THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

2026年07月

10年ぐらいぶりに二輪車を乗り換えました。先月から乗りはじめたのはドゥカティ「スクランブラー」で、年齢や体力を考えて軽い車両にしたかったのと、安全快適装備が充実したマシンにしたかったというのが理由にありました。特に後者については取材で何台かに試乗して、進化の幅が大きいと感じていたので、それを確かめてみようという気持ちもありました。

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最近、とりわけ中型以上の二輪車で目立つのが、クラッチ操作をせずに変速ができるトランスミッションの導入です。四輪車のATやCVTと似たような流れと思うかもしれませんが、大きく違うのはマニュアルトランスミッションをベースにクラッチの自動化を実現したところです。

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ホンダやヤマハ、BMWなどが手がけていて、メカニズムや操作方法、作動の感触は違いますが、どれもいままでのギアボックスを流用しながらクラッチ操作を省略しているので、楽しさはそのまま。それでいて一部の車種は四輪車のようにDレンジに入れたまま走れます。発進停止以外のクラッチ操作を不要としたクイックシフターという機構もあり、これは私のドゥカティにもついていて、ありがたいと思っているところです。



実は四輪車でも一時期、スポーツモデルに同様のメカニズムが搭載されましたが、変速ショックを嫌う人が多く、まもなく消滅しました。最近になってフェラーリが2ペダルでも3ペダルでもドライブできるトランスミッションを発表しましたが、こちらは2ペダルをベースにクラッチ操作も選べるようにしたもので、出発点が異なります。操縦の喜びをどこまで重視するか、が二輪車と四輪車で大きく違うことを教えられます。

この種のトランスミッションは安全でもあることは、ヤマハのサーキット試乗会で痛感しました。コーナーの手前でブレーキとシフトダウンを同時に行うときは、路面や速度の確認を行いつつ、両手両足をすべて駆使するので、どれかが遅れたり荒くなったりしがちです。AT限定の運転免許でも乗れるので、間口を広げる効果がありそうですが、ベテランライダーにも向く機構だと思いました。



安全性と言えばもうひとつ、6軸IMU (慣性計測装置)もあります。前後、左右、上下の軸をチェックするセンサーを持ち、車体を傾けながら曲がる二輪車の特性に合わせてABSやトラクションコントロールの効き方を制御してくれます。昔、タイヤが新品のスーパースポーツに試乗したとき、それほど速度を出していないのにコーナーでインジケーターが点滅していることに気づいて、文字どおり救われた気持ちになりました。

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こうした機能の切り替えを行ううえで不可欠なのがデジタルメーターです。一部の車種ではスマートフォンと連携して、電話の通話やナビの矢印表示などができます。アナログ式のメーターには独特の味わいがありますが、二輪車は四輪車のように大きなディスプレイは使えないので、多彩な機能をわかりやすく見せるという点で、メーターのデジタル化は賛同しています。

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二輪車は四輪車よりリスクの大きい乗り物ではありますが、道路交通そのものがリスクの大きい場であることを自覚しやすいことはメリットだと考えています。とはいえシニア予備軍の自分にとっては、楽しさを失わずに安全性や快適性をサポートしてくれる装備は、いつまでもライディングを楽しむうえで必須だと実感しているところです。

全国的に百貨店の閉店のニュースが多くなっています。その中でも大きく取り上げられたのが今年2月、地元の人たちは「名駅」と呼ぶ名古屋駅前の名鉄百貨店本店で、隣にある近鉄百貨店名古屋店「近鉄パッセ」ともども閉店となりました。たまに名古屋を訪れるたびに、駅前風景のひとつとして目にしていたので、今年の春に閉店後の姿を見て、ちょっとショックを受けました。

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今週、その名鉄百貨店が入っていた名鉄ビルに、ヨドバシカメラが出店するという発表がありました。今年の夏にオープンとのことで、名古屋では繁華街の栄地区に続く2軒目ということになるそうです。ヨドバシカメラと言えば先月末、東京池袋の西武百貨店池袋本店にも新店舗ができたことを知っている人もいるでしょう。

日本のターミナルの周辺に家電量販店がある風景は、すっかりおなじみになりました。 こうした変化をネガに捉える人もいそうですが、もともとヨドバシカメラはヤマダデンキのようなロードサイド戦略ではなく、阪急百貨店や東急百貨店などが先駆者となったレールサイド戦略を、いち早く進めてきたという歴史があります。百貨店から家電量販店へ、業態が入れ替わったという見方もできるのではないでしょうか。

自分自身も、家電製品やカメラは買い物の中では高価なので、実際に手に取って選びたいし、専門知識があり、アフターサービスも信頼できるので、事務所から近い新宿駅西口のヨドバシカメラ本店はよく行きます。百貨店の閉店が続く中、家電量販店の新規出店が続いているのは、そのように考える人が多いからではないかと思っています。

