先週に続いて佐賀県での話題を書きます。今回の出張では、3年前に武雄温泉〜長崎駅間が開業した西九州新幹線にも乗りました。さらに県内の複数の方との会話の中で、新幹線についての話も出てきたので、それを踏まえながら、佐賀県の視点で見た西九州新幹線の現状と今後について、綴っていきたいと思います。

西九州新幹線は、1970年代に整備新幹線として基本計画が決定し、80年代に現在とは違うルートでフル規格での公表がなされたものの、沿線自治体からの反対を受け、一度棚上げになりました。しかしその後、国鉄が分割民営化されると、佐賀および福岡・長崎の3県が、フル規格にこだわらない方式を議論し、在来線と同じ線路幅(狭軌)で、現在と同じ武雄温泉〜長崎間のみ新設路線とするスーパー特急方式を提案。国もこれを受け入れました。
その後スペインで実用化されており、我が国でも開発を進めていた、新幹線の標準軌と在来線の狭軌を直通できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車)の導入を国から提案され、佐賀県も同意します。その結果、武雄温泉〜長崎間は標準軌での建設が決まりました。ところがその後、フリーゲージトレインの開発でトラブルが目立つようになり、結局JR九州は採用を断念。現在のようにフル規格で整備され、武雄温泉駅での乗り換えでの開業になりました。

私が利用したのは土曜日ということもあり、列車はほぼ満席でした。佐賀駅からまず在来線の「リレーかもめ」に乗りますが、この時点で行き先は長崎になっていました。帰りの新幹線も武雄温泉行きではなく博多行きです。20分ほど乗って武雄温泉駅に到着。反対側の列車に乗り継ぐ、いわゆる「対面乗り換え」なので、荷物が少ない自分は楽に感じました。
新幹線は速い代わりにトンネルが多く、そうでない区間も多くは高いフェンスで覆われていて、景色はほとんど楽しめません。長崎駅までは新幹線だけだと約30分、佐賀〜長崎間は乗り換えを含めても1時間ぐらいですが、在来線の特急より30分速いだけなので、両方あったらどちらを選ぶか迷うかもしれません。
佐賀県は小さな県ですが、場所によって西九州新幹線への感想はさまざまなようです。まず北部の唐津市や東部の鳥栖市は、もともと福岡県とのつながりが強いので、ほとんど関心がないとのこと。佐賀市についても、博多駅に向かう特急列車の本数は開業前とほぼ同じなので、今のままで良いという声がありました。ただし西部の長崎本線沿いにある鹿島市の人は、佐賀駅や博多駅に向かう特急列車が激減して不便になったと話していました。
整備新幹線が開業した区間は、並行在来線が第三セクターの運営になるのが一般的です。しかし西九州新幹線の場合は、長崎本線の完全な並行ではないので、線路の保有を佐賀県および長崎県が行い、列車の運行が引き続きJR九州が担当する、上下分離方式になりました。同時に長崎県側は電化設備を外しましたが、鹿島市内の肥前浜駅より東側は特急列車が残ったので、電化も維持されました。

それ以外の駅周辺情報をインターネットで見てみると、西部の嬉野市で91年ぶりの駅となった嬉野温泉駅は、西隣の新大村駅が長崎空港に近いことから、長崎空港からのアクセスルートを大きく紹介していました。逆に佐賀県の人が長崎県に出かけることは、仕事でも観光でもあまりないようです。なので新幹線が全通しない現状のほうが便利であるとも言えます。
佐賀県はオフィシャルサイトを見ていただければわかるように、フリーゲージトレインでの開業という合意内容が生きているという立場で、全線フル規格にする場合は、建設費用や並行在来線の負担が増えるので、もう一度合意形成をすべきと考えています。佐賀県は長崎県諫早市の干拓事業に伴う堤防の設置で、漁業に影響が出たという歴史もあり、その点について言及する人もいました。堤防に続いて新幹線でも、国が長崎県側の主張を優先することに納得できないという意見は、理解できるところです。

佐賀県オフィシャルサイトの新幹線に関するページはこちら
これに対して国は、費用負担については法律で決まっており、変えられないとしています。逆に言えば国会議員に動いてもらい、法律を改正すれば制度を変えることはできます。また並行在来線を第三セクターとすることは、1990年代当時の政府と与党の合意によるもので、法律で決められているわけではないようです。現実に西九州新幹線の並行在来線の中で、利用者数が多い長崎本線の諫早〜長崎間は引き続きJR九州が線路を保有しています。
整備新幹線でまだ開業せずに残っているのは、ここと北陸新幹線の敦賀駅より西、北海道新幹線の函館新北斗駅より北ですが、すべて課題を抱えています。1970年代とはいろいろな状況が大きく変わっていることが、ここへきて表面化していると言えるわけであり、多くの人がこの問題に関心を持ち、時代に即したルールに変えていくという動きが必要ではないかと思っています。

