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モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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中国サイクルシェア革命

6年ぶりに上海に行ってきました。日本や欧米の都市と比べると時の流れが速いので、6年前には開通していなかった地下鉄に乗ったりということもあったのですが、もっとも驚いたのは以前は見かけなかったカラフルな自転車が群れをなして置いてあったことです。

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実はこれ、サイクルシェアなのです。しかし日本や欧州のサイクルシェアのような決められたステーションはありません。上海にも以前、ステーションを持つサイクルシェアがあったのですが、見つけることはできませんでした。短期間でこちらに置き換わってしまったようです。

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利用者はあらかじめスマートフォンにアプリを入れておき、アプリを立ち上げると近くの自転車が表示されるので予約。ロックを解除して乗ります。番号を入力する方式とQRコードで照合する方式があるようでした。使い終わったら借りる時と同じような操作で、好きな場所で返却するというものです。

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特定のステーションを持たないシェアリングサービスとしては、ダイムラーのcar2goがあります。しかしcar2goを含めて既存のカーシェア・サイクルシェアはスマートフォンとは別に専用のカードを使ってロックを解除する方式が主流です。中国のシェアサイクルはスマートフォンだけですべての操作ができるのですから、圧倒的にスマートです。感覚的としてはライドシェアに近いものがあります。

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噂によればこの新世代サイクルシェア、そう遠くない将来に日本に上陸するそうです。放置自転車の取り締まりに厳しい日本の自治体が、ステーションを持たないシェアサイクルをどう扱うのか興味はありますが、欧米などで展開が始まれば従来型のサイクルシェアに影響を与えそうな気がします。短期間で新しいサービスを実用化まで持って行った中国の行動力に驚かされました。

外堀から埋めていくライドシェア

ライドシェアというサービスを考案した米国ウーバーのシステムを活用し、NPO法人「気張る!ふるさと丹後町」が運営する公共交通空白地有償運送(道路運送法施行規則第49条第1項第2号)として注目を集めた京都府京丹後市丹後町の「ささえ合い交通」が、5月26日で運行開始一周年を迎えました。

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ウーバーのウェブサイト=https://newsroom.uber.com/japan/kyotango-1yr-anniversary/

ささえ合い交通は、丹後町の住民がボランティアでドライバーを務め、自家用車を使って地域住民や観光客等を運ぶ公共交通です。スマートフォンやタブレットを用いて利用者が車両を呼んだり料金を支払ったりする公共交通空白地有償運送は、日本ではここが初めてとなります。

ウーバーによれば、毎月平均で60回以上の乗車があり、特に平日午前中の利用が多いそうです。約8割が地元住民の利用らしく、同じ京丹後市でスーパーや病院、役所などが集まる峰山町や網野町などへの利用がメインとなっているとのこと。ウーバーのアプリは世界共通であることから、海外からの観光客の乗車もあるようです。

地元の声に応えた改良も実施しています。昨年9月にはスマートフォンやタブレットを持たない人のために代理人に配車をしてもらえる「代理サポーター制度」を、12月にはクレジッドカードを持たない人のための「現金決済」を導入しています。日本の過疎地の事情に即した最適化と言えそうです。現在は代理サポーター制度を利用する人が全体の約7割、現金決済を利用する人が8割以上に上っているといいます。

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気張る!ふるさと京丹後のウェブサイト=http://kibaru-furusato-tango.org

問題もあります。ひとつは現在の公共交通空白地有償運送制度のルール上、丹後町外で降りることはできても乗ることはできない決まりとなっていることです。もうひとつは、ささえ合い交通の導入直前に、同市の網野町や久美浜町に、一度は撤退したタクシーが再参入したことです。ライドシェアを「白タク行為」として批判する気持ちが実力行使として表れたようです。

一方でウーバーは昨年8月からは、北海道中頓別町でもライドシェアの導入を始めています。こちらは実証実験のなる代わりにNPOなどを介さない形となっています。従来は国土交通大臣が各運輸支局長等に委任していた導入が、移譲を希望する地方自治体で行えるようになったことが大きいようです。首都圏の埼玉県でも導入に向けた検討を行っているほどです。

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埼玉県のウェブサイト=https://www.pref.saitama.lg.jp/a0109/zikayouyuusyou.html

以前ウーバーの関係者に聞いときは、将来は東京などの大都市でも展開していきたいそうですが、そのために正面からタクシー業界と対決せず、危機的状況にある過疎地域の移動を救うべく自治体やNPOと手を組んでじっくり導入を進めていくウーバーの姿勢は共感できるものです。住民のための最良の移動移動はどうあるべきかを、親身になって考えている感じを受けます。

