昨日、京都大学で特別講義を担当させていただきました。カーボンニュートラルや新型コロナウイルス感染症への対策を含めた、国内外のモビリティの最近の動きを、リアルとオンラインのハイブリッドで話しました。受講していただいた学生の方々と担当の先生に、この場を借りてお礼を申し上げます。
ここでは講義内容の中から、拙著「MaaSが地方を変える」でも取り上げた山口市の取り組みを紹介します。同市では、これまでのように行政や事業者だけの努力では地域交通の維持に限界があることから、市民が自主的に考え動くことが必要と考え、2006年という早い時期から、市長が中心となって住民参加を呼びかけてきたことが特筆できます。
山口市は2005年と2010年に周辺の町と合併することで、市域を拡大してきました。同市ではこのうち山口と小郡を都市核、小郡以外の合併前の旧町拠点を地域核と考え、それぞれの核の間はJRなどの交通事業者が輸送を担当することにする一方、地域核と生活拠点を結ぶ交通などについては、住民が主体となって交通を整備することにしたのです。わかりやすい役割分担だと思っています。
住民主体の交通の代表が、地域住民が自主運行するコミュニティタクシーです。地域内をきめ細かく廻り、地域の中心地や駅・バス停までを結ぶ定時定路線の乗合交通で、2007年にまず小郡の「サルビア号」が運行を開始しました。市民交通計画の策定と同じ年に走りはじめたことから、同時並行で検討が進められたことがわかります。運行地域はしだいに拡大し、現在は7地域で運行しています。
地域住民は、路線や時刻を考えるだけでなく、年に何度も会議を開き、車両への乗り込みヒアリング調査をしながら、より利用しやすい経路やダイヤへと改善を進めているとのことです。ただし運行はタクシー会社が受託しています。行政は取り組みを支援し、地域に適したコミュニティ交通として守り育てていく役目を担っています。
グループタクシーという制度もあります。こちらは駅やバス停から離れた地域に住む高齢者にタクシー券を交付するもので、1乗車につき1人1枚の使用が可能ですが、特徴的なのは相乗りを可能としており、3人で乗れば3人分の利用券が使えるので、相乗りするほどお得になります。4人以上のグループを集落などで作り、代表者を決め、その人が申請することで利用券を受け取る仕組みなので、外出促進で高齢者の健康維持に貢献するだけでなく、地域のつながりをも促進することになりそうです。
もちろん行政が何もしていないわけではなく、前述したコミュニティバスなどを走らせているほか、昨年9月からは自転車シェアリングも導入。これらの交通をトータルで考えるという観点から、市内の鉄道やバスの時刻表をひとつにまとめ、マップとともに発行してもいます。以前のブログで紹介したパークアンドライド駐車場「置くとバス駐車場」も取り組みのひとつと言えるでしょう。
多くの地方都市が、山口市と同じような悩みを持っていると思います。その悩みを自治体や事業者だけで抱え込んでしまい、減便や廃止になってしまう例もあるでしょう。ただ地域交通の良し悪しは市民がいちばんよく知っているはずですし、そもそも民主主義の国ですから、本来はひとりひとりがもっと地域のことを考えていいはずです。なので山口市の方針には納得していますし、まちづくりの知識や経験が養われる市民は多くなりそうで、それがプラスに働くのではないかと期待しています。
ここでは講義内容の中から、拙著「MaaSが地方を変える」でも取り上げた山口市の取り組みを紹介します。同市では、これまでのように行政や事業者だけの努力では地域交通の維持に限界があることから、市民が自主的に考え動くことが必要と考え、2006年という早い時期から、市長が中心となって住民参加を呼びかけてきたことが特筆できます。
山口市は2005年と2010年に周辺の町と合併することで、市域を拡大してきました。同市ではこのうち山口と小郡を都市核、小郡以外の合併前の旧町拠点を地域核と考え、それぞれの核の間はJRなどの交通事業者が輸送を担当することにする一方、地域核と生活拠点を結ぶ交通などについては、住民が主体となって交通を整備することにしたのです。わかりやすい役割分担だと思っています。
住民主体の交通の代表が、地域住民が自主運行するコミュニティタクシーです。地域内をきめ細かく廻り、地域の中心地や駅・バス停までを結ぶ定時定路線の乗合交通で、2007年にまず小郡の「サルビア号」が運行を開始しました。市民交通計画の策定と同じ年に走りはじめたことから、同時並行で検討が進められたことがわかります。運行地域はしだいに拡大し、現在は7地域で運行しています。
地域住民は、路線や時刻を考えるだけでなく、年に何度も会議を開き、車両への乗り込みヒアリング調査をしながら、より利用しやすい経路やダイヤへと改善を進めているとのことです。ただし運行はタクシー会社が受託しています。行政は取り組みを支援し、地域に適したコミュニティ交通として守り育てていく役目を担っています。
グループタクシーという制度もあります。こちらは駅やバス停から離れた地域に住む高齢者にタクシー券を交付するもので、1乗車につき1人1枚の使用が可能ですが、特徴的なのは相乗りを可能としており、3人で乗れば3人分の利用券が使えるので、相乗りするほどお得になります。4人以上のグループを集落などで作り、代表者を決め、その人が申請することで利用券を受け取る仕組みなので、外出促進で高齢者の健康維持に貢献するだけでなく、地域のつながりをも促進することになりそうです。
もちろん行政が何もしていないわけではなく、前述したコミュニティバスなどを走らせているほか、昨年9月からは自転車シェアリングも導入。これらの交通をトータルで考えるという観点から、市内の鉄道やバスの時刻表をひとつにまとめ、マップとともに発行してもいます。以前のブログで紹介したパークアンドライド駐車場「置くとバス駐車場」も取り組みのひとつと言えるでしょう。
多くの地方都市が、山口市と同じような悩みを持っていると思います。その悩みを自治体や事業者だけで抱え込んでしまい、減便や廃止になってしまう例もあるでしょう。ただ地域交通の良し悪しは市民がいちばんよく知っているはずですし、そもそも民主主義の国ですから、本来はひとりひとりがもっと地域のことを考えていいはずです。なので山口市の方針には納得していますし、まちづくりの知識や経験が養われる市民は多くなりそうで、それがプラスに働くのではないかと期待しています。