トヨタ自動車が2人乗りの電動超小型モビリティ「C+pod(シーポッド)」を、今年の夏頃に生産終了すると発表しました。C+podはまず2020年12月に、法人ユーザーや自治体などを対象に販売が開始され、1年後にはリース契約による個人ユーザーへの販売もスタートしていました。昨年11月までの約3年間の累計販売台数は約2000台だったそうです。
超小型モビリティには、自治体などがシェアリングとして運用する認定制度と、一般の乗用車と同じ型式指定の2つの展開方法があり、C+podは型式指定を取得した唯一の車種でした。つまり生産終了によって、個人が購入して乗る超小型モビリティはなくなることになります。以前からこのカテゴリーに注目してきたひとりとしては残念ですし、日本の制度設計がはたして良かったのか、改めて考えさせられました。
超小型モビリティに似たカテゴリーは、世界各地にあります。日本が制度設計の参考にしたと言われる欧州では、L6eとL7eという2つのカテゴリーがあります。ボディサイズの制約はなく、最高出力や最高速度、車両重量でクラス分けされています。ではL1eからL5eまでは何かというと、2輪車や3輪車のカテゴリーになっています。つまり欧州の超小型モビリティは、2輪車や3輪車の派生型なのです。
国土交通省の超小型モビリティについての説明はこちら
しかし日本では、軽自動車が存在していたこともあり、認定制度と型式指定のどちらも、軽自動車をベースとしています。欧州とはスタート地点からして違うのです。なので2輪車に比べて安全と考える欧州とは対照的に、軽自動車と比べて4人乗れない、高速道路が走れないなどのデメリットを挙げる意見が目立ちました。
しかもその後、2020年の型式指定の導入に際しては、一般の乗用車ほどのレベルではないものの衝突試験を義務付け、軽自動車と同じだったボディサイズはミニカー(原付3/4輪)と同じ、全長2.5m、全幅1.3m以下にしました。新規参入のハードルは高くなり、C+podが唯一の存在となりました。しかも厳しい規格が影響したのか、価格は166万5000円からと高価です。この数字も生産終了につながったと考えています。
欧州の超小型モビリティの代表格と言えるシトロエン「AMI」の販売台数は、2020年4月から昨年11月までで4.3万台と、C+podの約20倍です。欧州など12カ国で販売していることもありますが、7990ユーロからという低価格を実現しつつポップに仕立てたデザインの力は大きいと思いますし、家電量販店での取り扱い、カーシェアリングでの展開など、さまざまな手法でこのジャンルを広めていこうという強い意志は、C+podを上回っていると感じます。
日本で新たにこのジャンルへの参入を考える車両がないわけではありません。昨年秋に開催されたジャパンモビリティショーでは、いくつかのスタートアップから提案がありました。しかし型式指定を取るとなると、小さなボディで衝突試験をクリアしなければならず、価格上昇につながることが懸念されます。それを見越してひとり乗りのミニカー登録とした車両の提案もありました。
いずれにしても、こうした車種が市場に出てくるまでは、超小型モビリティの型式指定はゼロになるわけです。AMIをはじめとする海外勢も、ボディサイズや衝突安全性能の関係で、型式指定を取るのは難しいでしょう。2013年に超小型モビリティの認定制度が創設されて、たった10年ほどで制度自体が成り立たなくなりつつあることを、カテゴリーを作った側はどう考えているのでしょうか。現状に即した柔軟な対応を望みたいところです。
超小型モビリティには、自治体などがシェアリングとして運用する認定制度と、一般の乗用車と同じ型式指定の2つの展開方法があり、C+podは型式指定を取得した唯一の車種でした。つまり生産終了によって、個人が購入して乗る超小型モビリティはなくなることになります。以前からこのカテゴリーに注目してきたひとりとしては残念ですし、日本の制度設計がはたして良かったのか、改めて考えさせられました。
超小型モビリティに似たカテゴリーは、世界各地にあります。日本が制度設計の参考にしたと言われる欧州では、L6eとL7eという2つのカテゴリーがあります。ボディサイズの制約はなく、最高出力や最高速度、車両重量でクラス分けされています。ではL1eからL5eまでは何かというと、2輪車や3輪車のカテゴリーになっています。つまり欧州の超小型モビリティは、2輪車や3輪車の派生型なのです。
国土交通省の超小型モビリティについての説明はこちら
しかし日本では、軽自動車が存在していたこともあり、認定制度と型式指定のどちらも、軽自動車をベースとしています。欧州とはスタート地点からして違うのです。なので2輪車に比べて安全と考える欧州とは対照的に、軽自動車と比べて4人乗れない、高速道路が走れないなどのデメリットを挙げる意見が目立ちました。
しかもその後、2020年の型式指定の導入に際しては、一般の乗用車ほどのレベルではないものの衝突試験を義務付け、軽自動車と同じだったボディサイズはミニカー(原付3/4輪)と同じ、全長2.5m、全幅1.3m以下にしました。新規参入のハードルは高くなり、C+podが唯一の存在となりました。しかも厳しい規格が影響したのか、価格は166万5000円からと高価です。この数字も生産終了につながったと考えています。
欧州の超小型モビリティの代表格と言えるシトロエン「AMI」の販売台数は、2020年4月から昨年11月までで4.3万台と、C+podの約20倍です。欧州など12カ国で販売していることもありますが、7990ユーロからという低価格を実現しつつポップに仕立てたデザインの力は大きいと思いますし、家電量販店での取り扱い、カーシェアリングでの展開など、さまざまな手法でこのジャンルを広めていこうという強い意志は、C+podを上回っていると感じます。
日本で新たにこのジャンルへの参入を考える車両がないわけではありません。昨年秋に開催されたジャパンモビリティショーでは、いくつかのスタートアップから提案がありました。しかし型式指定を取るとなると、小さなボディで衝突試験をクリアしなければならず、価格上昇につながることが懸念されます。それを見越してひとり乗りのミニカー登録とした車両の提案もありました。
いずれにしても、こうした車種が市場に出てくるまでは、超小型モビリティの型式指定はゼロになるわけです。AMIをはじめとする海外勢も、ボディサイズや衝突安全性能の関係で、型式指定を取るのは難しいでしょう。2013年に超小型モビリティの認定制度が創設されて、たった10年ほどで制度自体が成り立たなくなりつつあることを、カテゴリーを作った側はどう考えているのでしょうか。現状に即した柔軟な対応を望みたいところです。