THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

2026年03月

流しのタクシーがなかなか捕まらなくなったのですがどうしてでしょうか。こんな内容の取材を、インターネットのニュースサイト「FRIDAYデジタル」編集部から依頼されました。自分なりに思うところがあったので取材を受けた内容が、昨日記事化されました。気になる方は下のリンクからご覧になってください。

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そこにも書かれていますが、流しのタクシーが少なくなっていることはある程度想像できます。国土交通省の統計では、タクシーの交通事故率は、同じ営業用車のトラックやバスに比べてはるかに高く、空車時のそれは実車時(客を乗せているとき)の3倍以上になっています。その理由として、流しのドライバーの意識が道路脇などに向きがちであることは、専門家からも挙がっています。

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国土交通省タクシー事業の概要や事故の状況等について(統計資料等)はこちら

さらに言えば、流し営業は経験に頼るところが大きいので、若い人など経験の浅いドライバーは好まない傾向があるという話も聞いたことがあります。そのためスマートフォンの配車アプリ専用の車両を導入したり、ドライバー向けアプリで需要予測データを提供したりしているほどです。おまけに今の若者はスマホネイティブです。なので今後ドライバーの世代交代が進むほど、この傾向は進むのではないでしょうか。

たしかにアプリは迎車料金か掛かります。でも流しのタクシーを捕まえるのは運に左右されるのが事実です。繁華街ならともかく、それ以外の場所では、暑さ寒さや雨天の中、道路を眺めながらいつ来るかわからない空車のタクシーを待つより、追加のお金を払っても予約をして、時間まで家などで待っていたほうがいいと考える人がいても不思議ではありません。

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そういえば東京都内では、高齢者だけでなく若者もタクシーを利用する姿が目立ちます。マイカーを所有するより安いからでしょう。自動車メーカーのリース料金、私が借りている東京23区内の駐車場代、ガソリン代をもとに計算すると、ひと月7.5万円ぐらいになります。2500円分を30回乗れることになります。運転しないので移動中に動画やゲームを楽しむこともできます。それなら迎車料金を払ってもいいと考える人がいそうな気がします。



スマートフォンがうまく扱えない地方の高齢者のことを心配する人がいるかもしれませんが、そもそも地方はタクシーの台数が圧倒的に少ないので、流しを捕まえようとすること自体が困難です。アプリに対応しているタクシーが少ないこともあり、電話で配車してもらうのが一般的です。こちらでも配車業務をAI音声対応とすることで人手不足に対応するなどの進化はしていて、スムーズな配車ができるようになっているようです。

駅で切符を買わなくなったり、バスの乗り降りで現金を出さなくなったり、自分の身のまわりでも、公共交通を利用するときの行動変化は、いくつかあります。タクシーの乗り方も、そのひとつではないかという気持ちになっています。なによりも交通事故減少につながりそうなのですから、利用する側も事故を少なくするような乗り方を考えていきたいものです。

1月下旬、東京都内で国産eVTOL(イーブイトール:電動垂直離着陸機)、スカイドライブのテストフライトがありました。eVTOLについてはこれまで、展示を見たことはありますが、飛行中の様子を目にしたことはありませんでした。YouTubeなどで動画がアップされているので、それを見れば飛んでいる様子がだいたい把握できたということもあります。

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しかし少し前にこのジャンルのセミナー講師を務めたことから、実際に飛ぶ様子を見たほうが良いという気持ちになり、会場の東京ビッグサイト駐車場に足を運びました。 そのときの様子は「AUTOCAR JAPAN」の連載で記事にしているので、興味がある方は見ていただければと思います。ここではeVTOLの現状や個人的な要望などについて、綴っていきたいと思います。

eVTOLのここまでの道のりは、順風満帆とは言えません。ドローンによる世界初の有人飛行は、 2011年にドイツのボロコプター(Volocopter)が達成。2017年には改良型がドバイで世界初のテストフライトに成功しましたが、昨年破産し中国企業に吸収されました。米国ウーバー・テクノロジーズが当初、自分たちのモビリティサービスにeVTOLを組み込もうとしていることはこのブログでも紹介しましたが、コロナ禍でプロジェクトは中止されました。

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大阪・関西万博では目玉としてeVTOLを位置付けたものの、前年9月に4つの事業者すべてが耐空証明や型式証明が取得できないことを理由に、商用運航を断念すると発表。デモフライトに切り替えたことはご存知のとおりです。そして1月のテストフライトも、5日間の朝と昼の2回、合計10回が予定された中で、実際に飛んだのは4回で、それ以外は雨や風、整備を理由にキャンセルされていました。



