THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

コミュニケーション

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あおり運転の調査結果から考える

ここ数年、自動車のあおり運転が原因の事故や事件が大きな話題になっています。そんな中、カーナビやドライブレコーダーも手がけるパナソニックが、あおり運転に関する調査を実施しました。昨年末から年始にかけて、自動車で帰省や長距離移動をする予定のある全国の男女2000人に聞いたという内容は、信頼に足るものだと思っています。調査結果を受けて、日本アンガーマネージメント協会代表理事の安藤俊介氏とともにコメントを寄せる機会に恵まれたので、ここで紹介します。

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調査結果では、あおり運転を受けたと感じたことがある人が8割にもなる一方、あおり運転をしたことがあると感じた人も半分近くいたそうです。また運転中にイライラしたことがある人は8割以上とのことで、理由としては渋滞にはまったこと、時間に遅れそうだったこと、周囲の車両のスピードが遅かったことがトップ3になっています。



この結果からまず言えることは、安藤氏も指摘していますが、時間に余裕を持って出かけることです。現在の自動車は高性能車であれば500馬力という数字を掲げていますが、我が国の公道では目的地までの到達時間は軽自動車とほとんど変わりません。それよりも所要時間を左右するのは渋滞などです。自動車の走行性能は上がっても、移動体として見れば速くなっているわけではなく、場合によってはむしろ遅い乗り物になることを、多くの人が認識してほしいと思います。

以前テレビに出演していたアメリカ人タレントは、母国で自動車で移動する際は空いている時の倍の時間を見積もって出かけていたそうです。公共交通が発達した東京は時間どおりに動けて助かると話していました。多くの人が、自動車は時間が読めない乗り物だと認識し、余裕を持った移動を心がけるか、あるいは公共交通での移動に転換すれば、あおり運転は減るのではないかと期待しています。

 
(上のリンクとは異なるデータも掲載しています) 

一方、あおられないための心得としてひとつ考えられるのは、公道は公共空間であるという意識を忘れないこと、具体的に言えば流れに乗って走ることです。ゆっくり走っていればあおられないと考えている人がいるようですが、それは逆効果でしょう。高速道路の追い越し車線もまた、追い越しのために使用する公共空間であり、私有地のように占有が許される場ではありません。

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日本の高速道路で追い越し車線を占有する車両が多いのは、制限速度が実勢速度とかけ離れていることも関係していると考えています。日本の高速道路の制限速度が諸外国に比べて低いことは以前も取り上げました。制限速度が低いから追い越し車線を走りたがる車両が多いわけで、一部の区間で導入している制限速度の時速120kmへの引き上げは、あおり運転減少にも効果があると思っています。

鉄道では故意に遅延をさせる行為は処罰されます。自動車でも交通の妨げになる駐車違反は処罰されます。最近はわざとゆっくり走ることであおり運転を誘発する事例が報告されていますが、これもまた円滑な移動を乱す行為です。雪道をチェーンや冬用タイヤなどの装備なしで走行し立ち往生する車両にも言えますが、高速道路や幹線道路ではスムーズな移動確保をすべてのドライバーが心がけてほしいものです。

富山と神戸でモビリティデザイン講座に出ます

芸術の秋ということで、各所でアートやデザインに関する催し物が開かれていますが、私も以前告知したものに加え、富山と神戸で開催されるイベントに参加することになりました。今回はそのお知らせをさせていただきます。

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ひとつは11月6日から12月27日まで開催されているとやまD'DAYS2019の中で、11月20日にイノベーション講座を持たせていただきます。富山は2011年に「富山から拡がる交通革命」という本を書いた土地であり、自分の中ではまずモビリティ改革を思い浮かべますが、昔からものづくりで定評があり、近年はデザインにも力を入れています。今回のD'DAYSではその強みを生かして、テクノロジーとデザインの融合による社会変革の可能性を探っていくことをテーマに掲げています。

私の講座のテーマは「モビリティデザインもコト+モノへ」。気づいた方がいるかもしれませんが、ひと月前にこのブログで紹介した、今年度のグッドデザイン賞の審査結果について書いたブログのタイトルそのものです。あのとき書いた内容がベースになりますが、グッドデザイン賞に限らず、さまざまなモビリティデザインを見てきた者として、テーマにあるような近年の変化を中心にお話しするつもりです。場所は富山県高岡市にある富山県総合デザインセンターで、入場は無料です。

