3週間前のブログで、米国のテスラとウェイモが日本で自動運転を展開するという話題を取り上げましたが、これらに対する日本の自動車メーカーの回答ではないかと思いたくなるような発表が、先月17日ににありました。自動車メーカーの団体である日本自動車工業会(自工会)の定例記者会見で、自動運転がテーマとして選ばれたのです。
内容については、自動車専門ウェブメディア「webCG」でコラムにしているので、気になる方はお読みください。当日は自工会が定めた「新7つの課題」のひとつである「自動運転を前提とした交通システム確立」について、「事故死ゼロ」「移動の自由」という2つの目標を掲げました。注目は前者について、究極の目標は事故ゼロであるけれど、まずは事故死ゼロを目指していくと言っていたことです。

日本自動車工業会の記者会見の内容はこちら
とても現実的な判断だと思いました。これまでもブログで書いてきたことですが、日本は現在、年間約2500人が交通事故で亡くなっているのに、それより軽微な自動運転車の事故を大きく扱う傾向があったからです。もし事故ゼロという目標を立てたら、なにかと完璧を求めミスを許さない今の日本の風潮では、軽い物損事故を起こしただけでもプロジェクトがストップする可能性があります。
自工会でも当面は、自動運転は自家用車より、ロボタクシーを含めた移動サービスから推進していくようです。移動の自由を目標のひとつに掲げたのはを立てたのはそのためでしょう。しかしそれが軽微な事故で途絶えてしまっては、移動の自由の実現が遠のくだけでなく、技術の蓄積が無駄になってしまうわけで、損失が大きすぎます。その点でもまず事故死ゼロという目標を掲げたのは感心できます。
もちろん現時点で、一部の自動車メーカーは事故死ゼロを掲げています。しかし個人的には、有人運転では目標達成は難しいと思っています。警察庁が発表した今年上半期の交通事故統計を見ても、飲酒運転による死亡・重傷事故数は横ばいで、スマートフォンなどを使ったながら運転に至っては増え続けているからです。

飲酒運転やながら運転が原因の事故は、ドライバーの過失ではなく、故意によるものだと考えています。どんなに車両側の技術を高めても、こうしたドライバーがいる限り、事故死ゼロにならないことは明白でしょう。それを考えれば、人間が運転しない自動運転は有効だし、ながら運転の罰則を飲酒運転並みに引き上げるなどの対策を行わないと、目標はますます遠のいていきそうな気がします。
海外に目を向けると、技術以外の手段を使って交通事故死ゼロに取り組んだ都市があります。代表格がノルウェーのオスロとフィンランドのヘルシンキで、ともに国の首都であるにもかかわらず、1年間交通事故死者ゼロを達成した経験があります。人口はいずれも70万人ぐらい。日本では岡山市や熊本市に近い規模であることを考えると、驚くべきことです。

この内容は最近講演でも話したのですが、一部区域の自動車進入禁止や駐車場数削減、歩道や自転車レーンの拡充、多くの道路への時速30キロ制限導入、公共交通網の強化などにより達成したそうです。つまり車両側の技術は関係ありません。そもそもノルウェーもフィンランドも自国に自動車メーカーがないので、インフラ対策に注力したのかもしれませんが、それで事故死ゼロを達成したことに注目していただきたいと思います。
いろいろな角度から交通事故死ゼロを考えると、車両とインフラの双方を協調させながら取り組んでいくことが大事であると感じるし、技術の進化という足し算的な対策だけでなく、取り締まりの厳格化や、北欧が実践している規制強化のような引き算の対策もまた重要になりそうです。「押してもダメなら引いてみな」的な、臨機応変な対策が求められるような気がします。
内容については、自動車専門ウェブメディア「webCG」でコラムにしているので、気になる方はお読みください。当日は自工会が定めた「新7つの課題」のひとつである「自動運転を前提とした交通システム確立」について、「事故死ゼロ」「移動の自由」という2つの目標を掲げました。注目は前者について、究極の目標は事故ゼロであるけれど、まずは事故死ゼロを目指していくと言っていたことです。

日本自動車工業会の記者会見の内容はこちら
とても現実的な判断だと思いました。これまでもブログで書いてきたことですが、日本は現在、年間約2500人が交通事故で亡くなっているのに、それより軽微な自動運転車の事故を大きく扱う傾向があったからです。もし事故ゼロという目標を立てたら、なにかと完璧を求めミスを許さない今の日本の風潮では、軽い物損事故を起こしただけでもプロジェクトがストップする可能性があります。
自工会でも当面は、自動運転は自家用車より、ロボタクシーを含めた移動サービスから推進していくようです。移動の自由を目標のひとつに掲げたのはを立てたのはそのためでしょう。しかしそれが軽微な事故で途絶えてしまっては、移動の自由の実現が遠のくだけでなく、技術の蓄積が無駄になってしまうわけで、損失が大きすぎます。その点でもまず事故死ゼロという目標を掲げたのは感心できます。
もちろん現時点で、一部の自動車メーカーは事故死ゼロを掲げています。しかし個人的には、有人運転では目標達成は難しいと思っています。警察庁が発表した今年上半期の交通事故統計を見ても、飲酒運転による死亡・重傷事故数は横ばいで、スマートフォンなどを使ったながら運転に至っては増え続けているからです。

飲酒運転やながら運転が原因の事故は、ドライバーの過失ではなく、故意によるものだと考えています。どんなに車両側の技術を高めても、こうしたドライバーがいる限り、事故死ゼロにならないことは明白でしょう。それを考えれば、人間が運転しない自動運転は有効だし、ながら運転の罰則を飲酒運転並みに引き上げるなどの対策を行わないと、目標はますます遠のいていきそうな気がします。
海外に目を向けると、技術以外の手段を使って交通事故死ゼロに取り組んだ都市があります。代表格がノルウェーのオスロとフィンランドのヘルシンキで、ともに国の首都であるにもかかわらず、1年間交通事故死者ゼロを達成した経験があります。人口はいずれも70万人ぐらい。日本では岡山市や熊本市に近い規模であることを考えると、驚くべきことです。

この内容は最近講演でも話したのですが、一部区域の自動車進入禁止や駐車場数削減、歩道や自転車レーンの拡充、多くの道路への時速30キロ制限導入、公共交通網の強化などにより達成したそうです。つまり車両側の技術は関係ありません。そもそもノルウェーもフィンランドも自国に自動車メーカーがないので、インフラ対策に注力したのかもしれませんが、それで事故死ゼロを達成したことに注目していただきたいと思います。
いろいろな角度から交通事故死ゼロを考えると、車両とインフラの双方を協調させながら取り組んでいくことが大事であると感じるし、技術の進化という足し算的な対策だけでなく、取り締まりの厳格化や、北欧が実践している規制強化のような引き算の対策もまた重要になりそうです。「押してもダメなら引いてみな」的な、臨機応変な対策が求められるような気がします。





