日産自動車と三菱自動車工業が共同開発を進めている軽自動車クラスの電気自動車(EV)が、2022年度初めに発売されるというニュースが先月末ありました。実質購入価格は約200万円からとなる見込みだそうです。実質というのは、国や自治体の補助金を差し引いたあとの価格を指すのでしょう。

たしかに現在市販している唯一の軽EVである三菱自動車の商用バン「ミニキャブMiEV(ミーブ)」、少し前まで販売していた乗用車「i-MiEV(アイミーブ)」よりさらに安くなりそうです。でも一方で、200万円の軽自動車は高いと思う人もいるでしょう。 でもそれはEVだからというより、そもそも現在の軽自動車がそんなに安くはないことが影響していると考えています。

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なぜここまで高価になったのか。欧州の超小型モビリティが、普通の自動車とは異なる独自のカテゴリーとして育てられてきたのに対し、軽自動車は高速道路を走れる代わりに相応の安全性を義務づけられるなど、普通の自動車に近づけようとした結果が、価格上昇につながったと考えています。

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軽自動車はそもそも第2次世界大戦直後の1949年に、日々の移動に困る人々に寄り添った自動車を提供することを目的に誕生しました。その後の高度経済成長の中で、当初の精神が忘れ去られてしまったようですが、日々の移動に困っている人がいなくなったわけではありません。今の日本は世界最先端の高齢化社会で、運転免許返納をどうするかが議論されています。おまけに先進国の中では平均年収が低い国になり、コロナ禍で生活が厳しい人もいます。地方の移動に焦点を当てれば課題だらけです。

だからこそ、軽自動車が生まれたときの精神を見つめ直すことが必要ではないかと思います。これについてはインターネットメディア「BLOGOS」で記事にさせていただきました。そこでは欧州の超小型モビリティのように、軽自動車も2つのクラスに分けてはどうかと提案しました。仮に低速型をK1、高速型をK2とすると、K2は従来どおりなのに対し、K1は超小型モビリティの拡大版で、高速道路を走行できない代わりに安全基準を緩和し、価格のみならず税金も下げるというものです。



今年の春に山口市に行ったときに見たパークアンドライド駐車場に、「軽トラ置いてバスでらくらくおでかけ!」という言葉がありました。気になって市役所の方に聞いたところ、軽トラは高齢の農家の方が運転することが多く、子供や孫たちが遠出を心配するので、近くでバスに乗り換えてもらえればという気持ちを反映したものだそうです。

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高速道路に乗らず、行動半径を制限することを条件に、運転免許の基準を緩和すれば、高齢者の近場への足に適した移動手段を提供できるかもしれません。もちろん大都市に住む人は公共交通を使えばいいので、地域限定になりますが、地方は軽自動車がインフラに近い存在になっていることを考えると、時代に即したルールに変えていくことも大切ではないかと考えています。