原付125cc化の動き始まる

今週はオートバイメーカーの方々と話をする機会がありました。同社では今後の二輪車マーケットが世界的に縮小してくのではないかと危惧しており、こうした状況に対処すべく、車両のみならずインフラを含めて斬新なコンセプトを提案したいとのことでした。そんな中、警察庁が125ccまでのオートバイを運転できる小型限定普通二輪免許の取得負担軽減に向けて動き始めたというニュースを目にしました。

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従来は普通自動車免許保持者がAT限定の小型限定二輪免許の教習を受ける場合、現在の法令では最短で3日が必要となっているところ、内容を見直すとともに設備を改善し、週末などの2日間で取得できるようにすることで、取得を容易にしようというものです。

ご存知の方もいるとは思いますが、原付の定義は道路交通法と道路運送車両法で異なります。前者では50cc以下が原付で51〜125ccが小型限定自動二輪なのに対し、後者では50cc以下が原付一種、51〜125ccが原付二種となります。今回のニュースの内容は、道路交通法の区分はそのままに、道路運送車両法での原付の主軸を50ccから125ccへ移行させるという目論見がありそうです。

現在の原付に問題があることは、昨年10月のブログで書きました。あのときは業界第1位の本田技研工業(ホンダ)と第2位のヤマハ発動機が50cc以下で協業検討開始という衝撃的なニュースが流れた直後でした。その後も今年3月の東京モーターサイクルショーで、ホンダが今年でデビュー50周年を迎える「モンキー」の生産終了を発表しました。厳しさを増す今後の排出ガス規制を50ccでクリアするのが技術的にもコスト的にも困難であるというのが理由でした。

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主要メーカーから相次いで50ccの将来を不安視する発表が出されるなかで、国もようやく危機感に気付き、欧州やアジアで主力となっている125ccへのシフトを進めていこうと決断したのかもしれません。従来の50ccのように自動車免許保持者に無条件で資格を与えるのではなく、独自の免許区分を維持したうえでハードルを下げるという手法も、安全面を考えれば納得できるものです。

昨年のブログでは二輪車が、経済性や環境性のみならず機動性にも優れていることを書きました。今後都市への人口集中が加速していくと、自転車より速く、四輪車より時間が正確で場所を取らないという二輪車のメリットはさらに生きると予想しています。四輪車が電気自動車などになれば、環境負荷は減るでしょう。しかしボディサイズが現状のままである限り渋滞はなくすことができず、少し前に紹介したシンガポールのように、都市部への四輪車流入を意図的に減らす法律が導入される可能性もあります。

国民が機動性を重視して二輪車を選択するというパターンもあるでしょう。タイではGDPは順調に増加し、人口もゆるやかに増え続いているにもかかわらず、四輪車の販売台数は伸び悩んでいます。3月に首都バンコクを訪れると、幹線道路の渋滞は相変わらずひどく、以前同様二輪車をひんぱんに目にしました。快適ではあるが時間が読めない四輪車を選ばず、定時性に勝る二輪車を愛用し続けている国民が多いのではないかと感じました。

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日本における二輪車は、高度経済成長時代は自転車から四輪車への橋渡し的存在に捉えられ、その後は暴走族の影響で不良の乗り物というイメージが根付くなど、良からぬ印象がついて回っていますが、世界的にはこの状況は異例と言えるものです。自転車が環境に優しく健康に役立つ乗り物として再評価されているように、二輪車も都市への人口集中が進むなかで欧州やアジアと同じように機動性を評価すべき時期にきていると考えます。そのために30km/h規制や二段階右折などがハードルになっている50ccから125ccへ主軸を移す動きは理解できることです。

上下乗り換えとエスカレーター問題

昨日、国土交通省が「第12回大都市交通センサス」を発表しました。首都圏・中京圏・近畿圏の三大都市圏における鉄道、バスの利用実態を把握し、公共交通施策の検討に資する基礎資料の提供を目的としているもので、1960年から5年ごとに実施しています。今回は2015年に実施した調査結果を取りまとめ、公表されました。

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結果については国土交通省のウェブサイトからダウンロード可能となっていますが、利用者へのアンケート調査の他、自動改札機などを介して集計したビッグデータなども活用した調査結果は膨大であり(首都圏だけで約300ページに上ります)、ここですべてを紹介することは不可能なので、今回は「乗り換え」に焦点を絞って話を進めていきます。

