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モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

コミュニケーション

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モーターショーの未来を考える

このブログでも出展内容を紹介した第45回東京モーターショーが11月5日に閉幕しました。10日間の累計入場者数は77万1200人で、約4万人の減少という結果が出ました。これを受けて一部のメディアでは、ショーのあり方についてさまざまな批判が出ていました。

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ただし世界の国際格式のモーターショーの入場者数を見ると、前回より増えているのは中国の上海ぐらいで、今年で言えば東京だけでなくデトロイト、ジュネーブ、フランクフルトも減少しています。昨年開催されたパリや北京も前回を下回っています。フランクフルトに至っては10万人以上という大幅減です。多くのモーターショーが入場者数を減らしているという事実をまず把握すべきでしょう。

これらの中で東京モーターショーと近い位置にあるのは、フランクフルトとパリだと思っています。いずれも大手メーカーがある自動車先進国で、一国を代表するショーとして開催されています。近年は他国の自動車ブランドの欠席が目立つ点も共通しています。ここで注目したいのはフランクフルトとパリで、近年ショーの方向性が大きく変わってきていることです。

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フランクフルトは自動車メーカーが発信する場という色彩を強めつつあります。今回で言えば電動化など先進的技術的なテーマを掲げ、プレスデーと一般公開日の間に業界関係者向けのトレードデーを用意していました。閉会後のプレスリリースでは随所にトレードショーという文字が登場し、関係者比率が35%に達したことをアピールしていました。

一方のパリは来年開催の次回、会場周辺のサーキットでスーパーカーや高級車を含めた試乗会を開催し、従来は別開催だった2/3輪車のショーを併催とすることなどで挽回を図ろうとしています。一方で東京やフランクフルトと同じように、IT系企業によるモビリティの新しいソリューションやサービスを体験できるコーナーも用意するとのことです。

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フランクフルトが目指しているのは、米国のハイテク系イベントとして注目が集まるCES(家電見本市)ではないかと予想しています。CESの入場者数は20万人以下であり、そもそも入場者数は重視していません。一方のパリはあくまでユーザー重視のエンターテインメント・ショーという立場にこだわっていることが伺えます。自動車を産業と考えるドイツ、文化と考えるフランスの違いでしょう。

では東京はどこを目指すのか。複数の関係者に聞いたところ、両方を目指すという答えが返ってきました。テクノロジー・ショーを掲げつつ業界関係者だけでなく一般ユーザーにもアピールしたいというスタンスだそうです。メッセージとしては弱くなるかもしれないが、日本が持つ文化の多様性を表現するようなモーターショーにしたいという言葉がありました。

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個人的にはテクノロジーとエンターテインメントを分けるのではなく、融合を目指してほしいという気持ちです。現に日本が世界をリードするパートナーロボットでは、両者を融合したプロダクトがいくつも登場しています。既存の自動車メーカーとIT系ベンチャーのモビリティの融合も進めてほしいところです。他国を含めて現状のモーターショーは自動車メーカー中心です。それがCESなどに注目が集まる理由になっていると考えています。

もうひとつ、世界が同じ方向に進みがちなエンジニアリングより、デザインを重視した方が独自性を発揮できるとも感じています。そもそもショーとは「見せる場」なのですから。今回で言えばトヨタの新型センチュリーやジャパンタクシー、マツダの2台のコンセプトカー、2輪車ではホンダ・スーパーカブやカワサキZ900RSなど、日本らしさを反映したデザインが出始めています。そして最後に、数を追うのはそろそろ止めにして、CESのように質を目指す方向にシフトしていくことを望みます。

i-ROADの未来を語り合った週末

先週末、このブログでも何度か紹介してきた、トヨタ自動車の超小型モビリティ「i-ROAD」を使った「OPEN ROAD PROJECT」のパイロットミーティングが開催されました。昨年7月にスタートしたプロジェクトが1周年を迎えたのを機に、第1〜8期の試乗パイロットとトヨタの関係者が集まり、これまでの活動を振り返りながら、今後のi-ROADについて意見交換をしました。第2期パイロットの私も参加してきました。

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OPEN ROAD PROJECTについてもう一度簡単に説明しておくと、都市生活者に自由な移動を提供するために、i-ROADというプロダクトだけでなく、駐車場やアプリなどのサービスを含めて、新しい移動体験の開発に取り組むプロジェクトです。

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会場に着くと、すでにパイロットとその家族たちで賑わっていました。自分のような自動車業界に関わる人はごく少数で、多彩なライフスタイルの方々が集まっていました。こうした方々に1か月間、市販前の車両を貸し出し、いっしょに開発に参加してもらうという方法を考え、実践したトヨタの度量の大きさには改めて驚かされます。

