今週は東北地方や北陸地方などで激しい雨が降り、各地で交通被害が出ました。なかでも福井県敦賀市と越前市の間では、これを書いている時点でJR西日本北陸本線、国道8号線、北陸自動車道のすべてが寸断されています。東北地方でも鉄道や道路が各所で影響を受けています。被害に遭われた方々に、この場をお借りしてお見舞いを申し上げます。

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その中で個人的に衝撃的だったのは、東北地方でJR東日本の米坂線と磐越西線の橋梁が、相次いで流されてしまったことです。冠水や土砂流入であればメドがある程度見えますが、橋梁の復活には長い時間を要します。以前ブログで取り上げた長野県の上田電鉄別所線の千曲川橋梁は、2019年10月の台風19号で流されてから、復旧まで約1年半を要しています。

鉄道は自動車に比べて車両がはるかに重いので、橋梁は頑丈に作られているはずなのに、なぜ最近相次いで流されるのでしょうか。頑丈ゆえに長い間使われていることが、目に見えない経年変化を生じさせているのかもしれませんが、それとともに技術が今ほど発達していなかったことも大きいのではないかと考えています。

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鉄道にせよ道路にせよ、新しいルートになればなるほど、長いトンネルや高い橋などを使い、山や川を避けたルートを設定できるからです。直線に近いラインで結べるのでスピードも出せます。私が乗った路線では秋田内陸縦貫鉄道がそうで、第三セクター移管後に開業した比立内〜松葉間は、全長5000mを超える長大トンネルのおかげもあり、つづら折れが続く国道よりはるかに早く移動できます。

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つまり鉄道も道路と同じように、最新技術を使って路線をアップデートしていくべきでしょう。それが前回取り上げた、今後のローカル鉄道を考えるうえで重要と考えます。もちろん相応の予算が必要です。国土交通省の鉄道関連予算が道路のそれに比べてあまりに少ないことは以前書いたとおりなので、予算を大幅に増やしたうえで、線路の維持管理は国や自治体が賄い、運行のみ民間企業に委ねる、いわゆる上下分離方式が望ましいのではないでしょうか。

個人的には、先週取り上げた国土交通省のローカル鉄道のあり方に関する提言が、後ろ向きの内容であることに不満を抱いています。鉄道は環境に優しく、大量輸送が可能で、定時性に長けているなど、今日の目で見ても魅力的なポイントを多く持っており、これらの点をもっと国民にアピールしたうえで、今後の方向性を示していくべきだと思うのです。

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1日に数人しか利用しない路線を鉄道のまま残すべきだとは思いませんが、前回のブログで触れたような通勤通学客が多数いる路線まで、黒字赤字という尺度だけで判断することには疑問を持ちます。物流を含めて考えれば、私たち人間同様、自分たちを支える骨格は維持すべきではないでしょうか。そのために必要なのはやはり、国の明確なバックアップだと思うのです。

*来週は夏休みをいただきます。次回の更新は8月20日の予定です。