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もうひとつは11月22日から12月8日まで、神戸市のデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催されるグッドデザイン神戸展です。神戸は昔から洗練された街として国内外の多くの人に知られていますが、近年さらに都市の資源や魅力をデザインの視点で見つめなおし磨きをかけることで魅力と活力を創出し、くらしの豊かさを創造するべく、都市戦略「デザイン都市・神戸」に取り組んでおり、その一環としてこのイベントを開催しています。

名前で想像できるとおり、私も審査委員を務めているグッドデザイン賞の、東京以外で唯一の展示会でもあります。この中で11月23日、グッドデザイン連続講座のトップバッターとして、「コミュニティを育むモビリティのデザイン」というテーマで、今年度グッドデザイン賞でグッドフォーカス賞を受賞したアイシン精機株式会社イノベーションセンター部長の加藤博巳氏とともに登壇します。こちらも参加は無料です。

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2つの講座はいずれも、このブログの中で紹介しているウェブサイトからの事前申し込みが必要となります。なお以前も紹介したように、11月16日には静岡県浜松市の静岡文化芸術大学の公開講座にも出ます。こちらはヤマハ発動機デザイン本部長の長屋明浩氏が出演することになり、それぞれのプレゼンテーションのあとトークセッションも行う予定となっています。こちらも入場無料ですので、興味のある方は下のリンクより申し込んでください。

1週間のあいだに3つの地域で、モビリティのデザインについて話をすることになったわけで、普段なかなかお会いすることができない方々と触れ合える貴重な機会と期待しています、多くの方々と現地でお会いできることを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。 

京都のモビリティイベントのご案内

先週に続いてイベントの紹介をさせていただきます。今回は京都府のけいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)で10月3〜4日に開催される「京都スマートシティエキスポ2019」と、併催される「ネクストモビリティExpo2019」です。

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このネクストモビリティExpo2019の3日のラウンドテーブルで、富山のモビリティ改革について報告をさせていただきます。メインは富山ですが同じ北陸の福井、そして地元関東の宇都宮の交通改革についても、最近書籍にまとめたMaaS分野の話題を含めて触れたいと思っています。 

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京都スマートシティエキスポ2019は、ICTの進展によってスマートシティの実現が進む中、少子高齢化や生産年齢人口減少による社会活力の低下、地方衰退などの社会的課題を克服するため、「超快適」スマート社会の創出にチャレンジするとともに、持続的なオープンイノベーション機能を基盤とした新たな事業化、産業化を促進する仕組みの構築を目指して開催するものです。

併催のネクストモビリティExpo2019は、地球温暖化、少子・高齢化、過疎化などの社会課題によって大きな転換期を迎えている交通関連産業の「次世代」にフォーカスし、自動運転、電気自動車、小型低速モビリティ、これらをITによって効率・最適化する交通システムなど、最新技術とビジネス動向をお伝えしていきます。基調講演やトークセッションが行われる他、低速モビリティの試乗もできるそうです。

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京都スマートシティエキスポは、スペインのバルセロナが世界展開する「スマートシティエキスポ世界会議」との連携で2014年から開催しており、昨年の入場者数は1.2万人を超えるほどの規模を誇ります。オフィシャルサイトを見ると、有力企業が多数協賛しており、講演プログラムには「MaaSの父」と呼ばれたMaaS Globalサンポ・ヒエタネンCEOをはじめ錚々たる方々が名を連ねています。

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いずれも入場無料とのことなので、ご興味のある方はぜひ足をお運びください。会期中は近鉄京都線新祝園駅およびけいはんな線学研奈良登美ケ丘駅、JR学研都市線祝園駅から会場まで無料バスが運行されるそうです。よろしくお願いいたします。

