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モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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燃費競争終焉なるか

自動車の燃費にちょっとした変化が起こっています。従来はモデルチェンジのたびにカタログ発表のJC08モード燃費が向上するのが当然でしたが、昨年末に発表されたマツダの新型「CX-5」は一部の車種で旧型よりモード燃費が低下しており、燃費競争の激しい軽自動車でも、今年5月に発表されたダイハツ工業の新型「ミライース」は旧型と同じ35.2km/Lとなっています。

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この件については東洋経済オンラインで記事にしたので、気になる方は目を通していただきたいのですが、従来のJC08モードに代わるWLTCモード燃費の存在が大きいと思っています。WLTCとは国連で議論されていた世界統一試験サイクルであり、日本では今年4月に導入が決定。来年10月以降に表示が義務化されます。

下は経済産業省と国土交通省が共同で作成した資料に掲載されていた、JC08モード(上)とWLTCモード(下)をグラフ化したものです。グラフのスケールがやや異なりますが、計測時間が長く、平均速度が高くなるとともに、加減速が多く、速度の上下幅が大きいことにも気づくのではないでしょうか。

JC08グラフ
WLTCグラフ
経済産業省のウェブサイト=http://www.meti.go.jp
国土交通省のウェブサイト=http://www.mlit.go.jp

つまりモード計測時にアクセルを踏み込む量が大きくなることを意味します。その結果ハイブリッド車や軽自動車、ダウンサイジングターボ車は現在より不利になるであろうというのが、複数の自動車業界関係者の予想です。必要以上にモード燃費を重視する傾向が、WLTCモードの導入によって薄れることが期待できます。

WLTCモードは市街地、郊外、高速道路という3つのパートに分かれており、トータルの数字とともに3つの数字が分けて表示されることも特徴です。先月発表されたマツダ「CX-3」のガソリン車はWLTCモード認可を先行して取得しており、カタログなどに掲載しています。個々のユーザーが使用状況に沿った選択をしやすくなるとともに、数字が4つになるので単純な数字競争も減っていくと予想されます。

CX-3燃費数値
マツダのウェイブサイト=http://www.mazda.co.jp

意外に思えるかもしれませんが、WLTCモードの制定を主導したのは日本だそうです。そういえば最近の我が国は、2輪車の排出ガス規制・騒音規制を欧州基準と同一とするなど、国際基準への同調が目立ちます。しかも新しい燃費モードは、従来のJC08と実燃費の中間ぐらいの数値になると言われています。世界統一基準への同調だけでなく、行き過ぎた燃費競争を是正する点でも歓迎できる動きです。

東京地下鉄運賃統一に必要なこと

下の写真は私が海外で使った公共交通の乗車券です。カード式が多いうえに、1日乗車券やプリペイド式乗車券を使う機会が多かったので手元に残っているようです。こうして海外で公共交通を使っていると、日本とくに東京との違いがよく分かります。少し前に東洋経済オンラインの記事にまとめたので、興味のある方はご覧ください。

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東洋経済オンラインの記事=http://toyokeizai.net/articles/-/176049

そこでも触れたのですが、 東京の鉄道が多くの事業者によって分割運営されていることは、1日乗車券を含め、国内外からの観光客にさまざまな悪影響を及ぼしています。その最たるものが、地下鉄の運営事業者が東京メトロと都営地下鉄の2つあることでしょう。駅へ行くと自分の路線網の料金表が中心に据えられ、もうひとつの地下鉄への乗り換えは連絡乗車券扱いになるというのは、なんとも理解しにくいものです。

海外にも複数の交通事業者が都市交通を運営する例はあります。そのひとつがシンガポールで、地下鉄に相当するMRT(マス・ラピッド・トランジット)と新交通システムのLRT(ライト・ラピッド・トランジット)が、SBSトランジットとSMRTトレインズの2社で運行されています。しかし運賃体系はひとつで、通常のきっぷで相手の鉄道会社の駅に行けます。フランスのパリもフランス国鉄とパリ交通公団が地下鉄や路面電車などを走らせていますが、運賃は一元化されています。

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東京メトロの山村明義社長が昨日の社長就任会見で、2020年をめどに都営地下鉄との運賃の一元化について協議していることを明らかにしました。お互いの路線を乗り継いだ際に発生する2度目の初乗り運賃をなくし、単純に距離に応じた料金とする方式が有力とのことです。その理由として外国人利用客などから「分かりにくい」との声が上がっていたことを挙げています。