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ところで当日は名駅から、以前少し紹介した新たな路面交通システム「SRT(Smart Roadway Transit)」に乗って栄に行きました。SRTは都心部の回遊性向上や賑わいの拡大を図るために導入されたもので、LRTやBRTのような高速(Rapid)は求めず、名古屋市営地下鉄東山線で約5分で移動できる名古屋~栄間を約15分かけて走っています。今後は名駅と名古屋城を結ぶ系統なども考えられているようです。

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SRT名古屋のオフィシャルサイトはこちら

運行は名鉄バスが担当。車両はメルセデス・ベンツ製で、アーバンゴールドとブラックの2トーンは他の路線バスとの違いが際立ちます。車内は木を多用し、間接照明も取り入れていて、レイアウトを含めて斬新でした。私が名古屋市内を移動するときはもっぱら地下鉄なので、地上の景色を眺めながらゆっくり移動するのは新鮮だったし、地上を走る乗り物ならではのわかりやすさも感じました。

栄は高層ビルが林立し、多くのオフィスがある名駅周辺とは対照的に、テレビ塔がある幅100mの久屋大通の中央が「ヒサヤオオドオリパーク」になっていました。開業は2020年で、園内に飲食店や商業施設を設け、その収益を公園の管理や整備の一部に充当するPark-PFI方式を導入しており、公園ならではの開放感はそのままに、低層の商業施設を組み込んだ作りに好感を持ちました。週末だったこともあり、名駅に比べて若者が多く、2つの繁華街が棲み分けできている感じもしました。

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雰囲気的には昨年訪れた大阪梅田駅北側の「うめきた広場」に通じる場でした。モノの豊かさを追い求め続ける東京で暮らすひとりとして、コトの豊かさにも気を配った名古屋や大阪がうらやましいと感じました。

成田空港へのアクセス輸送も担当している京成電鉄が昨日、押上〜成田空港間を結ぶ新型有料特急列車の車両コンセプトとデザインを公開し、愛称を募集するという発表がありました。 現在の「スカイライナー」に代わる車両ということになりそうですが、個人的に目を引いたのは、京成上野駅ではなく、押上駅発着としていることです。

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京成電鉄のニュースリリースはこちら

京成上野駅はJR東日本や東京メトロの上野駅からやや離れているのに対し、押上駅は東武鉄道や東京メトロ、都営地下鉄が乗り入れているうえに、将来的には現在走っている特別料金なしの「アクセス特急」と同じように、都営浅草線や京浜急行電鉄への直通運転も目指しているとのこと。羽田空港に乗り入れれば、浅草や日本橋から2つの空港に乗り換えなしで行けることになります。

このニュースを見て、これまで私が海外で利用してきた空港アクセス鉄道がいくつか頭に浮かびました。そこで印象に残った事例を紹介しつつ、どんなモビリティがふさわしいのかを書いていきたいと思います。

まず思い出したのが、中国の上海浦東空港と龍陽路駅の間を結ぶ磁気浮上式鉄道「上海トランスラピッド」です。ただこちらは、かつては430km/hという世界最高速度をアピールしていたものの、近年は300km/hにスピードダウンしているうえに、市内側の駅は中心部から10kmほど離れており、地下鉄などに乗り換えなければなりません。空港アクセスは「まちなかに直行できるか」も大切だと教えられます。

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欧州でも国際空港に高速鉄道が乗り入れる例はいくつかあります。でもこちらは空港をターミナル駅のひとつと考えているようです。日本と違って、高速鉄道と普通の鉄道の軌間(ゲージ)が同じなので、乗り入れしやすいこともあるうえに、環境対策から飛行機移動を鉄道にシフトする動きもありますが、両者がライバル関係でありつつ、手を組んでモビリティの向上を目指していることが伝わってきます。

モノレールは日本でしか乗ったことがありませんが、中国の重慶、イタリアのボローニャなどでも運行しているようです。神戸空港に向かうポートライナーなどのAGT (いわゆる新交通システム)は、パリ郊外のもうひとつの空港、オルリー利用時に乗車しました。そして中規模の都市では、LRTを使った空港アクセスも体験しました。

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中でも印象的だったのは、まちづくりの一環としてLRT (MAXライトレール)を導入した米国オレゴン州ポートランドです。空港周辺の郊外は専用軌道を高速で走り、ダウンタウンに入ると速度を落として併用軌道を進み、空港とは反対側の郊外に向かいます。車内には自転車を立て掛けておけるフリースペースがあり、スーツケースの置き場所にも困りませんでした。

その後、私はエストニアのタリンでも空港アクセスのLRTを利用しました。フランスのニースやルクセンブルクは、訪問後に空港乗り入れが実現しました。中規模都市の空港アクセスのひとつの流れになっているような感じがします。「バスでいいじゃないか」という声も出そうですが、空港アクセスは定時性が重視されるし、路線のわかりやすさではやはりLRTを含めた鉄道が上だと感じています。

