の改正案が先月衆議院で可決され、2年以内に施行されることになりました。今回の改正では電動キックボードなどについて、特定小型原動機付自転車(特定小型原付)というカテゴリーを新設することになりました。ニュースで報じられたので知っている人もいるでしょう。

IMG_4173

特定小型原付の最高速度は20km/hで、16歳以上であれば運転免許不要、ヘルメット着用は努力義務となるそうです。走行場所は車道・自転車道・自転車レーンですが、機械的に6km/h以下に制御された場合は、自転車通行可能な歩道も利用できるとのことです。自転車とは違って交通反則通告制度や放置違反金制度の対象にもなり、危険な違反行為を繰り返す者には講習の受講を命ずることにもなるとのことです。

従来の電動キックボードはシェアリング車両が小型特殊、販売車両が原付という2種類のルールがあったので、それに比べればわかりやすくなりそうです。しかしながら自転車のルールが曖昧で、それゆえの事故もある中で、運転免許不要の新しい乗り物が認められようとしている状況を前にして、もっと本気で交通安全教育をやるべきではないかとも思います。そこで今回はフランスの例を紹介します。

フランスの小学校では、道路に関するルールや行動、知識などを習得するAPER(初等教育交通安全証明書)という制度があり、中学校では歩行者・自転車・原付・自動車同乗者などの立場で自分の責任を自覚してもらうASSR(学校交通安全証明書)が2段階で発行されます。これ以外に学校に通っていない、あるいはASSRを取得していない若者のためのASR(交通安全証明書)、ASSRおよびASR試験を受けることができない視覚障害者のためのAER(交通教育証明書)もあります。

CL 20.031.004_0

つまり中学校卒業時点で、ほとんどの人が交通安全の基礎をしっかり叩き込まれています。もちろん自動車や二輪車の運転免許取得もASSRあるいはASRにパスしていることが条件です。ただし性能の低い原付や超小型モビリティ、たとえばシトロエン「アミ」などは、実技講習を受ければ運転可能です。これらの車両は免許不要と言われますが、実際はもう1段階免許があるような状況なのです。

今回の日本の改正道交法に当てはめれば、電動キックボードは16歳以上限定なので、ASSRあるいはASR取得者のみ乗車可能ということになるでしょう。交通安全に関する相応の知識を持っていると判断できるし、交通違反をした場合の処分もしやすくなりそうで、理に叶っていると思う人は多いのではないでしょうか。

ところで改正道交法では電動キックボードなどと表記されています。個人的には電動車いすへの適用も期待しています。日本では電動車いすは歩道走行が原則で、最高速度は6km/hとなっており、行動範囲が限定されるという不満も耳にします。欧米の一部では車道などに限り15~20km/h程度を認めていますが、それもフランスのような教育制度があれば納得できるという人が多くなるでしょう。

IMG_1324

フランスは誰もがいつでもどこでも,環境負荷をかけず,安全快適に移動できることを法律で定めた「交通権」を世界でいち早く認めた国として評価されていますが、一方でその権利を得るための義務も、国の方針として教えられているのです。新しいモビリティが続々と展開されつつある日本でも、こうした課程を取り入れるべきだと思っています。