東京の地下鉄一元化については、猪瀬直樹元都知事が積極的に取り組み、九段下駅の東京メトロ半蔵門線と都営地下鉄新宿線の間の壁を撤去するなどの実績を残しました。しかしその後の舛添要一都知事は問題に触れることもないまま辞任。小池百合子現都知事も東京メトロ社長の発言を受け、「効果や経営面への影響など分析を進めながら検討する必要がある」と言及するにとどめています。

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東京地下鉄一元化に慎重な立場を取ってきた東京メトロの新社長がこの問題に触れたのは、動かない自治体に業を煮やしたためもあると思っています。都市交通を前に進めるには自治体の力が重要であることは、国内外の多くの事例が証明してます。東京都が主導して問題解決を進めてほしいところですが、残念ながら明日投票が行われる東京都議会議員選挙で、この件に触れた候補者はほとんどいないようです。

中国サイクルシェア革命

6年ぶりに上海に行ってきました。日本や欧米の都市と比べると時の流れが速いので、6年前には開通していなかった地下鉄に乗ったりということもあったのですが、もっとも驚いたのは以前は見かけなかったカラフルな自転車が群れをなして置いてあったことです。

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実はこれ、サイクルシェアなのです。しかし日本や欧州のサイクルシェアのような決められたステーションはありません。上海にも以前、ステーションを持つサイクルシェアがあったのですが、見つけることはできませんでした。短期間でこちらに置き換わってしまったようです。

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利用者はあらかじめスマートフォンにアプリを入れておき、アプリを立ち上げると近くの自転車が表示されるので予約。ロックを解除して乗ります。番号を入力する方式とQRコードで照合する方式があるようでした。使い終わったら借りる時と同じような操作で、好きな場所で返却するというものです。

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特定のステーションを持たないシェアリングサービスとしては、ダイムラーのcar2goがあります。しかしcar2goを含めて既存のカーシェア・サイクルシェアはスマートフォンとは別に専用のカードを使ってロックを解除する方式が主流です。中国のシェアサイクルはスマートフォンだけですべての操作ができるのですから、圧倒的にスマートです。感覚的としてはライドシェアに近いものがあります。

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噂によればこの新世代サイクルシェア、そう遠くない将来に日本に上陸するそうです。放置自転車の取り締まりに厳しい日本の自治体が、ステーションを持たないシェアサイクルをどう扱うのか興味はありますが、欧米などで展開が始まれば従来型のサイクルシェアに影響を与えそうな気がします。短期間で新しいサービスを実用化まで持って行った中国の行動力に驚かされました。

外堀から埋めていくライドシェア

ライドシェアというサービスを考案した米国ウーバーのシステムを活用し、NPO法人「気張る!ふるさと丹後町」が運営する公共交通空白地有償運送(道路運送法施行規則第49条第1項第2号)として注目を集めた京都府京丹後市丹後町の「ささえ合い交通」が、5月26日で運行開始一周年を迎えました。

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ウーバーのウェブサイト=https://newsroom.uber.com/japan/kyotango-1yr-anniversary/

ささえ合い交通は、丹後町の住民がボランティアでドライバーを務め、自家用車を使って地域住民や観光客等を運ぶ公共交通です。スマートフォンやタブレットを用いて利用者が車両を呼んだり料金を支払ったりする公共交通空白地有償運送は、日本ではここが初めてとなります。

ウーバーによれば、毎月平均で60回以上の乗車があり、特に平日午前中の利用が多いそうです。約8割が地元住民の利用らしく、同じ京丹後市でスーパーや病院、役所などが集まる峰山町や網野町などへの利用がメインとなっているとのこと。ウーバーのアプリは世界共通であることから、海外からの観光客の乗車もあるようです。

地元の声に応えた改良も実施しています。昨年9月にはスマートフォンやタブレットを持たない人のために代理人に配車をしてもらえる「代理サポーター制度」を、12月にはクレジッドカードを持たない人のための「現金決済」を導入しています。日本の過疎地の事情に即した最適化と言えそうです。現在は代理サポーター制度を利用する人が全体の約7割、現金決済を利用する人が8割以上に上っているといいます。

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気張る!ふるさと京丹後のウェブサイト=http://kibaru-furusato-tango.org

問題もあります。ひとつは現在の公共交通空白地有償運送制度のルール上、丹後町外で降りることはできても乗ることはできない決まりとなっていることです。もうひとつは、ささえ合い交通の導入直前に、同市の網野町や久美浜町に、一度は撤退したタクシーが再参入したことです。ライドシェアを「白タク行為」として批判する気持ちが実力行使として表れたようです。

