JR九州(西日本旅客鉄道)の西九州新幹線が昨日開業しました。路線や運行などの情報はニュースを見ていただくとして、今回は開業に便乗する形で、私も何度か利用したことがあるJR九州のデザインを取り上げます。といっても、新幹線や特急列車、「ななつ星in九州」に代表される観光列車ではなく、地域輸送を支える通勤・近郊型車両にスポットを当てます。
JR九州のデザインと言えば、鉄道にくわしくない人でも、ドーンデザイン研究所代表取締役を務める水戸岡鋭治氏が手がけていることを知っているのではないでしょうか。西九州新幹線を走りはじめたN700S系も、基本設計は東海道・山陽新幹線を走る車両と共通ですが、内外装のデザインは同氏が担当しています。
水戸岡氏は九州出身ではなく、岡山市生まれです。福岡県内のホテルのアートディレクションを担当し、お披露目式に参加した際に、当時のJR九州社長とつながりを持ったことがきっかけだそうです。その後このホテルの脇を走る香椎線用の観光列車を、既存のディーゼルカーの改造により実現。これが評価され、以降のJR九州の車両を一手に引き受けることになりました。
個性的なデザインは他の地域でも注目を集め、地元岡山の両備グループが運営する岡山電気軌道や和歌山電鐵をはじめ、富士急行(富士山麓電気鐵道)や京都丹後鉄道など、全国各地の鉄道車両を担当。バスもこのブログでかつて紹介した、東京の池袋駅周辺を走るIKEBUSなどをデザインしています。
ここまで紹介してきたのは多くが観光向けです。メディアで紹介される車両もほとんどそうなので、水戸岡氏=観光車両のイメージが強いかもしれません。しかも多くの作品は、子どもが乗って喜ぶことを重視して、エンターテインメントを強調した仕立てなので、演出が過剰だと感じる人もいるでしょう。しかし九州に行くと、すべての水戸岡デザインがそういうテイストで統一されているわけではないことがわかります。
写真で紹介するのは私が出会った車両です。外観は黒や赤を効果的に使いつつ、機能的に仕上げており、車内は木や金属を使ったり、座席のファブリックを変えたりして、モダンでクールな雰囲気が伝わってきます。とりわけ福岡市と佐賀県唐津市を結ぶ筑肥線は、福岡市営地下鉄と相互乗り入れを行っていて、両者の車両を乗り比べることができるので一目瞭然です。
駅舎についても同じことがいえます。ここでは鹿児島本線の上熊本駅を紹介しますが、通勤車両同様、木を多用しながら落ち着いた雰囲気でまとめられており、たま駅長をモチーフにした和歌山電鉄貴志川線の貴志駅とは対照的です。つまり水戸岡氏は移動と観光をしっかりわけて考え、それぞれに合ったデザインを与えているのです。
現在の通勤車両は多くが基本構造を共用しており、ホームドアによって利用者が目にできる範囲も狭くなっているので、デザインの自由度は昔に比べると少なくなっています。それを考えれば、観光列車とは一線を画しつつ、その土地の車両であることを主張しているJR九州の通勤・近郊形車両は、もっと注目されていいと思います。たとえ通勤電車であっても、乗ってみたくなる気持ちになることは大事です。
JR九州のデザインと言えば、鉄道にくわしくない人でも、ドーンデザイン研究所代表取締役を務める水戸岡鋭治氏が手がけていることを知っているのではないでしょうか。西九州新幹線を走りはじめたN700S系も、基本設計は東海道・山陽新幹線を走る車両と共通ですが、内外装のデザインは同氏が担当しています。
水戸岡氏は九州出身ではなく、岡山市生まれです。福岡県内のホテルのアートディレクションを担当し、お披露目式に参加した際に、当時のJR九州社長とつながりを持ったことがきっかけだそうです。その後このホテルの脇を走る香椎線用の観光列車を、既存のディーゼルカーの改造により実現。これが評価され、以降のJR九州の車両を一手に引き受けることになりました。
個性的なデザインは他の地域でも注目を集め、地元岡山の両備グループが運営する岡山電気軌道や和歌山電鐵をはじめ、富士急行(富士山麓電気鐵道)や京都丹後鉄道など、全国各地の鉄道車両を担当。バスもこのブログでかつて紹介した、東京の池袋駅周辺を走るIKEBUSなどをデザインしています。
ここまで紹介してきたのは多くが観光向けです。メディアで紹介される車両もほとんどそうなので、水戸岡氏=観光車両のイメージが強いかもしれません。しかも多くの作品は、子どもが乗って喜ぶことを重視して、エンターテインメントを強調した仕立てなので、演出が過剰だと感じる人もいるでしょう。しかし九州に行くと、すべての水戸岡デザインがそういうテイストで統一されているわけではないことがわかります。
写真で紹介するのは私が出会った車両です。外観は黒や赤を効果的に使いつつ、機能的に仕上げており、車内は木や金属を使ったり、座席のファブリックを変えたりして、モダンでクールな雰囲気が伝わってきます。とりわけ福岡市と佐賀県唐津市を結ぶ筑肥線は、福岡市営地下鉄と相互乗り入れを行っていて、両者の車両を乗り比べることができるので一目瞭然です。
駅舎についても同じことがいえます。ここでは鹿児島本線の上熊本駅を紹介しますが、通勤車両同様、木を多用しながら落ち着いた雰囲気でまとめられており、たま駅長をモチーフにした和歌山電鉄貴志川線の貴志駅とは対照的です。つまり水戸岡氏は移動と観光をしっかりわけて考え、それぞれに合ったデザインを与えているのです。
現在の通勤車両は多くが基本構造を共用しており、ホームドアによって利用者が目にできる範囲も狭くなっているので、デザインの自由度は昔に比べると少なくなっています。それを考えれば、観光列車とは一線を画しつつ、その土地の車両であることを主張しているJR九州の通勤・近郊形車両は、もっと注目されていいと思います。たとえ通勤電車であっても、乗ってみたくなる気持ちになることは大事です。