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専用アプリが次々に増えていったことにも感心しました。第2期では駐車場検索や充電状況確認だけでしたが、その後アクセルやリーンに合わせてスピーカーから流れる音が変わっていく「SOUND-X」、回生ブレーキによる充電状況を水のようなグラフィックで表現した「Streaming Blue」などが追加されていました。第2期ではフロントパネルだけだったカスタムパーツは、他にドリンクホルダーも存在していました。

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2人乗り仕様に戻ることもできました。第3期から渋谷区、第7期から世田谷区で走り始めており、専用アプリも用意しています。外観はナンバープレートが軽自動車用になり、車体前後に逆三角形の識別マークが追加されたことが目立ちます。乗り味はひとり乗りと変わりません。ただ現在の超小型モビリティ認定制度では、地域内での走行に限定されており、渋谷区の人は渋谷区内しか走れません。本格的な普及にはやはり独自のカテゴリーが必要だと痛感しました。

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会場には、i-ROADが自宅にやってきたらどう使いたいか、i-ROADにどんなサービスや機能があったら良いか、という質問の答えを自由に書き込めるコーナーもありました。 オープンカーの開発、こたつの用意、レースの開催など、柔軟な発想が楽しかったです。子供の書き込みが多かったのも印象的で、「大人になったらi-ROADを買いたいです」という具体的な要望も出ていました。未来のドライバーたちがこの乗り物にとても興味を寄せていることが分かりました。

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トヨタでは今後も、OPEN ROAD PROJECTのようなチャレンジを続けていきたいそうです。東京やグルノーブルでのシェアリングサービス「Ha:mo」を含めて考えれば、日本でもっとも超小型モビリティの普及を真剣に考えている会社と考えて良いでしょう。トヨタの次の一手に注目したいと思っています。

道路は人のために 交通は街のために

日本でも遅ればせながら、LRT(次世代型路面電車システム)をはじめとする新しい公共交通システムの導入を、各都市で検討するようになりました。しかしながら、LRTを走らせることそのものが目的となっていたり、LRTと自動車交通を敵対関係に置いたりという、欧州での成功事例とは異なる状況も散見されていることが気になってもいました。

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そんな中、新しい公共交通の導入を検討している我が国第2の都市、横浜市で7月2日に開催される「LRTフォーラム」で講演をさせていただくことになりました。

LRTフォーラムは、2003年に設立された「横浜にLRTを走らせる会」が、5年後に設立された「横浜の公共交通活性化をめざす会」との共催で、毎年夏に開催しているものです。プログラムにあるとおり、専門的なお話は他の方からしていただくことになっているので、私はさまざまなモビリティを見てきた立場からの話題を提供したいと考え、タイトルにあるようなテーマとしました。

最初の写真はフランスのパリで撮影したものです。道路は自動車のものでも、LRTのものでもなく、人間の多彩な移動に対応した空間になっています。しかもLRTがこの道路を走っているのは、地下鉄やバスといった既存の交通と連携して都市の移動をスムーズにするためという、明確な理由があります。こうした話題を、他の国内外都市での実例を交えながら提供したいと考えています。

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  横浜にLRTを走らせる会ウェブサイト=http://lrt.cocolog-nifty.com

LRTフォーラムが開催される波止場会館は、横浜の象の鼻パーク脇にあり、みなとみらい線日本大通り駅より徒歩4分、市営バス26系統大桟橋停留所より徒歩3分です。参加費は一般1000円、学生500円で、事前申し込みは不要です。多くの方のご来場をお待ちしております。よろしくお願いいたします。

ムーバス20周年を機に地域交通を考える

「ムーバス」というバスをご存知でしょうか。東京都武蔵野市が1995年から走らせている公共交通で、コミュニティバスのパイオニアです。運賃100円、住宅地まで乗り入れる路線、そのための小型車両という、コミュニティバスを定義付けている項目は、ムーバスが確立したものです。名称も、武蔵野市のバスという意味だけでなく、move us=私たちと移動するという、深い意味を込めています。

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ムーバスのウェブサイト http://www.city.musashino.lg.jp/norimono_chuurin_chuusha/mu_bus/index.html
 
ムーバス誕生のきっかけは、市内に住む高齢の女性の方からの手紙でした。「吉祥寺駅に行きたいのだが、路線バスがあってもバス停までが遠く、足が悪いので行けない」という切実な声でした。武蔵野市が調べてみると、路線バスは幹線道路中心の運行であり、住宅地内には公共交通の不便な地域があることが分かりました。当時、行政主導のバスを走らせるには、いくつもの壁がありましたが、市民の生活を守るという強い意識で取り組み、実現にこぎつけたそうです。

