THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

2025年01月

いわゆる「物流の2024年問題」が話題になった昨年。秋には郵便料金の変更があり、葉書は63円から85円、手紙は84円から110円に値上げされました。そこで気になったのが年賀状です。私はやりとりのある方には続けていこうと思っていましたが、値上げを機に「年賀状じまい」をした人も多かったようで、日本郵便によると、今年の元日に配達された年賀郵便物は、前の年に比べて34%も減ったとのことでした。

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ただし葉書の値上げ幅を計算してみると約35%であり、金額ベースで見ても15%減ぐらいに留まります。それ以外の手紙などは、必要に迫られて出す比率が高そうなので、郵便物の減少分を値上げが穴埋めする可能性もあります。しかも配達数は少なくなっているので、値上げの理由に挙げていた物流コストの上昇も抑えられそうです。これが現場で働いている人たちの収入向上に結びつくことに期待しています。

2024年を振り返ると、たしかに物流の課題は多く報じられましたが、本来の目的であるドライバーの待遇改善などのニュースはほとんどなく、配送の遅れなど荷主や消費者にとってネガな話題が多く報じられたという印象があります。その意味では2025年になっても、この問題は継続していると考えるべきで、自動車専門ウェブメディア「 AUTOCAR JAPAN」の連載にも書かせていただきました。ここではその後、今週水曜日から金曜日まで、東京ビッグサイトで行われた「第4回スマート物流EXPO」を見てきたので、それについて綴っていきます。



自動車メーカーでは、三菱ふそうトラック・バスが展開する米国Wise Systems社開発の自動配送計画・配車プラットフォーム「ワイズ・システムズ」の展示が、インターフェイスを含めてわかりやすく好感を持ちました。また半導体の研究開発や生産販売で日本を代表する企業ソニーセミコンダクタソリューションズでは、エッジAIセンシングプラットフォーム、自律移動ロボットを活用した物流DXの事例を展示していました。物流業界は長年、アナログ主体で運営されてきたので、デジタル化は効果が大きいと期待しています。

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こうした努力は実を結んでいるようで、帝国データバンクが昨年末に公表した「トラック輸送業界の最新景況レポート」によると、燃料価格の高騰やドライバーなどの人手不足の影響が経営を直撃している一方で、時間外労働時間は前年同月から減少。それでいて4~8月の輸送量は、前年同期より微増しており、人手不足が深刻な状況下で、各社が輸送効率の向上に取り組んだことが分かるとしています。

とはいえ燃料費の高止まりや深刻な人手不足など、業界を取り巻く環境は厳しいとも書いており、効率化や自動化だけでは限界があると感じています。そこで思い出すのが最初に書いた郵便料金と年賀状の関係です。値上げによって荷主や消費者は困るかもしれません。中には配送を諦める人もいるでしょう。でもそれによって、さまざまな部分での無駄がなくなれば、事業者の運営に支障を与えずに、現場の人たちの待遇を改善できそうです。

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帝国データバンクのレポートはこちら

そのためには先に紹介したようなデジタル技術の活用は大切なことですが、肝心の待遇改善がそのままだと、労働時間が少なくなった分、収入が減ることになります。それゆえか、離職が目立っているという話も聞きます。やはり料金を適正なレベルに設定し、それをドライバーなどの収入に反映させる流れが一般的になることが、物流問題解決の最短ルートではないかと考えています。

今日明日の2日間、大学入学共通テストが行われています。それにちなんで今回は、大学へのアクセスをテーマにします。私は早稲田大学在学中はモーターサイクルで通学していたので、あまりこの面を意識しなかったのですが、10年ほど前から、講義を持たせていただいたり、学会の大会などに出席したりするために、他の大学に足を運ぶことがしばしばあり、しだいにアクセスを気にするようになりました。

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昔から「大学」や「学園」を名前に入れた鉄道駅(路面電車の停留所を含みます)はいくつかありました。東京都内で言えば、東急電鉄の学芸大学・都立大学駅、京王電鉄の明大前・駒場東大前駅などです。しかし最近になって、この種の駅が増えてきたと感じています、学生時代まで住んでいた埼玉県草加市にある、東武鉄道伊勢崎線の獨協大学前〈草加松原〉駅もそのひとつです。

この地には1960年代に、東洋一のマンモス団地と言われた草加松原団地が作られ、それに合わせて松原団地駅が開設されましたが、建物の老朽化に伴い再開発となり、団地とほぼ同じ時期に開学した獨協大学の名前を使うことになりました。興味深いのは駅名の変更に関わる費用をすべて、獨協大学が出したということです。私立大学ということもあって、プロモーション効果も考えての決断なのでしょう。

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獨協大学は開学以来、草加市唯一の大学であり続けていて、私も小さい頃は学園祭に遊びに行ったものですが、近年は草加市との間で協働宣言を結んでおり、オープンキャンパス、そうか市民大学、子ども大学そうかなどに協力しているとのことです。草加市の側も、中央図書館を駅前に開設したりしており、国指定名勝の草加松原と合わせて、文教地区としての存在価値を増しつつあると感じています。

駅名に大学名は入っていないものの、駅の近くに開設された大学もあります。以前講義を持たせていただいた、石川県の公立小松大学はそのひとつです。小松短期大学とこまつ看護学校をルーツに持つ大学で、市内に3つのキャンパスを持つうち、中央キャンパスは小松駅西口の駅前広場に面しており、今年夏には駅東口に、中央第2キャンパスが竣工予定です。

小松駅と言えば昨年春、JR西日本北陸新幹線が乗り入れたことが記憶に新しいところです。近年の大学は、産官学連携などの言葉が象徴しているように、外との交流が以前にも増して盛んになっているようです。学生の通学以外にも、新幹線の駅に近いことのメリットは多いはずです。新キャンパスの開設はそれを証明していると言えるのではないでしょうか。