一方でウーバーは昨年8月からは、北海道中頓別町でもライドシェアの導入を始めています。こちらは実証実験のなる代わりにNPOなどを介さない形となっています。従来は国土交通大臣が各運輸支局長等に委任していた導入が、移譲を希望する地方自治体で行えるようになったことが大きいようです。首都圏の埼玉県でも導入に向けた検討を行っているほどです。

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埼玉県のウェブサイト=https://www.pref.saitama.lg.jp/a0109/zikayouyuusyou.html

以前ウーバーの関係者に聞いときは、将来は東京などの大都市でも展開していきたいそうですが、そのために正面からタクシー業界と対決せず、危機的状況にある過疎地域の移動を救うべく自治体やNPOと手を組んでじっくり導入を進めていくウーバーの姿勢は共感できるものです。住民のための最良の移動移動はどうあるべきかを、親身になって考えている感じを受けます。

原付125cc化の動き始まる

今週はオートバイメーカーの方々と話をする機会がありました。同社では今後の二輪車マーケットが世界的に縮小してくのではないかと危惧しており、こうした状況に対処すべく、車両のみならずインフラを含めて斬新なコンセプトを提案したいとのことでした。そんな中、警察庁が125ccまでのオートバイを運転できる小型限定普通二輪免許の取得負担軽減に向けて動き始めたというニュースを目にしました。

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従来は普通自動車免許保持者がAT限定の小型限定二輪免許の教習を受ける場合、現在の法令では最短で3日が必要となっているところ、内容を見直すとともに設備を改善し、週末などの2日間で取得できるようにすることで、取得を容易にしようというものです。

ご存知の方もいるとは思いますが、原付の定義は道路交通法と道路運送車両法で異なります。前者では50cc以下が原付で51〜125ccが小型限定自動二輪なのに対し、後者では50cc以下が原付一種、51〜125ccが原付二種となります。今回のニュースの内容は、道路交通法の区分はそのままに、道路運送車両法での原付の主軸を50ccから125ccへ移行させるという目論見がありそうです。

現在の原付に問題があることは、昨年10月のブログで書きました。あのときは業界第1位の本田技研工業(ホンダ)と第2位のヤマハ発動機が50cc以下で協業検討開始という衝撃的なニュースが流れた直後でした。その後も今年3月の東京モーターサイクルショーで、ホンダが今年でデビュー50周年を迎える「モンキー」の生産終了を発表しました。厳しさを増す今後の排出ガス規制を50ccでクリアするのが技術的にもコスト的にも困難であるというのが理由でした。

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主要メーカーから相次いで50ccの将来を不安視する発表が出されるなかで、国もようやく危機感に気付き、欧州やアジアで主力となっている125ccへのシフトを進めていこうと決断したのかもしれません。従来の50ccのように自動車免許保持者に無条件で資格を与えるのではなく、独自の免許区分を維持したうえでハードルを下げるという手法も、安全面を考えれば納得できるものです。

昨年のブログでは二輪車が、経済性や環境性のみならず機動性にも優れていることを書きました。今後都市への人口集中が加速していくと、自転車より速く、四輪車より時間が正確で場所を取らないという二輪車のメリットはさらに生きると予想しています。四輪車が電気自動車などになれば、環境負荷は減るでしょう。しかしボディサイズが現状のままである限り渋滞はなくすことができず、少し前に紹介したシンガポールのように、都市部への四輪車流入を意図的に減らす法律が導入される可能性もあります。

国民が機動性を重視して二輪車を選択するというパターンもあるでしょう。タイではGDPは順調に増加し、人口もゆるやかに増え続いているにもかかわらず、四輪車の販売台数は伸び悩んでいます。3月に首都バンコクを訪れると、幹線道路の渋滞は相変わらずひどく、以前同様二輪車をひんぱんに目にしました。快適ではあるが時間が読めない四輪車を選ばず、定時性に勝る二輪車を愛用し続けている国民が多いのではないかと感じました。

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日本における二輪車は、高度経済成長時代は自転車から四輪車への橋渡し的存在に捉えられ、その後は暴走族の影響で不良の乗り物というイメージが根付くなど、良からぬ印象がついて回っていますが、世界的にはこの状況は異例と言えるものです。自転車が環境に優しく健康に役立つ乗り物として再評価されているように、二輪車も都市への人口集中が進むなかで欧州やアジアと同じように機動性を評価すべき時期にきていると考えます。そのために30km/h規制や二段階右折などがハードルになっている50ccから125ccへ主軸を移す動きは理解できることです。
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