THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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成田空港へのアクセス輸送も担当している京成電鉄が昨日、押上〜成田空港間を結ぶ新型有料特急列車の車両コンセプトとデザインを公開し、愛称を募集するという発表がありました。 現在の「スカイライナー」に代わる車両ということになりそうですが、個人的に目を引いたのは、京成上野駅ではなく、押上駅発着としていることです。

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京成電鉄のニュースリリースはこちら

京成上野駅はJR東日本や東京メトロの上野駅からやや離れているのに対し、押上駅は東武鉄道や東京メトロ、都営地下鉄が乗り入れているうえに、将来的には現在走っている特別料金なしの「アクセス特急」と同じように、都営浅草線や京浜急行電鉄への直通運転も目指しているとのこと。羽田空港に乗り入れれば、浅草や日本橋から2つの空港に乗り換えなしで行けることになります。

このニュースを見て、これまで私が海外で利用してきた空港アクセス鉄道がいくつか頭に浮かびました。そこで印象に残った事例を紹介しつつ、どんなモビリティがふさわしいのかを書いていきたいと思います。

まず思い出したのが、中国の上海浦東空港と龍陽路駅の間を結ぶ磁気浮上式鉄道「上海トランスラピッド」です。ただこちらは、かつては430km/hという世界最高速度をアピールしていたものの、近年は300km/hにスピードダウンしているうえに、市内側の駅は中心部から10kmほど離れており、地下鉄などに乗り換えなければなりません。空港アクセスは「まちなかに直行できるか」も大切だと教えられます。

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欧州でも国際空港に高速鉄道が乗り入れる例はいくつかあります。でもこちらは空港をターミナル駅のひとつと考えているようです。日本と違って、高速鉄道と普通の鉄道の軌間(ゲージ)が同じなので、乗り入れしやすいこともあるうえに、環境対策から飛行機移動を鉄道にシフトする動きもありますが、両者がライバル関係でありつつ、手を組んでモビリティの向上を目指していることが伝わってきます。

モノレールは日本でしか乗ったことがありませんが、中国の重慶、イタリアのボローニャなどでも運行しているようです。神戸空港に向かうポートライナーなどのAGT (いわゆる新交通システム)は、パリ郊外のもうひとつの空港、オルリー利用時に乗車しました。そして中規模の都市では、LRTを使った空港アクセスも体験しました。

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中でも印象的だったのは、まちづくりの一環としてLRT (MAXライトレール)を導入した米国オレゴン州ポートランドです。空港周辺の郊外は専用軌道を高速で走り、ダウンタウンに入ると速度を落として併用軌道を進み、空港とは反対側の郊外に向かいます。車内には自転車を立て掛けておけるフリースペースがあり、スーツケースの置き場所にも困りませんでした。

その後、私はエストニアのタリンでも空港アクセスのLRTを利用しました。フランスのニースやルクセンブルクは、訪問後に空港乗り入れが実現しました。中規模都市の空港アクセスのひとつの流れになっているような感じがします。「バスでいいじゃないか」という声も出そうですが、空港アクセスは定時性が重視されるし、路線のわかりやすさではやはりLRTを含めた鉄道が上だと感じています。

今回の発表のような、同じ都市圏の2つの空港を都心経由で結ぶルートは、上海トランスラピッドも計画があったようですが実現せず、パリのシャルル・ド・ゴール空港に乗り入れるRERはオルリー空港近くでAGTに乗り換えなければなりません。しかも日本のそれは3つの鉄道事業者が連携しているわけで、2空港を結び、そこに座席指定列車も走るというのは、画期的ではないかと思います。

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そしてもうひとつ、日本が誇る空港アクセス鉄道と言えば、福岡市地下鉄空港線を忘れてはいけません。福岡空港駅からわずか2駅で博多駅、5駅で天神駅という利便性は世界的にトップレベル。クレジットカードのタッチ決済も早期に導入しました。JR筑肥線に乗り入れて佐賀県唐津市まで行く列車もあります。日本の鉄道事業はさまざまな制約がありますが、その中で便利で快適な空港アクセスを提供しようという意志は伝わってきます。今後の提案にも期待しています。

北陸新幹線のうち、まだ開業していない敦賀〜新大阪駅間がルートで揉めています。自民党と日本維新の会は6月30日、延伸を議論する与党整備委員会の会合を国会内で開き、京都府の西脇隆俊知事、京都市の松井孝治市長から意見聴取しましたが、両氏とも国家プロジェクトとしての意義を認めたうえで、建設費の地元負担軽減や地下水などに対する住民不安の解消を訴えました。

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このブログでは昨年、佐賀市に行った際に、同じ整備新幹線のひとつである西九州新幹線を取り上げました。今回は少し前にブログで触れた鉄道技術展・大阪2026およびRDEフォーラムの帰り、用事があって金沢経由としたので、延伸区間を在来線で利用しました。そのときの印象を含めて書いていきます。参考資料として関西メディアのひとつ、読売テレビの解説も紹介しておきます。

整備新幹線の財源は、JR各社が支払う貸付料の一部を充てた残りを、国と沿線自治体が2対1で負担します。半世紀以上前に決められたこの枠組み自体、現在の東京への一極集中と地方の人口減少にそぐわないことは明らかですが、そこは「変われない日本」、残り3区間なので、このまま押し通したいという気持ちではないかと察しています。

上で紹介した与党整備委員会のヒアリングでは、松井市長が現行の小浜・京都ルートについて「われわれは誘致していない」と難色を示したとのこと。ただ国としては、こうした要望を受け入れて自治体の負担をゼロにすると、これまでの整備新幹線すべてに適用しなければ不公平なので、現実的には無理な話でしょう。

