都市に住む人にとって欠かせない憩いの場である公園。しかしながら心地よい空間を作り、保っていくためには、想像を超えた労力や工夫が必要です。とはいえ日本にも、運営面で評価されている公園はいくつかあります。その中から今回は、Park-PFI制度を使って魅力的な空間に生まれ変わった、大阪府堺市の大蓮公園に行ったので、この場で報告させていただきます。
Park-PFIとはパーク・プライベート・ファイナンス・イニシアチブの略で、2017年の都市公園法改正により新たに設けられた、公募設置管理制度のことです。園内に飲食店や売店などの施設を設置し、こうした施設から得られる利益を使って周辺の広場や遊歩道の整備を一体に行う事業者を、公募により選ぶというものです。
東京都の新宿中央公園、福岡県の大濠公園など、全国各地に実例がありますが、大蓮公園はその中でも専門家の評価が高く、今年度のグッドデザイン賞で金賞にも輝いています。私も審査委員のひとりとして説明を聞いているうちに、実際に見に行きたくなり、京都で用事があったので足を伸ばしたというわけです。
大蓮公園は堺市と和泉市に広がる泉北ニュータウンの中にある公園で、ニュータウンを貫く泉北高速鉄道の泉ヶ丘駅から徒歩10分のところにあります。公園自体は1982年に開園しており、名前の由来である大蓮池が面積の3分の1を占めています。敷地の中ほどには、建築家の槙文彦氏が設計した資料館がありましたが、2016年に閉館しており、取り壊すかどうかという議論が進んでいたようです。
そこで堺市はPark-PFIの導入を決断。選ばれたのは、泉北高速鉄道などが属する南海グループでした。資料館は同じ大阪府のアウトドアブランド「DOD」とのコラボで、カフェやBBQサイト、テレワークスペース、図書館などが入るスペースに作り替え、隣接する芝生広場はキャンプ場として運営。旧資料館の向かいには、ものづくり拠点スペースとリフォーム相談所が入る建物が用意され、芝生広場の脇にはライフイズパークと名付けたマルシェを用意しました。
訪問したのは週末の天気の良い日だったこともあり、芝生広場にはテントが並んでいました。周囲に集合住宅が並ぶ都市公園とは思えない光景です。旧資料館もカフェや図書館などに人が入っていました。一方、大蓮池に向かって斜面となる敷地は従来どおりの公園で、さまざまな人が思い思いの時間を過ごしていました。2つの空間が違和感なく融合しているところも感心しました。
Park-PFIの実例の中には、商業主義的な匂いを感じる公園もあります。しかし大蓮公園に、そういった雰囲気はまったくなく、世代を超えて理屈抜きで楽しめる空間に仕上がっていて、羨ましいとさえ思いました。それをまちづくりの老舗でもある鉄道事業者のグループが手がけたというストーリーも新鮮でした。
日本のニュータウンは多くが高度成長成長時代に作られたが故に、昨今は高齢化が進み、オールドニュータウンと揶揄されることもあります。しかし大蓮公園のような場があれば、若い人も住もうと思い、世代間でのつながりも育まれるのではないでしょうか。このプロジェクトが日本の他の公園、そしてまちづくりに良い影響をもたらしていくことを望みます。
Park-PFIとはパーク・プライベート・ファイナンス・イニシアチブの略で、2017年の都市公園法改正により新たに設けられた、公募設置管理制度のことです。園内に飲食店や売店などの施設を設置し、こうした施設から得られる利益を使って周辺の広場や遊歩道の整備を一体に行う事業者を、公募により選ぶというものです。
東京都の新宿中央公園、福岡県の大濠公園など、全国各地に実例がありますが、大蓮公園はその中でも専門家の評価が高く、今年度のグッドデザイン賞で金賞にも輝いています。私も審査委員のひとりとして説明を聞いているうちに、実際に見に行きたくなり、京都で用事があったので足を伸ばしたというわけです。
大蓮公園は堺市と和泉市に広がる泉北ニュータウンの中にある公園で、ニュータウンを貫く泉北高速鉄道の泉ヶ丘駅から徒歩10分のところにあります。公園自体は1982年に開園しており、名前の由来である大蓮池が面積の3分の1を占めています。敷地の中ほどには、建築家の槙文彦氏が設計した資料館がありましたが、2016年に閉館しており、取り壊すかどうかという議論が進んでいたようです。
そこで堺市はPark-PFIの導入を決断。選ばれたのは、泉北高速鉄道などが属する南海グループでした。資料館は同じ大阪府のアウトドアブランド「DOD」とのコラボで、カフェやBBQサイト、テレワークスペース、図書館などが入るスペースに作り替え、隣接する芝生広場はキャンプ場として運営。旧資料館の向かいには、ものづくり拠点スペースとリフォーム相談所が入る建物が用意され、芝生広場の脇にはライフイズパークと名付けたマルシェを用意しました。
訪問したのは週末の天気の良い日だったこともあり、芝生広場にはテントが並んでいました。周囲に集合住宅が並ぶ都市公園とは思えない光景です。旧資料館もカフェや図書館などに人が入っていました。一方、大蓮池に向かって斜面となる敷地は従来どおりの公園で、さまざまな人が思い思いの時間を過ごしていました。2つの空間が違和感なく融合しているところも感心しました。
Park-PFIの実例の中には、商業主義的な匂いを感じる公園もあります。しかし大蓮公園に、そういった雰囲気はまったくなく、世代を超えて理屈抜きで楽しめる空間に仕上がっていて、羨ましいとさえ思いました。それをまちづくりの老舗でもある鉄道事業者のグループが手がけたというストーリーも新鮮でした。
日本のニュータウンは多くが高度成長成長時代に作られたが故に、昨今は高齢化が進み、オールドニュータウンと揶揄されることもあります。しかし大蓮公園のような場があれば、若い人も住もうと思い、世代間でのつながりも育まれるのではないでしょうか。このプロジェクトが日本の他の公園、そしてまちづくりに良い影響をもたらしていくことを望みます。