2023年にスカイドライブが個人向け予約販売を開始したときに、価格が150万ドル(約2億円)と報じられたことは以前書きました。このときは2人乗りでしたが、直後に操縦士+乗客2人の3人乗りとした進化型が登場。運航会社やエンドユーザーの要望を受けたそうですが、エアタクシーとも呼ばれる海外での位置付けに近づいており、好ましいことだと感じていました。

では気になる運賃はいくらぐらいでしょうか。少し前までは、陸上のタクシーと同程度という内容が多かったと記憶していますが、1月のテストフライトではタクシーの2倍以下が目標と報じられていました。庶民が日常的に利用するのは難しいでしょう。でも個人的にはそれぐらいで良いというか、所要時間の差を考えればもっと高価であっても妥当だと考えます。

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機体のサイズはスカイドライブの場合、縦横ともに13mとかなり大きいうえに、日本のルールでは地上や海上、あるいは他の機体から150m以上の距離を保つことになっているからです。都市部のクルマの台数をそのまま空中で飛ばすのは不可能と考えて良いでしょう。日本でひんぱんに使われてきた「空飛ぶクルマ」ではなく、グローバルで通用するeVTOL (イーブイトール)という言葉を使っているのは、そこに理由があります。調べれば調べるほど、これをクルマと呼ぶのは無理があります。

しかし私はこの乗り物を全面的に否定しているわけではありません。国土が広く人口密度が少ない米国のような場所とは違う、我が国ならではの事情に合っているからです。日本は国土の75%が山地で、島の数は世界第7位。海岸線の長さは第6位です。陸上移動が困難な地域が、世界トップレベルで多いと言えます。しかもそこに、1億2000万人という多くの人が暮らしています。

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人ではなく物を運ぶドローンは、大都市ではなく、山間部の過疎地から実証実験やサービスが始まっています。こうした地域は多くが人口減少や高齢化に加え、自然災害により、日々の移動すら苦労する状況に追い込まれています。スカイドライブもJR東日本やJR九州と連携して、岩手県や大分県での移動提供を計画していますが、今後も社会目線での導入を望みたいし、国もこういう分野での展開は後押ししてほしいと考えています。

今年1月のブログで、ガソリンの暫定税率廃止による値下げを喜ぶだけでいいのかと書きました。あの内容に反感を持った人もいたかもしれません。しかし2か月後、危惧していたことが現実になっています。イスラエルとアメリカがイランを攻撃したことにより、多くのタンカーが通過するホルムズ海峡がイランによって事実上封鎖され、この地域で算出される石油が日本に届かなくなっています。

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それにしても驚いたのはのは、ガソリン価格の急騰です。私は値上げを予想して、10日前に愛車を満タンにしておきました。欧州車なのでハイオクですが、リッター167円でした。それが昨日は200円になっていました。たった10日で30円以上の値上げです。原油価格にはいくつかの指標がありますが、ここでは米国WTIを取り上げると、同じ期間で1バレルあたり約80ドルから95ドルに上がっていました。

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今日はJR東日本も、1987年10月に分割民営化が行われて以降、消費税分などを除くと初の本格的な運賃改定を実施しました。平均値上げ率は7.1%だそうで、200円だった運賃が214円になる計算ですが、およそ40年分の改定であり、年平均で言えばわずか0.2%にすぎません。だからでしょう、ガソリン値上げの陰に隠れたような状況になっています。

しかもJR東日本を含む鉄道の場合は、ニュースリリースにもあるように、事前に国土交通省に申請を行い、認可を得なければなりません。なのでガソリンのように毎週値上げが続くことはありません。民間企業とは言え、交通インフラを担う立場としては、妥当なプロセスです。ところがガソリンは、同じ移動を支え、地域によってはインフラと言える存在なのに、石油元売り会社が決め、1週間ごとに変動を繰り返しています。

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石油業界に文句を言いたいという人は多いでしょう。しかしとりわけ地方では、クルマがあれば公共交通は不要だと、多くの人が選択してしまったので、ガソリン値上げを受け入れるしかありません。9割以上をトラックが担う物流も同じです。それでもイランへの攻撃が始まった直後に満タンにしておけば、影響を少なくできたはずですが、今週になって慌ててガソリンスタンドに駆け込む人も多かったようです。

中東情勢の緊迫化は、世界中に影響を及ぼしています。そんな中フランスの石油元売り大手トタルエナジーズでは、ガソリン価格上限を1.99ユーロにすると発表しました。ガソリンもインフラであるという考えが伝わってきましたが、日本の石油元売り会社にそのような動きはなく、政府からの補助金を受け入れようとしています。

