10月24日から11月4日まで開催される第46回東京モーターショーが、これまでのモーターショーといろいろな面で違っているというニュースを目にした人は多いでしょう。開催に先駆けてプレスデーに足を運び、会場内外で多くの関係者と意見を交換したひとりとして、「小型・電動」にフォーカスして概要を紹介するとともに感想を記します。
2017年に世界の自動車関連イベントの調査を行なった経験から、同年と今年の主なモーターショーの入場者数を比較すると、米国デトロイトは80万人から77万人、スイス・ジュネーブは65万人から60万人、中国・上海は101万人から99万人、ドイツ・フランクフルトは81万人から56万人、偶数年開催のフランス・パリは2016年の125万人が昨年は107万人と、上海を含めた全会場で減少になっています。
東京も2015年の81万人から2017年は77万人と、フランクフルトやパリほどではないにせよ入場者数を減らしています。現状維持では今後、減少が続いていくのは十分に予想できることで、米国のCES(家電見本市)やSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)のように、違った盛り上げ方を考えても良いのではないかと思いつつ会場に踏み入れたところ、随所に改革の姿勢が見えたので好感を抱きました。
来年東京オリンピック・パラリンピックが開催される関係で、今回は会場として使ってきた東京ビッグサイトの一部が使えないので、代わりに1.5kmほど離れたトヨタ自動車のショールームMEGA WEBおよび隣接した特設展示棟を使い、有明エリアと青海エリアの2拠点展開としています。両エリアの連絡はシャトルバスだけでなく、遊歩道を活用したオープンロードと呼ばれる道を、電動キックボードやパーソナルモビリティなどで移動可能。超小型モビリティの試乗もできます。
これらはいずれも多くの人にとって初めて触れるモビリティであるはずで、乗り味や走り味に新鮮な印象を受けるのではないでしょうか。この体験を通してひとりでも多くの人が電動キックボードやパーソナルモビリティ、超小型モビリティをラストマイルの足として評価し、それが我が国での本格導入につながっていくことを望んでいます。
青海エリアのMEGA WEBを入場無料としたことも特徴です。しかもFUTURE EXPOと名付けたこのスペースは、自動車だけでなく電気や通信など多様な業界が集結しており、モビリティ専業の会社からは生まれないような提案が並んでいました。移動者のみならず、移動を提供する自動車メーカーの人たちにも新鮮に映ったのではないでしょうか。
自動車会社の展示では、メーカーごとに異なるビジョンを示していたことが新鮮でした。たとえば電動車両では「クルマは展示しない」というポリシーでモビリティサービスに注力したトヨタ自動車、人間が操ることを大事にしたヤマハ発動機、ブランドとしてのデザインとエンジニアリングを貫いたマツダなど、変革の時代に対して多彩な回答を用意しており、日本の自動車業界が多様性に富んでいるという事実を再認識しました。
このうちヤマハのコンセプトビークルやブースなどのデザインを指揮した同社デザイン本部長の長屋明浩氏が、以前紹介した静岡文化芸術大学での私の公開講座(11月16日)にゲストとして参加していただけることになりました。「これからのモビリティ」というテーマで、地元メーカーのデザインのトップとして、モーターショーとは違う話題を出していただけるのではないかと期待しています。ご興味のある方は足をお運びください。
もっとも移動という面では、前回は展示棟の脇にあった会場間連絡シャトルバス乗り場が展示棟から離れた路線バス乗り場のさらに奥になったうえに、会場の脇を走る新交通システムゆりかもめとの連携がないなど、不満に感じる部分もありました。モビリティは人の移動のしやすさという意味ですから、自動車業界の方々も公共交通の存在意義を理解し、競争よりも共創の精神で快適な移動を提供してほしいと思いました。