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読売テレビのニュース解説はこちら

注目は、京都府にとっては北部の亀岡市や舞鶴市が誘致しているうえに、一部のルートでは県南部の京田辺市を通ることもあって、賛成か反対かを明言していないことです。一方で東隣の滋賀県は、並行在来線が第三セクター化されることを危惧しており、県内通過は反対の立場です。これらが問題を複雑にしているような感じを受けます。

そんな中、本命と言える小浜・京都ルートとしつつ、京都市中心部を通らない経路として注目されているのが、JR西日本京都線桂川駅を経由する「桂川案」です。以前、取材で訪れたことがありますが、500mほど西に阪急電鉄京都本線の洛西口駅があり、間にあるのはイオンモール京都桂川店と陸上自衛隊桂駐屯地なので、地下駅であれば設置は大変ではないと思えるし、京都駅から2駅と近いので、新大阪駅に近い感覚で使えそうです。

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しかし今回、ブログで紹介した嵐電「KYOTRAM」に乗ったあと、JR京都駅から特急「サンダーバード」で敦賀を目指しながら、在来線活用の湖西ルートもありだと思うようになりました。私が乗ったサンダーバードは途中無停車で、敦賀まで52分。敦賀側のトンネルを新たに掘り、湖西線の悩みの種である防風性能を高めれば、満足できるのではないかと感じたのです。

理想はフル規格ですが、並行在来線の第三セクター化の問題を考えるなら、ミニ新幹線という手法もあります。法律上は新幹線ではないので、山形・秋田新幹線のように、在来線をJRで残すことも可能かもしれません。山形・秋田はフル規格の車両と併結ですが、こちらでは主に金沢駅より西側を単独で担当する形を想定しています。

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北陸新幹線に話を戻すと、整備委員会は来週、大阪府と大阪市へのヒアリングを行ったあと、17日までにルートを決める方針だそうです。ミニ新幹線のような変更は難しそうで、小浜・京都ルートを軸にしていく気がします。多くの人が賛同する決定を望みたいですが、現実的にはどれを選んでも不満は出るはずです。「北陸新幹線」という名前のとおり、延伸を待ち望んでいる北陸の人たちの気持ちを尊重して、早めに道筋を示すことが大事だと考えています。

なお今回から、Noteでも同じ内容を週明けに公開することになりました。今後、2つのメディアをどうするか、しばらく続けながら考えたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

自動車に興味がある人なら、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)の新車購入時に、国や自治体から補助金が出ることは知っていると思います。今週そのうち東京都が、下にあるように今年度のEVおよびPHEVの補助金(以下EV補助金)の上限額を引き上げました。EVでは最大100万円から130万円、PHEVは最大85万円から115万円にアップしています。

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東京都「令和8年度EV・PHEVの補助上限額を一部引上げ」オフィシャルサイトはこちら

東京都は日本の都道府県の中ではもっとも自動車を保有しにくい場所です。地価が高いので、駐車場を借りたり停めたりするのにコストが掛かるからです。ちなみに私が借りている東京23区内の月極駐車場は、月3万円です。地方に住む人が見たら驚く数字ではないでしょうか。それに鉄道をはじめとする公共交通が発達しているので、自動車に乗らなくても移動に不便は感じません。にもかかわらず、補助金は他の道府県を圧倒しているのです。

東京都の財源が、他の自治体とは比べ物にならないほど余裕があることは、子育て支援などさまざまな面で報じられています。これらは間違いなく一極集中を助長するものですが、議論を行う国会議員も、日本の議員数は人口に比例しているので、一極集中になりつつあります。本来EVは、一軒家が多く、公共交通が不便な地方こそ生きるはずなのに、現実は豊富な財源をバックに環境アピールの材料として使われている感があります。

もうひとつ気になるのは、メーカーごとの補助金に差があることです。東京都の資料を見ると、メーカー別では日本と米国は多く、欧州は中間、中国と韓国は少ないという傾向が読み取れます。実はこの傾向、国のクリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金にも見られます。というか国のそれは、えげつないという表現を使いたくなるレベルになっています。

いくつかの車種について、2024年度と今年度の補助金の推移を紹介すると、以下のようになります。

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テスラ「モデルY」 87→127万円
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ミニ「エースマン」45→45万円
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BYD「シーライオン7」 35〜45→15万円

この3車種、車両価格に大きな差はないうえに、生産している場所はどれも中国です。テスラは高性能で扱いやすい独自の充電ネットワークを用意するなど、インフラにも多大な投資をしているので、以前から補助金が多かったことは納得できますが、テスラがBYDの8倍以上というのは、ミニを含めた3台を実際に乗った者として、驚くしかありません。

なぜこのような差が出ているのでしょうか。経済産業省のホームページを見ると、「日米関税競技の合意も踏まえて」見直しを行ったという記述がありました。また同省では各年度の算定基準も掲載していますが、昨年度(上の表)と比べると、今年度(下の表)は点数の半分が供給の安定性/サイバーセキュリティへの対応に充てられていることが目立ちます。この2つの視点が、日米優遇、中韓冷遇という状況につながったのかもしれません。

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経済産業省「クリーンエネルギー自動車の導入補助金」オフィシャルサイトはこちら

ところでEVなどの補助金については以前から、ガソリン車やハイブリッド車に乗る人たちから、不公平であるという意見が出されてきました。このブログを見て、あらためてそういう思いを抱いている人もいるでしょう。

ただし今はガソリンにも補助金が入っているので、EVだけを非難するのは公平ではありません。それでも不満を言いたくなるのは、EV補助金がユーザーに直接還元されるのに対し、ガソリンの補助金は石油会社に出されているためもあるでしょう。EV以上にグレーな部分が多いガソリンの補助金も、クリアになってほしいものです。

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