それから20年。いまやコミュニティバスは全国各地を走り回っていますが、この20年間で日本は高齢化や東京への一極集中が進んだこともあり、多くのコミュニティバスが課題を抱えています。7路線9ルート、年間約260万人の方に利用されているムーバスも例外ではありません。それは地域交通そのものの問題と置き換えても異論はないでしょう。

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ムーバス路線図(ムーバス事業概要2015より)
http://www.city.musashino.lg.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/022/230/jigyougaiyou3.pdf

いまこそ地域交通のあり方を考え直す時期ではないか。私が所属している日本福祉のまちづくり学会では、以前からこうしたテーマのもとで活動を続けてきました。そこでムーバス20周年を契機に、地域交通のあり方を考えるフォーラムを、武蔵野市で開催することにしました。

日時は3月24日(木曜日)の18時30分から21時00分まで(18時10分開場)。会場はJR中央線武蔵境駅北口にある武蔵野スイングホールです。参加費は無料。参加をご希望の方は、会場準備の都合上、下のメールアドレスへ、事前申し込みをお願いいたします。

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申し込み先メールアドレス e127@ipc.fukushima-u.ac.jp

日本の地域交通は多くが深刻な状況に置かれています。ムーバス20周年を機に、みなさんと一緒にこの問題を考え、 解決法を探っていければと思っております。よろしくお願いいたします。

ヒューマンモードに託した想い

以前もこのブログで紹介したように、私が所属している日本デザイン機構で昨年から始めた新しい活動Design DOOの第2弾として、「ヒューマンモードを考える」というテーマのアクティビティを、9月から11月にかけて3回開催しました。こちらの予想を上回る方々に参加していただきました。ありがとうございました。

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*第1回「メーカーとともに体験&議論」より

一軒家の居酒屋や職人が作った道具など、最近さまざまな分野で、人間に近いモノやコトが再評価されています。モビリティの分野でも同じような流れが生まれています。具体的には歩行者と自動車の間にある乗り物のことで、車いす、ベビーカー、自転車に、パーソナルモビリティや超小型モビリティなどの新種が加わっています。これらがヒューマンモードです。

ところがこれだけ状況が変化しているのに、今の日本では歩道あるいは車道という既存のルールに無理に当てはめようとしています。その結果、パーソナルモビリティは実証実験でなければ道路を走れないなど、さまざまな部分で無理が生じています。この課題について多くの人に認識してもらおうと思い、「ヒューマンモードを考える」を企画しました。

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*第2回「街を舞台に動かし方を考える」より

私たちが心掛けたのは、体験と議論を結び付けることでした。パーソナルモビリティや超小型モビリティの試乗の場はいくつか用意されていますが、体験後に専門家とじっくり意見を交わす機会は限られています。逆にこれらのモビリティの展開について議論する場は数多く用意されているものの、多くの場合そこには体験の場は併設されていません。

私はモータージャーナリストとしての経験から、 体験と議論を結び付けることが重要だと考え、各方面の協力を得て、これを実践することにこだわりました。さらに第1回はモビリティ開発者、第2回はまちづくりNPO、第3回はコーディネーター&プロモーターと、異なる立場にあるゲストをお迎えし、舞台も変えることで、さまざまな角度からヒューマンモードを考えられる舞台作りに努めました。

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*第3回「モーターショーでワークショップ」より
*Design DOO Facebookページ=https://www.facebook.com/Design.DOO.JD/

とはいえ力足らずだった部分は数多くあったとも認識しています。さらに今回は体験と議論によって参加者に気付き、考えてもらうことが主眼だったので、そこから先の展開については踏み込んでいなかったのも事実です。これら積み残した部分については、来年以降、関係各方面と議論を重ね、続編を実現できるよう動いていくつもりです。情報についてはDesign DOOのFacebookページで随時告知していきます。

最後になりましたが、今回のアクティビティでは、会場となったメガウェブ ライドスタジオ、首都圏イノベーションセンターMICAN、東京モーターショーSMART MOBILITY CITY / TOKYO FMブースや、モビリティおよびプレゼンテーションを準備していただいたトヨタ自動車、NPOまちづくり大井、クラモト、グラディエ、日産自動車、本田技研工業、WHILL、ナインボット各社にお世話になりました。皆様のご協力がなければ実現は不可能でした。この場を借りてお礼申し上げます。
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