ところで東京モーターショーでは、美術館や博物館などと同じようにガイドツアーが用意されています。ガイドを担当するのは私も所属している日本自動車ジャーナリスト協会のメンバーで、上記オフィシャルサイトから申し込みできます。これからモーターショーに出かけるという方、利用してみてはいかがでしょうか。
2017年に世界の自動車関連イベントの調査を行なった経験から、同年と今年の主なモーターショーの入場者数を比較すると、米国デトロイトは80万人から77万人、スイス・ジュネーブは65万人から60万人、中国・上海は101万人から99万人、ドイツ・フランクフルトは81万人から56万人、偶数年開催のフランス・パリは2016年の125万人が昨年は107万人と、上海を含めた全会場で減少になっています。
東京も2015年の81万人から2017年は77万人と、フランクフルトやパリほどではないにせよ入場者数を減らしています。現状維持では今後、減少が続いていくのは十分に予想できることで、米国のCES(家電見本市)やSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)のように、違った盛り上げ方を考えても良いのではないかと思いつつ会場に踏み入れたところ、随所に改革の姿勢が見えたので好感を抱きました。
来年東京オリンピック・パラリンピックが開催される関係で、今回は会場として使ってきた東京ビッグサイトの一部が使えないので、代わりに1.5kmほど離れたトヨタ自動車のショールームMEGA WEBおよび隣接した特設展示棟を使い、有明エリアと青海エリアの2拠点展開としています。両エリアの連絡はシャトルバスだけでなく、遊歩道を活用したオープンロードと呼ばれる道を、電動キックボードやパーソナルモビリティなどで移動可能。超小型モビリティの試乗もできます。
これらはいずれも多くの人にとって初めて触れるモビリティであるはずで、乗り味や走り味に新鮮な印象を受けるのではないでしょうか。この体験を通してひとりでも多くの人が電動キックボードやパーソナルモビリティ、超小型モビリティをラストマイルの足として評価し、それが我が国での本格導入につながっていくことを望んでいます。
青海エリアのMEGA WEBを入場無料としたことも特徴です。しかもFUTURE EXPOと名付けたこのスペースは、自動車だけでなく電気や通信など多様な業界が集結しており、モビリティ専業の会社からは生まれないような提案が並んでいました。移動者のみならず、移動を提供する自動車メーカーの人たちにも新鮮に映ったのではないでしょうか。
自動車会社の展示では、メーカーごとに異なるビジョンを示していたことが新鮮でした。たとえば電動車両では「クルマは展示しない」というポリシーでモビリティサービスに注力したトヨタ自動車、人間が操ることを大事にしたヤマハ発動機、ブランドとしてのデザインとエンジニアリングを貫いたマツダなど、変革の時代に対して多彩な回答を用意しており、日本の自動車業界が多様性に富んでいるという事実を再認識しました。
このうちヤマハのコンセプトビークルやブースなどのデザインを指揮した同社デザイン本部長の長屋明浩氏が、以前紹介した静岡文化芸術大学での私の公開講座(11月16日)にゲストとして参加していただけることになりました。「これからのモビリティ」というテーマで、地元メーカーのデザインのトップとして、モーターショーとは違う話題を出していただけるのではないかと期待しています。ご興味のある方は足をお運びください。
もっとも移動という面では、前回は展示棟の脇にあった会場間連絡シャトルバス乗り場が展示棟から離れた路線バス乗り場のさらに奥になったうえに、会場の脇を走る新交通システムゆりかもめとの連携がないなど、不満に感じる部分もありました。モビリティは人の移動のしやすさという意味ですから、自動車業界の方々も公共交通の存在意義を理解し、競争よりも共創の精神で快適な移動を提供してほしいと思いました。
ところで東京モーターショーでは、美術館や博物館などと同じようにガイドツアーが用意されています。ガイドを担当するのは私も所属している日本自動車ジャーナリスト協会のメンバーで、上記オフィシャルサイトから申し込みできます。これからモーターショーに出かけるという方、利用してみてはいかがでしょうか。