THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

講演・調査・執筆などのご依頼はこちらからお願いいたします→info@mobilicity.co.jp

今週火曜日に熊本県を襲った地震は、最大震度7を観測し、現時点で36人の方が命を落とし、ショッピングセンターや製紙工場をはじめとする多くの被害がありました。この場を借りて亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。

個人的に直近で熊本を訪れたのは4年前で、10年前の地震や2020年の水害から立ち直りつつある姿を思い出しました。それとともに、15年前の東日本大震災の3か月後に、調査で現地に行ったときのことが記憶に蘇ってきました。あのとき宮城県石巻市を訪れたときの写真を見ながら、これから私たちはどう動いていけば良いのかを考えさせられました。

IMG_5381

当時は仙台駅と石巻駅を結ぶJR東日本仙石線が不通だったこともあり、代行バスで向かいました。そのとき目にしたのが最初の写真にある、災害援助車両の優先走行などをお願いする看板です。震災から3か月でこうなのですから、現在はさらに逼迫した状況であると想像します。まずは不要不急の自動車での移動は慎むべきであることを教えられます。

石巻市内では自衛隊や消防、警察をはじめ、災害対応の車両が数多く走っていました。もちろんその中には、東北以外から駆けつけた車両も目につきました。こうした車両も同じ道路を走行することになるわけで、それだけでも交通量は増加します。救助以外で県外から自動車で乗り入れるのは可能な限り控えるべきでしょう。

IMG_5439

今回の地震では、新幹線や高速道路が不通となっており、さまざまな手段で代替交通が運行されています。しかしながら、2年前の能登半島地震では、乗務員も被災して避難生活を送っているという話もありました。公共交通についても、なるべく地元の人や救助の人を優先するという気持ちが大事になりそうです。

交通以外のインフラでは、東日本大震災のときは電気がいち早く復旧し、その後ガスや水道という順番だったことが、下の内閣府の資料からもわかります。ガソリンスタンドは地震で使えなくなったところがあったうえに、供給が不足したこともあり、電気自動車が活用されていました。今回の熊本地震でも電気は昨日復旧したそうです。こうした状況では電気自動車はやはり有効だと思います。

sub2e
sub2g
sub2w
東日本大震災の被害をまとめた資料(内閣府)はこちら

今回は真夏ということもあって、エアコンが必須であるにもかかわらず、行政は避難所=体育館という固定観念から抜け出せないようで、車中泊を選ぶ人も多いようです。電気自動車はバッテリー容量が不安という人もいそうですが、15年前と今では格段の差があり、一晩エアコンを使っていてもバッテリーは1割程度しか減らない車種もあるそうです。

IMG_5462

今回もガソリンスタンドは一部が営業できなくなり、開いているスタンドに車両が列をなしましたが、売り切れとなったところもあるようです。石油会社は他県からの輸送を進めていますが、タンクローリーで運ぶので量には限りがあり、時間も要します。こうしたことを考えても、災害に強いエネルギーは電気ではないかと感じています。

IMG_5559

被災者の皆さんは、水やガスが出ない中、暑さに耐えつつ復興へ向けて歩みを始めるのは大変だと思います。だからこそ、必要のない人間が行くことで、現場をさらに混乱させないようにしたいものです。遠くにいる私たちは、熊本産の農産物や海産物を積極的に買うなどして、できるところから後押ししていくのが良いのではないかと思っています。

10年ぐらいぶりに二輪車を乗り換えました。先月から乗りはじめたのはドゥカティ「スクランブラー」で、年齢や体力を考えて軽い車両にしたかったのと、安全快適装備が充実したマシンにしたかったというのが理由にありました。特に後者については取材で何台かに試乗して、進化の幅が大きいと感じていたので、それを確かめてみようという気持ちもありました。

IMG_3204


最近、とりわけ中型以上の二輪車で目立つのが、クラッチ操作をせずに変速ができるトランスミッションの導入です。四輪車のATやCVTと似たような流れと思うかもしれませんが、大きく違うのはマニュアルトランスミッションをベースにクラッチの自動化を実現したところです。

IMG_1893

ホンダやヤマハ、BMWなどが手がけていて、メカニズムや操作方法、作動の感触は違いますが、どれもいままでのギアボックスを流用しながらクラッチ操作を省略しているので、楽しさはそのまま。それでいて一部の車種は四輪車のようにDレンジに入れたまま走れます。発進停止以外のクラッチ操作を不要としたクイックシフターという機構もあり、これは私のドゥカティにもついていて、ありがたいと思っているところです。



実は四輪車でも一時期、スポーツモデルに同様のメカニズムが搭載されましたが、変速ショックを嫌う人が多く、まもなく消滅しました。最近になってフェラーリが2ペダルでも3ペダルでもドライブできるトランスミッションを発表しましたが、こちらは2ペダルをベースにクラッチ操作も選べるようにしたもので、出発点が異なります。操縦の喜びをどこまで重視するか、が二輪車と四輪車で大きく違うことを教えられます。