というのも、乗り換え移動時間について5年前の結果と比べると、中京圏と関西圏ではわずかに短くなっているのに対し、首都圏では少し長くなっているからです。具体的に駅別で見ると、水平方向では東京駅や渋谷駅、上下方向では大井町駅や下北沢駅などが長いと報告されています。主要駅の乗り換え時間を水平移動・上下移動・列車待ちに分けたグラフもあります。多くの駅で水平移動が4分の3を占める中、大井町駅では半分近く、下北沢駅ではなんと約7割を上下移動が占めています。

乗り換え時間比較
大都市交通センサスのウェブサイト=http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000064.html

水平方向の乗り換え距離が長い駅は以前からあったのに対し、上下方向が長い駅は最近になって増えてきたと感じています。理由はもちろん、既存のインフラを避けるべく、駅がどんどん地下深くなっているからです。ここでネックとなるのは移動手段です。階段では利用者に負担をかけ、一方のエスカレーターやエレベーターは輸送量が限られます。効率的な上下移動モビリティが発明されない現状では、移動そのものをなるべく少なくする設計が大事でしょう。

駅別移動グラフ

エスカレーターの利用方法についても触れておきます。最近日本では、安全のためにエスカレーターは歩かず立って乗るという方向に動いています。一方海外は、今週訪れたタイやシンガポールを含めて片側を空けています。しかし海外でも、混雑時は両側とも歩かず立ったままというシーンを多く見かけます。

エスカレーターに限った話ではありませんが、いまの日本人には臨機応変な判断が不足していると考えます。駅は時間帯によって利用者が大きく上下します。それをひとつのルールで決めつけるのは無理があります。乗り場に列ができているときは両側立ち、できていないときは片側空けなど、そのときの状況によって利用者が決めるほうが、判断力が養われて、結果的に人の流れがスムーズになりそうな気がします。

オリパラBRTの危機

東京都中央卸売市場築地市場の豊洲への移転が延期となったことで、2020年の東京オリンピック・パラリンピック(以下オリパラと称します)の関係者や観光客などの移動の動脈として考えられているBRTが、存続の危機に立たされています。

2014年に一部が開通した環状2号線を使い、東京都心とオリパラ選手村が作られる晴海および複数の競技場が整備される有明地区を結ぶオリパラBRTについては、以前もこのブログで取り上げました。そのときにも不安点をいくつか列記しましたが、それ以前の段階として、走るかどうかが不安になってきているのです。

京成連節バス

この件については東洋経済オンラインで記事を掲載しているので、興味がある方はご覧ください。そこにも記しましたが、昨年8月に移転延期が発表されてから、現在までにBRTに関する動きが2つ起こっています。ひとつは昨年11月、新橋と築地を結ぶ環状2号線のトンネルが、移転延期の影響で2020年の完成が難しくなり、地上ルートへの転換を模索しているということ。もうひとつは今月、東京都と京成バス(上の写真)によるBRT運行のための新会社設立が延期になったことです。

これも以前ブログで記したことですが、日本はBRTを誤解している人が多いようです。BRTとはバス高速輸送システムの略であり、バスに鉄道並みの定時制や速達性を盛り込んだものです。そのためには専用レーンの用意が必須です。連節バスやバスロケーションシステムを用意することがBRTだと思っている人もいるようですが、これらは利便性には寄与するものの、定時性や速達性にはさほど効果はありません。

豊洲大橋
東洋経済オンラインの記事=http://toyokeizai.net/articles/-/164494

築地と晴海を結ぶ築地大橋(記事参照)、晴海と豊洲を結ぶ豊洲大橋(上の写真)はいずれも基礎部分は完成しており、後者は工事車両に限り通行が許可されています。つまり新橋と築地の間だけが残されています。これに対して東京都では、現時点でも渋滞している新大橋通りや狭い市場内道路を活用し、信号システムを工夫するとしているようですが、これでBRTが成立するとは思えません。そもそも市場内道路にBRTを走らせれば、市場として機能させることは難しくなります。

昨日の都知事の定例会見では、都庁内に「市場のあり方戦略本部」の設置が明らかにされました。安全性だけでなく経済性などからも市場移転をじっくり検討していくとのことです。たしかに市場移転にタイムリミットはありません。しかしオリパラは開催時期が決まっています。BRTはそれ以前の整備が前提です。東京の交通は世界的に高い評価を受けています。その評価が一変する可能性もあります。移転か否か、とにかく早めの決断を望みます。
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