西九州新幹線は、1970年代に整備新幹線として基本計画が決定し、80年代に現在とは違うルートでフル規格での公表がなされたものの、沿線自治体からの反対を受け、一度棚上げになりました。しかしその後、国鉄が分割民営化されると、佐賀および福岡・長崎の3県が、フル規格にこだわらない方式を議論し、在来線と同じ線路幅(狭軌)で、現在と同じ武雄温泉〜長崎間のみ新設路線とするスーパー特急方式を提案。国もこれを受け入れました。
その後スペインで実用化されており、我が国でも開発を進めていた、新幹線の標準軌と在来線の狭軌を直通できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車)の導入を国から提案され、佐賀県も同意します。その結果、武雄温泉〜長崎間は標準軌での建設が決まりました。ところがその後、フリーゲージトレインの開発でトラブルが目立つようになり、結局JR九州は採用を断念。現在のようにフル規格で整備され、武雄温泉駅での乗り換えでの開業になりました。

私が利用したのは土曜日ということもあり、列車はほぼ満席でした。佐賀駅からまず在来線の「リレーかもめ」に乗りますが、この時点で行き先は長崎になっていました。帰りの新幹線も武雄温泉行きではなく博多行きです。20分ほど乗って武雄温泉駅に到着。反対側の列車に乗り継ぐ、いわゆる「対面乗り換え」なので、荷物が少ない自分は楽に感じました。
新幹線は速い代わりにトンネルが多く、そうでない区間も多くは高いフェンスで覆われていて、景色はほとんど楽しめません。長崎駅までは新幹線だけだと約30分、佐賀〜長崎間は乗り換えを含めても1時間ぐらいですが、在来線の特急より30分速いだけなので、両方あったらどちらを選ぶか迷うかもしれません。
佐賀県は小さな県ですが、場所によって西九州新幹線への感想はさまざまなようです。まず北部の唐津市や東部の鳥栖市は、もともと福岡県とのつながりが強いので、ほとんど関心がないとのこと。佐賀市についても、博多駅に向かう特急列車の本数は開業前とほぼ同じなので、今のままで良いという声がありました。ただし西部の長崎本線沿いにある鹿島市の人は、佐賀駅や博多駅に向かう特急列車が激減して不便になったと話していました。
整備新幹線が開業した区間は、並行在来線が第三セクターの運営になるのが一般的です。しかし西九州新幹線の場合は、長崎本線の完全な並行ではないので、線路の保有を佐賀県および長崎県が行い、列車の運行が引き続きJR九州が担当する、上下分離方式になりました。同時に長崎県側は電化設備を外しましたが、鹿島市内の肥前浜駅より東側は特急列車が残ったので、電化も維持されました。

それ以外の駅周辺情報をインターネットで見てみると、西部の嬉野市で91年ぶりの駅となった嬉野温泉駅は、西隣の新大村駅が長崎空港に近いことから、長崎空港からのアクセスルートを大きく紹介していました。逆に佐賀県の人が長崎県に出かけることは、仕事でも観光でもあまりないようです。なので新幹線が全通しない現状のほうが便利であるとも言えます。
佐賀県はオフィシャルサイトを見ていただければわかるように、フリーゲージトレインでの開業という合意内容が生きているという立場で、全線フル規格にする場合は、建設費用や並行在来線の負担が増えるので、もう一度合意形成をすべきと考えています。佐賀県は長崎県諫早市の干拓事業に伴う堤防の設置で、漁業に影響が出たという歴史もあり、その点について言及する人もいました。堤防に続いて新幹線でも、国が長崎県側の主張を優先することに納得できないという意見は、理解できるところです。

佐賀県オフィシャルサイトの新幹線に関するページはこちら
これに対して国は、費用負担については法律で決まっており、変えられないとしています。逆に言えば国会議員に動いてもらい、法律を改正すれば制度を変えることはできます。また並行在来線を第三セクターとすることは、1990年代当時の政府と与党の合意によるもので、法律で決められているわけではないようです。現実に西九州新幹線の並行在来線の中で、利用者数が多い長崎本線の諫早〜長崎間は引き続きJR九州が線路を保有しています。
整備新幹線でまだ開業せずに残っているのは、ここと北陸新幹線の敦賀駅より西、北海道新幹線の函館新北斗駅より北ですが、すべて課題を抱えています。1970年代とはいろいろな状況が大きく変わっていることが、ここへきて表面化していると言えるわけであり、多くの人がこの問題に関心を持ち、時代に即したルールに変えていくという動きが必要ではないかと思っています。