今年のモビリティ関連の大きなニュースのひとつに、東京モーターショーがジャパンモビリティショーに変わったことがありました。これと歩調を合わせるように、モーターショーの主役だった自動車会社のモビリティ視点、つまり乗り物ではなく人の移動を主役として考えた取り組みが目立ちつつあります。今年8月に開業した芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)の沿線でも、そんな事例がありました。
ライトラインの芳賀町側終点の脇には、本田技研工業(ホンダ)および同社の研究開発を行う本田技術研究所の施設があります。かつてブログで紹介した東武鉄道東上線みなみ寄居駅がホンダの出資で生まれたので、そのような話があるか取材し、みなみ寄居駅の最新情報とともに「東洋経済オンライン」で記事にしました。くわしくはご覧になっていただければと思いますが、ルートや停留所の位置について要望はしなかったものの、軌道と車道の確保のため敷地の一部を提供したとのことでした。
最初の写真を見ると、停留所の設置に合わせて右側の車線がややオフセットしています。道路の右側はホンダ関係者の駐車場なので、この一部が提供されたと思われます。ライトラインへの土地提供と言えば、途中の清原地区市民センター前のトランジットセンターがもともと隣接するデュポンの敷地だったという記憶があります。ホンダでもそれに近い対応をしているということです。
さらにホンダではライトライン運行開始に合わせて、JR東日本宇都宮駅との間の送迎バスを廃止しています。こちらについては、自治体やLRT事業者との議論はないものの、バスの利用実績からシミュレーションを行い、LRTを利用する他の乗客への影響を確認したうえで判断したという説明でした。コスト削減だけでなく、周辺の渋滞緩和、バスの運転士不足対策など、数々のメリットが考えられます。
もうひとつ、今年度のグッドデザイン賞で特別賞のひとつであるグッドフォーカス賞 [地域社会デザイン]に輝いた、ダイハツ工業の福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」も紹介します。こちらは介護業界の人手不足を解決するために、介護施設の業務の3割を占めるという送迎の仕事を地域に委託したことに加え、複数の施設の利用者を乗合で送迎することで効率化を図るとともに、空き時間で地域内の他の移動も賄うというものです。
ゴイッショのオフィシャルサイトはこちら
グッドデザイン賞受賞ギャラリーはこちら
ゴイッショは香川県三豊市で2019年に実態調査を実施したあと、実証実験、プレ運行を経て、2022年6月に正式運行に発展。今年9月からは滋賀県野洲市でも実証実験が始まりました。同社の車両を使わなければいけないのかが気になりましたが、担当者に尋ねたところ他社の車両でもかまわないとのことで、この点も評価されてグッドフォーカス賞受賞となりました。
2つの事例に共通しているのは、自動車会社の本業である車両販売がなく、インフラ整備やサービス提供で社会との関わりを持ち、課題解決しようとしていることです。売るだけでは解決できないことが増えてきたのだと思いますが、どちらもモビリティという言葉にふさわしい事例であり、モーターショーがモビリティショーに移行した今後は、こうした取り組みがさらに増えていくのではないかと関心を寄せているところです。
そういえば来年は、トヨタ自動車が静岡県裾野市の工場跡地に建設を進めている「ウーブンシティ」の第1期建物が完成予定とのことです。モビリティの実証実験は2025年以降ということですが、先月近くを通ったところ、建物が形になりつつありました。ここまで書いてきた事例とは違い、ウーブンシティはゼロから構築していく地区であり、既存の地域より理想的なモビリティサービスが展開できるのではないかと期待しています。
ライトラインの芳賀町側終点の脇には、本田技研工業(ホンダ)および同社の研究開発を行う本田技術研究所の施設があります。かつてブログで紹介した東武鉄道東上線みなみ寄居駅がホンダの出資で生まれたので、そのような話があるか取材し、みなみ寄居駅の最新情報とともに「東洋経済オンライン」で記事にしました。くわしくはご覧になっていただければと思いますが、ルートや停留所の位置について要望はしなかったものの、軌道と車道の確保のため敷地の一部を提供したとのことでした。
最初の写真を見ると、停留所の設置に合わせて右側の車線がややオフセットしています。道路の右側はホンダ関係者の駐車場なので、この一部が提供されたと思われます。ライトラインへの土地提供と言えば、途中の清原地区市民センター前のトランジットセンターがもともと隣接するデュポンの敷地だったという記憶があります。ホンダでもそれに近い対応をしているということです。
さらにホンダではライトライン運行開始に合わせて、JR東日本宇都宮駅との間の送迎バスを廃止しています。こちらについては、自治体やLRT事業者との議論はないものの、バスの利用実績からシミュレーションを行い、LRTを利用する他の乗客への影響を確認したうえで判断したという説明でした。コスト削減だけでなく、周辺の渋滞緩和、バスの運転士不足対策など、数々のメリットが考えられます。
もうひとつ、今年度のグッドデザイン賞で特別賞のひとつであるグッドフォーカス賞 [地域社会デザイン]に輝いた、ダイハツ工業の福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」も紹介します。こちらは介護業界の人手不足を解決するために、介護施設の業務の3割を占めるという送迎の仕事を地域に委託したことに加え、複数の施設の利用者を乗合で送迎することで効率化を図るとともに、空き時間で地域内の他の移動も賄うというものです。
ゴイッショのオフィシャルサイトはこちら
グッドデザイン賞受賞ギャラリーはこちら
ゴイッショは香川県三豊市で2019年に実態調査を実施したあと、実証実験、プレ運行を経て、2022年6月に正式運行に発展。今年9月からは滋賀県野洲市でも実証実験が始まりました。同社の車両を使わなければいけないのかが気になりましたが、担当者に尋ねたところ他社の車両でもかまわないとのことで、この点も評価されてグッドフォーカス賞受賞となりました。
2つの事例に共通しているのは、自動車会社の本業である車両販売がなく、インフラ整備やサービス提供で社会との関わりを持ち、課題解決しようとしていることです。売るだけでは解決できないことが増えてきたのだと思いますが、どちらもモビリティという言葉にふさわしい事例であり、モーターショーがモビリティショーに移行した今後は、こうした取り組みがさらに増えていくのではないかと関心を寄せているところです。
そういえば来年は、トヨタ自動車が静岡県裾野市の工場跡地に建設を進めている「ウーブンシティ」の第1期建物が完成予定とのことです。モビリティの実証実験は2025年以降ということですが、先月近くを通ったところ、建物が形になりつつありました。ここまで書いてきた事例とは違い、ウーブンシティはゼロから構築していく地区であり、既存の地域より理想的なモビリティサービスが展開できるのではないかと期待しています。