この種のトランスミッションは安全でもあることは、ヤマハのサーキット試乗会で痛感しました。コーナーの手前でブレーキとシフトダウンを同時に行うときは、路面や速度の確認を行いつつ、両手両足をすべて駆使するので、どれかが遅れたり荒くなったりしがちです。AT限定の運転免許でも乗れるので、間口を広げる効果がありそうですが、ベテランライダーにも向く機構だと思いました。



安全性と言えばもうひとつ、6軸IMU (慣性計測装置)もあります。前後、左右、上下の軸をチェックするセンサーを持ち、車体を傾けながら曲がる二輪車の特性に合わせてABSやトラクションコントロールの効き方を制御してくれます。昔、タイヤが新品のスーパースポーツに試乗したとき、それほど速度を出していないのにコーナーでインジケーターが点滅していることに気づいて、文字どおり救われた気持ちになりました。

IMG_4104

こうした機能の切り替えを行ううえで不可欠なのがデジタルメーターです。一部の車種ではスマートフォンと連携して、電話の通話やナビの矢印表示などができます。アナログ式のメーターには独特の味わいがありますが、二輪車は四輪車のように大きなディスプレイは使えないので、多彩な機能をわかりやすく見せるという点で、メーターのデジタル化は賛同しています。

IMG_4059

二輪車は四輪車よりリスクの大きい乗り物ではありますが、道路交通そのものがリスクの大きい場であることを自覚しやすいことはメリットだと考えています。とはいえシニア予備軍の自分にとっては、楽しさを失わずに安全性や快適性をサポートしてくれる装備は、いつまでもライディングを楽しむうえで必須だと実感しているところです。

全国的に百貨店の閉店のニュースが多くなっています。その中でも大きく取り上げられたのが今年2月、地元の人たちは「名駅」と呼ぶ名古屋駅前の名鉄百貨店本店で、隣にある近鉄百貨店名古屋店「近鉄パッセ」ともども閉店となりました。たまに名古屋を訪れるたびに、駅前風景のひとつとして目にしていたので、今年の春に閉店後の姿を見て、ちょっとショックを受けました。

DSC07727

今週、その名鉄百貨店が入っていた名鉄ビルに、ヨドバシカメラが出店するという発表がありました。今年の夏にオープンとのことで、名古屋では繁華街の栄地区に続く2軒目ということになるそうです。ヨドバシカメラと言えば先月末、東京池袋の西武百貨店池袋本店にも新店舗ができたことを知っている人もいるでしょう。

日本のターミナルの周辺に家電量販店がある風景は、すっかりおなじみになりました。 こうした変化をネガに捉える人もいそうですが、もともとヨドバシカメラはヤマダデンキのようなロードサイド戦略ではなく、阪急百貨店や東急百貨店などが先駆者となったレールサイド戦略を、いち早く進めてきたという歴史があります。百貨店から家電量販店へ、業態が入れ替わったという見方もできるのではないでしょうか。

自分自身も、家電製品やカメラは買い物の中では高価なので、実際に手に取って選びたいし、専門知識があり、アフターサービスも信頼できるので、事務所から近い新宿駅西口のヨドバシカメラ本店はよく行きます。百貨店の閉店が続く中、家電量販店の新規出店が続いているのは、そのように考える人が多いからではないかと思っています。

DSC07775

ところで当日は名駅から、以前少し紹介した新たな路面交通システム「SRT(Smart Roadway Transit)」に乗って栄に行きました。SRTは都心部の回遊性向上や賑わいの拡大を図るために導入されたもので、LRTやBRTのような高速(Rapid)は求めず、名古屋市営地下鉄東山線で約5分で移動できる名古屋~栄間を約15分かけて走っています。今後は名駅と名古屋城を結ぶ系統なども考えられているようです。

DSC07751

SRT名古屋のオフィシャルサイトはこちら

運行は名鉄バスが担当。車両はメルセデス・ベンツ製で、アーバンゴールドとブラックの2トーンは他の路線バスとの違いが際立ちます。車内は木を多用し、間接照明も取り入れていて、レイアウトを含めて斬新でした。私が名古屋市内を移動するときはもっぱら地下鉄なので、地上の景色を眺めながらゆっくり移動するのは新鮮だったし、地上を走る乗り物ならではのわかりやすさも感じました。

栄は高層ビルが林立し、多くのオフィスがある名駅周辺とは対照的に、テレビ塔がある幅100mの久屋大通の中央が「ヒサヤオオドオリパーク」になっていました。開業は2020年で、園内に飲食店や商業施設を設け、その収益を公園の管理や整備の一部に充当するPark-PFI方式を導入しており、公園ならではの開放感はそのままに、低層の商業施設を組み込んだ作りに好感を持ちました。週末だったこともあり、名駅に比べて若者が多く、2つの繁華街が棲み分けできている感じもしました。

IMG_2119

雰囲気的には昨年訪れた大阪梅田駅北側の「うめきた広場」に通じる場でした。モノの豊かさを追い求め続ける東京で暮らすひとりとして、コトの豊かさにも気を配った名古屋や大阪がうらやましいと感じました。

このページのトップヘ