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新幹線と言えば、早稲田大学の卒業生のひとりとしては、JR東日本上越新幹線の本庄早稲田駅を思い出すところです。しかし昨年、インターネットニュースメディア「東洋経済オンライン」で記事にするために取材してみると、いわゆる大学駅とはちょっと違う成り立ちであることがわかりました。

くわしくは記事を見ていただきたいですが、半世紀以上前から早稲田大学との関わりがある地であり、附属高校を含めた施設があるので、地域の人たちからは「早稲田山」と呼ばれていた丘陵地だったそうですが、本庄市としては新都心としてこの地を位置付けているのです。たしかに駅の周辺は住宅が並び、商業施設や公園もあって、市の人口が減少する中、この地域は増加しているそうです。



本庄早稲田駅はさておき、高校よりもはるかに広範囲から人が集まりつつ、成人になりたてでマイカーの所有が難しい世代が多く集うことを考えると、これからも公共交通、なかでも行き先がわかりやすい鉄軌道は、大学にとって大切なインフラだと考えています。人口減少で大学の運営が大変になる中、駅の存在価値は高まっていくのではないでしょうか。

2025年最初のブログになります。本年もTHINK MOBILITYをよろしくお願いいたします。昨年はいわゆる「物流の2024年問題」が話題になりました。もちろんこの問題は昨年で解消したわけではありませんが、課題解決のための動きがいくつかあることも事実です。そのひとつが自動運転トラックの実証実験です。

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国土交通省道路局と国土技術政策総合研究所、NEXCO中日本(中日本高速道路)では、関係省庁と連携して、新東名高速道路の駿河湾沼津SA(サービスエリア)~浜松SAで、22~5時の深夜時間帯に自動運転車優先レーンを設定し、昨年11月から公道での自動運転トラック要素技術検証を順次実施しています。12月初めに、報道関係者向けに浜松SAで現場が公開されたので、私も見てきました。

ちなみに要素技術とは、合流支援情報と先読み情報の提供システム、道路・交通管理、自動運転トラックへの切り替え自動運転車優先レーンといった、インフラの技術のことです。トラックは乗用車のような機敏な動きはできないので、車両側の技術だけではレベル4実現は難しいからだそうです。ちなみに先読み情報とは、合流してくる車両、工事規制、落下物、制限速度を、AIや車両データなどを活用して提供していくというものです。



現場公開の様子は、自動車専門ウェブメディア「AUTOCAR JAPAN」で記事にしたので、興味のある方はご覧いただければと思います。今後については、2025年度は東北自動車道などで同様の要素技術検証を行ったあと、2026年度からまず有人での自動運転トラックを導入し、2030年度に東京~大阪間で無人による自動運転トラックの運行を始めたいとしています。

さらに先月には、タクシーとバスの自動運転のニュースもありました。まずタクシーはグーグルなどを擁する米国アルファベットのウェイモが、日本国内で配車アプリを手掛けるGO、タクシー大手の日本交通と戦略的パートナーシップを結び、今年東京都心部で自動運転技術のテストを行うことになりました。自動運転では世界トップレベルの実績を持ち、知人も現地で体験して満足していたので、個人的にも「来日」が楽しみです。

バスは、愛媛県の伊予鉄バスが、日本初の自動運転レベル 4 路線バスの本格運行を始めたというもので、松山観光港と伊予鉄道高浜駅を結ぶ路線で毎日運行しています。人手不足の解消が目的であることはトラックに似ていて、安全対策として保安員1人が乗務しますが、基本的にハンドルは操作せず、7.5km離れた営業所から遠隔監視するとのこと。最高速度は35km/hで、運転士がいないことから、運賃は現金収受のない完全キャッシュレスになっているそうです。

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ウェイモとGOおよび日本交通のパートナーシップを伝えるニュースリリースはこちら

つまり、今年は物流および移動サービスにおける自動運転レベル4の車両に、公道で出会う機会が出てきそうです。ただし現状の自動運転レベル4は、人間で言えば子どものような存在であると考えています。日本は逆走やペダル踏み間違いは大目に見るのに対し、自動運転のような機械制御には完璧を求める風潮がありますが、この意識の差には疑問を抱いています。

国内初の自動運転レベル4は、福井県永平寺町の電動カートを使った移動サービスで、2023年5月にスタートしましたが、10月に放置自転車との接触事故を起こしたことで、翌年3月まで運行停止になりました。走行ルートは鉄道の廃線跡を遊歩道に仕立てたもので、自転車が止まっていること自体が不思議なのですが、年間2500人以上が命を落とす交通事故より、自動運転車による1件の物損事故を重く見るという結果になりました。これでは米国や中国に先を越されるのも無理はないでしょう。

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一方で好ましい実例もあります。このブログで何度も紹介してきた、茨城県境町の自動運転バスです。こちらは路線バスも走る県道などを巡りつつ、最高速度が20km/hということで、当初は邪魔だと感じるドライバーもいたようですが、自動運転バスの町として注目が集まるようになると、ゆっくり走るクルマが多くなったそうです。自動運転バスのほうも、後続車がいるときは停留所以外の場所で停車してやり過ごすなど、臨機応変に対処しています。

物流や移動サービスに自動運転が導入されつつあるのは、前にも書いたように、ドライバー不足などの深刻な問題があるからです。多くの人が快適に移動し、安心して買い物を楽しむためにも、新入生を迎えるような気持ちで、自動運転レベル4のトラックやタクシー、バスとともに道路を移動してほしいと思っています。

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