今月2日、東京駅から銀座、晴海、豊洲市場などを経由して東京ビッグサイト付近に至る都心部・臨海地域地下鉄(臨海地下鉄)の運行事業者について、現在りんかい線を走らせている東京臨海高速鉄道が選定されたというニュースがありました。理由として挙げられたのが羽田空港へのアクセスで、JR東日本が昨年工事を開始した「羽田空港アクセス線」3ルートにりんかい線が含まれていることを重視したそうです。
羽田空港アクセス線については、3つのルートが合流する東京貨物ターミナル駅にスポットを当てた記事を「東洋経済オンライン」に書きました。興味がある方は読んでいただければと思いますが、臨海地下鉄に話を戻すと、現地の交通事情にくわしい人は、2020年にプレ運行をスタートした東京BRT(バス高速輸送システム)と競合する路線であることに気づいているはずです。
東京BRTのオフィシャルサイトはこちら
たしかに両者の路線図(右の臨海地下鉄は予定)を見比べると、都心側の起点は違うものの、築地あたりから先はほぼ同じです。しかも東京BRTは2月1日、東京オリンピック・パラリンピックの選手村を改修し、今年入居が始まった「晴海フラッグ」に向かう「選手村ルート」を追加したばかりです。臨海地下鉄の発表は翌日であり、東京BRTがこの地域の公共交通としては役不足なのではないかというメッセージを感じます。
そう思える理由はいくつかあります。4年目を迎える現時点でもプレ運行とのことで、海外のBRTでは必須と言える専用レーンがなく、信号制御などによりBRT車両の通行を優先させるPTPS(公共車両優先システム)も導入されていないようです。輸送力の大きい連節バスは一部に過ぎず、起点は虎ノ門ヒルズというターミナルと言えない場所で、新橋は鉄道駅から離れた場所に停留所があることも気になります。臨海地下鉄の計画が動きはじめた中で、本格運行に向けて進化をしていくのかも疑問です。
地方では昨年、2015年と国内では早い時期に導入した新潟BRTについて、市長がBRTという名称を廃止すると表明し話題になりました。当初から乗り換えが不便などの意見が出ていたうえに、新型コロナウイルス感染症による利用者減少、そして運転士不足が重なったこともあって、専用レーンの整備を止めるなど、BRT構想そのものを見直すと、交通事業者と合意したそうです。
2つのBRTに共通しているのは、計画段階では専用レーンに言及していたようなのに、実施に移せないことです。道路は自動車のものであり、今より狭くなることは許さないというドライバーが、残念ながらそれなりにいるからでしょう。多くの歩道が狭いままで、自転車レーンが増えないのも同じ理由ではないかと、ドライバーのひとりとして悲しく思います。
一方昨年7月に開業した芳賀・宇都宮LRTは、当初の予測を上回る利用者数を記録しているうえに、現地事情を知る人の話では、渋滞も目立たないようです。LRTはBRTに比べて整備費が高額になるので、計画段階では異論が多く出されますが、開業のかなり前に車線の減少などは終わっているので、この時点で違う道を選ぶなどの対策を取っており、運行開始で自動車からLRTに乗り換えた人が加わったので、問題なく推移してるのでしょう。
日本の多くのBRTが、専用レーンを用意しないなど曖昧なまま導入が進んでいることは、このブログでも取り上げましたが、ここへきてその影響が出てきていると感じます。LRTは当然ながら、レールという専用走行空間を確保しているので、BRTにまつわる問題はありません。たしかに産みの苦しみはあるものの、LRTのほうが曖昧な考えの入り込む余地が少ない分、日本にふさわしい都市交通システムではないかと思いつつあります。
羽田空港アクセス線については、3つのルートが合流する東京貨物ターミナル駅にスポットを当てた記事を「東洋経済オンライン」に書きました。興味がある方は読んでいただければと思いますが、臨海地下鉄に話を戻すと、現地の交通事情にくわしい人は、2020年にプレ運行をスタートした東京BRT(バス高速輸送システム)と競合する路線であることに気づいているはずです。
東京BRTのオフィシャルサイトはこちら
東京都「都心部・臨海地域地下鉄」事業計画案のページはこちら
たしかに両者の路線図(右の臨海地下鉄は予定)を見比べると、都心側の起点は違うものの、築地あたりから先はほぼ同じです。しかも東京BRTは2月1日、東京オリンピック・パラリンピックの選手村を改修し、今年入居が始まった「晴海フラッグ」に向かう「選手村ルート」を追加したばかりです。臨海地下鉄の発表は翌日であり、東京BRTがこの地域の公共交通としては役不足なのではないかというメッセージを感じます。
そう思える理由はいくつかあります。4年目を迎える現時点でもプレ運行とのことで、海外のBRTでは必須と言える専用レーンがなく、信号制御などによりBRT車両の通行を優先させるPTPS(公共車両優先システム)も導入されていないようです。輸送力の大きい連節バスは一部に過ぎず、起点は虎ノ門ヒルズというターミナルと言えない場所で、新橋は鉄道駅から離れた場所に停留所があることも気になります。臨海地下鉄の計画が動きはじめた中で、本格運行に向けて進化をしていくのかも疑問です。
地方では昨年、2015年と国内では早い時期に導入した新潟BRTについて、市長がBRTという名称を廃止すると表明し話題になりました。当初から乗り換えが不便などの意見が出ていたうえに、新型コロナウイルス感染症による利用者減少、そして運転士不足が重なったこともあって、専用レーンの整備を止めるなど、BRT構想そのものを見直すと、交通事業者と合意したそうです。
2つのBRTに共通しているのは、計画段階では専用レーンに言及していたようなのに、実施に移せないことです。道路は自動車のものであり、今より狭くなることは許さないというドライバーが、残念ながらそれなりにいるからでしょう。多くの歩道が狭いままで、自転車レーンが増えないのも同じ理由ではないかと、ドライバーのひとりとして悲しく思います。
一方昨年7月に開業した芳賀・宇都宮LRTは、当初の予測を上回る利用者数を記録しているうえに、現地事情を知る人の話では、渋滞も目立たないようです。LRTはBRTに比べて整備費が高額になるので、計画段階では異論が多く出されますが、開業のかなり前に車線の減少などは終わっているので、この時点で違う道を選ぶなどの対策を取っており、運行開始で自動車からLRTに乗り換えた人が加わったので、問題なく推移してるのでしょう。
日本の多くのBRTが、専用レーンを用意しないなど曖昧なまま導入が進んでいることは、このブログでも取り上げましたが、ここへきてその影響が出てきていると感じます。LRTは当然ながら、レールという専用走行空間を確保しているので、BRTにまつわる問題はありません。たしかに産みの苦しみはあるものの、LRTのほうが曖昧な考えの入り込む余地が少ない分、日本にふさわしい都市交通システムではないかと思いつつあります。