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では私たちが対抗できる手段はあるのでしょうか。思い出したのは2年前に始まった、米の価格高騰です。誰が仕掛けたのかはわかりませんが、新米がそれまでの倍ぐらいの価格で販売されるようになりました。しかしその結果、米離れが進み、流通業者が在庫を多く抱えるようになったことで、最近は値下がりが進んでいます。

もちろんそれはパンやうどんなど、代わりの主食があったからできたことです。移動もやはり、選択肢は多く持っておいたほうが良いでしょう。石油元売り会社への補助金を公共交通に投入すれば、多くの事業者が元気を取り戻します。必要であれば、公共交通だけで生活できる場所に移住するのもアリでしょう。

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それが難しいのであれば、二輪車をお勧めします。 私が所有するホンダ「スーパーカブC125」の燃費はリッター60キロ前後です。スクーターでも125ccならリッター50キロは行くでしょう。ひとりで移動して荷物も少ないなら、軽自動車よりはるかに少ない出費で移動できます。でもスーパーカブ一択というわけではなく、さまざまな公共交通と併用しています。供給も価格もここまで不安定なガソリンに生活を委ねるのは、ちょっと怖いというのが正直な気持ちです。

先月の話になりますが、JR東日本(東日本旅客鉄道)とJAL(日本航空)が、「東日本エリアの地方創生に向けた連携強化」に関する協定を締結しました。鉄道と航空の連携というと、海外ではDB(ドイツ鉄道)とルフトハンザ航空のコードシェア、空港からドイツの他都市への鉄道移動が無料という「レール &フライ」などがありますが、今回の連携は社会にも関わる取り組みであることが注目です。

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テーマとして掲げたのは、「広域観光モデルの創出」「関係人口・定住人口の創出」「新たなマーケットの創出」の3つです。このうち広域観光モデルの創出については、行きは飛行機で目的地に直行し、帰りは鉄道で各地を巡っていくというチケットを企画するなど、コードシェアにとどまらない連携を検討していくとのこと。MaaSを使った予約や発券をすることで、シームレスな移動を提供したいとしています。

関係人口・定住人口の創出では、JALで2025年度に実施した、二地域居住を検討している人々の航空運賃負担を軽減する取り組み「つながる、二地域暮らし」を発展させる形で、新幹線と航空を併用した「東日本、二地域暮らし(仮称)」を自治体や地域関係者とともに検討していくそうです。合わせてJR東日本が2027年度より始める「ご当地 Suica」(マイナンバーカードと連携したモバイル Suica に地域独自の MaaSと生活サービスを一体化)を活用して、自治体と連携しながら支援メニューを拡げていくことも進める予定です。

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JR東日本のニュースリリースはこちら

新たなマーケットの創出は、今回の協定締結前から始まっていました。昨年8月から「東北の魅力、未来へつなぐ」共創企画を始動し、規格外のさくらんぼをアップサイクルした商品「山形県産さくらんぼクラフトラガー」を販売していたからです。さらに今年1月からは、新幹線を使った高速荷物輸送を、航空との連携で国外にも拡げる「JAL de はこビュン」も始まっています。

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懸念している点としては、欧州とは違い、空港に新幹線が乗り入れている事例がなく、鉄道駅が空港内にあることも稀という点があります。JR東日本で空港に乗り入れているのは成田空港と、別会社への直通運転になりますが仙台空港ぐらいでしょうか。だからこそ工事が始まった羽田空港アクセス線(仮称)は重要になりそうだし、JR北海道千歳空港駅も活用してほしいところです。

もうひとつは天候への対応です。私の妻は青森市出身で、実家は青森空港と新青森駅のどちらからも同じぐらいの距離の場所にあります。昔は飛行機で帰省していましたが、現在は新幹線一択です。飛行機が1日6便なのに対し、新幹線は20便以上あるうえに、冬は遅延や欠航、引き返しもある飛行機とは対照的に、新幹線が雪で止まることはほとんどないからです。この違いをどう調整するかも気になるところです。

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このように課題はいくつかありますが、東北エリアの人口減少や少子高齢化、地方産業の衰退や担い手不足は、JR東日本だけでなくJALも悩みとのことで、かつてライバルと言われた両社がこれらに取り組むべく手を組み、動き始めたことには好感を抱いています。東日本大震災から15年を迎える東北の、復興の後押しになればと期待しています。

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