今回の発表のような、同じ都市圏の2つの空港を都心経由で結ぶルートは、上海トランスラピッドも計画があったようですが実現せず、パリのシャルル・ド・ゴール空港に乗り入れるRERはオルリー空港近くでAGTに乗り換えなければなりません。しかも日本のそれは3つの鉄道事業者が連携しているわけで、2空港を結び、そこに座席指定列車も走るというのは、画期的ではないかと思います。

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そしてもうひとつ、日本が誇る空港アクセス鉄道と言えば、福岡市地下鉄空港線を忘れてはいけません。福岡空港駅からわずか2駅で博多駅、5駅で天神駅という利便性は世界的にトップレベル。クレジットカードのタッチ決済も早期に導入しました。JR筑肥線に乗り入れて佐賀県唐津市まで行く列車もあります。日本の鉄道事業はさまざまな制約がありますが、その中で便利で快適な空港アクセスを提供しようという意志は伝わってきます。今後の提案にも期待しています。

北陸新幹線のうち、まだ開業していない敦賀〜新大阪駅間がルートで揉めています。自民党と日本維新の会は6月30日、延伸を議論する与党整備委員会の会合を国会内で開き、京都府の西脇隆俊知事、京都市の松井孝治市長から意見聴取しましたが、両氏とも国家プロジェクトとしての意義を認めたうえで、建設費の地元負担軽減や地下水などに対する住民不安の解消を訴えました。

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このブログでは昨年、佐賀市に行った際に、同じ整備新幹線のひとつである西九州新幹線を取り上げました。今回は少し前にブログで触れた鉄道技術展・大阪2026およびRDEフォーラムの帰り、用事があって金沢経由としたので、延伸区間を在来線で利用しました。そのときの印象を含めて書いていきます。参考資料として関西メディアのひとつ、読売テレビの解説も紹介しておきます。

整備新幹線の財源は、JR各社が支払う貸付料の一部を充てた残りを、国と沿線自治体が2対1で負担します。半世紀以上前に決められたこの枠組み自体、現在の東京への一極集中と地方の人口減少にそぐわないことは明らかですが、そこは「変われない日本」、残り3区間なので、このまま押し通したいという気持ちではないかと察しています。

上で紹介した与党整備委員会のヒアリングでは、松井市長が現行の小浜・京都ルートについて「われわれは誘致していない」と難色を示したとのこと。ただ国としては、こうした要望を受け入れて自治体の負担をゼロにすると、これまでの整備新幹線すべてに適用しなければ不公平なので、現実的には無理な話でしょう。

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読売テレビのニュース解説はこちら

注目は、京都府にとっては北部の亀岡市や舞鶴市が誘致しているうえに、一部のルートでは県南部の京田辺市を通ることもあって、賛成か反対かを明言していないことです。一方で東隣の滋賀県は、並行在来線が第三セクター化されることを危惧しており、県内通過は反対の立場です。これらが問題を複雑にしているような感じを受けます。

そんな中、本命と言える小浜・京都ルートとしつつ、京都市中心部を通らない経路として注目されているのが、JR西日本京都線桂川駅を経由する「桂川案」です。以前、取材で訪れたことがありますが、500mほど西に阪急電鉄京都本線の洛西口駅があり、間にあるのはイオンモール京都桂川店と陸上自衛隊桂駐屯地なので、地下駅であれば設置は大変ではないと思えるし、京都駅から2駅と近いので、新大阪駅に近い感覚で使えそうです。

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しかし今回、ブログで紹介した嵐電「KYOTRAM」に乗ったあと、JR京都駅から特急「サンダーバード」で敦賀を目指しながら、在来線活用の湖西ルートもありだと思うようになりました。私が乗ったサンダーバードは途中無停車で、敦賀まで52分。敦賀側のトンネルを新たに掘り、湖西線の悩みの種である防風性能を高めれば、満足できるのではないかと感じたのです。

理想はフル規格ですが、並行在来線の第三セクター化の問題を考えるなら、ミニ新幹線という手法もあります。法律上は新幹線ではないので、山形・秋田新幹線のように、在来線をJRで残すことも可能かもしれません。山形・秋田はフル規格の車両と併結ですが、こちらでは主に金沢駅より西側を単独で担当する形を想定しています。

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北陸新幹線に話を戻すと、整備委員会は来週、大阪府と大阪市へのヒアリングを行ったあと、17日までにルートを決める方針だそうです。ミニ新幹線のような変更は難しそうで、小浜・京都ルートを軸にしていく気がします。多くの人が賛同する決定を望みたいですが、現実的にはどれを選んでも不満は出るはずです。「北陸新幹線」という名前のとおり、延伸を待ち望んでいる北陸の人たちの気持ちを尊重して、早めに道筋を示すことが大事だと考えています。

なお今回から、Noteでも同じ内容を週明けに公開することになりました。今後、2つのメディアをどうするか、しばらく続けながら考えたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

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