東京と浜松で講演をします

久しぶりに講演の告知をさせていただきます。今回は10月に東京、11月に浜松で行う予定のものを紹介いたします。

ひとつめは10月25日(金)13時から、年間500回のセミナー開催実績がある東京都港区の新社会システム総合研究所で、「MaaSの実態 先行する欧米と動き出した日本」というテーマでお話しさせていただきます。テーマでお分かりのとおり、濃のブログでも紹介した7月発行の書籍「MaaS入門:まちづくりのためのスマートモビリティ戦略」に沿った内容です。

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書籍というのは執筆から出版までに少々時間を要するメディアであり、執筆後、とりわけ日本のMaaSにはいくつも動きが起こっています。書籍がMaaSの過去から現在にかけてを記したのに対し、講演では現在から未来を見据えてお話ししたいと考えています。申込は下記リンクからお願いします。受講料はやや高価ですが、申し込み時「著者からの紹介」と記載していただければ5,000円の割引が受けられるとのことです。

もう1つは11月16日(土)14時から、浜松市中区の静岡文化芸術大学の公開講座で、「社会・地域・産業の観点から考えるこれからのモビリティ」と、やや広い視点で進める予定です。この講座は、2019年度後期公開講座「Shizuokaから発信する これからのユニバーサルデザイン」のひとつで、10月5日「色弱のお医者さんに学ぶカラーユニバーサルデザイン」、26日「『音のユニバーサルデザイン化』SoundUD推進コンソーシアムの取組み」との3部構成になっています。

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浜松を中心とする遠州地方は遠州地方は、数多くの二輪車メーカーを産み育て、日本のモータウンと呼ばれてきました。その持ち味は現在、電動車いすや電動カートなど、今の時代にフィットしたユニバーサルモビリティとして新たな注目を集めつつあります。こちらの参加は3回とも無料です。申し込みは下記リンクからしていただければと思います。

これ以外にも今年の秋には、モビリティについてお話しする場を設けていただく予定になっています。詳細が決まり次第、このブログでも伝えていくつもりです。引き続きよろしくお願いいたします。

「MaaS・ライドシェア・自動運転と地域交通」セミナーのお知らせ

このブログでも簡単に告知させていただいた、11月21日のReVision Mobility第2回セミナー&交流会には、想像をはるかに上回る多くの方に来ていただきました。この場を借りてお礼を申し上げますとともに、年末に開催されるもうひとつのセミナーについて、個人的な思いを含めて紹介させていただきます。

12月27日13時30分から、東京の大田区産業プラザPIOで、日本福祉のまちづくり学会事業委員会と中央大学研究開発機構の主催で、「地域交通と情報技術〜MaaS・ライドシェア・自動運転と地域交通計画〜」というテーマのセミナーを開催することになり、その中で話をさせていただくことになりました。

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今回のセミナーについて紹介したサイト = http://www.fukumachi.net/2018/11/1227in.html

内容については上のリンクを参照していただければと思いますが、今回登壇するメンバーは今年9月、フィンランドの首都ヘルシンキでのMaaSスタディツアーに参加した面々でもあります。フィンランド交通通信省、ヘルシンキ市役所、MaaS Global社へのヒアリングをベースにした内容となります。似たようなテーマを取り上げた他の多くのセミナーと違うのは、ビジネス視点ではなく生活者視点であることでしょうか。

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MaaSやライドシェア、自動運転にビジネス的な魅力があることは否定しません。しかしビジネスは需要の多いところ、具体的には東京などの大都市周辺に集中する傾向があることは、既存のモビリティシーンはもちろん、他の分野を見ても明らかです。過度なビジネス重視は大都市への一極集中を推進させ、地域交通の疲弊がさらに加速していくのではないかと危惧しています。

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セミナーは日本福祉のまちづくり学会の中で、私も所属している地域交通特別委員会が、事業委員会とのジョイントで開くものです。高齢化や過疎化に悩む地域住民の生活保障を実現する手段としてのモビリティの提供方策を明らかにすることを目的に、新たな地域交通システムの実証や社会実装の推進を目指しているメンバーが、フィンランドでの知見を生かしての内容になると考えています。

繰り返しになりますが、MaaSやライドシェア、自動運転に関するセミナーがあまたある中で、生活者視点というのは希少ではないかと思っています。年末の慌ただしい時期ではありますが、興味のある方は足をお運びください。よろしくお願いいたします。