「e(ええ)やんOSAKA」というプロジェクトをご存知でしょうか。大阪府、大阪大学、日本自動車工業会が共同で進めたもので、2025年までに日本国内の原付一種(50cc以下)の市場を中心に二輪EV(電気自動車)の普及を進め、バッテリーを含めた二輪EVの標準化をリードし、アジア諸国の法整備を支援する目的で進められました。

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2020年10月から大阪府で始まった実証実験は18か月にわたり続き、今年3月で終了となりました。今月4日、その成果を発表しつつ今後の展開を説明する「eやんOSAKA成果と大阪での電動二輪車とバッテリーサービス展開」がオンラインで開催されたので、その内容を紹介したいと思います。

日本では1990年代から二輪EVの試作車が作られ、2002年のヤマハ発動機「パッソル」を皮切りに、市販車も何台か送り出されてきました。しかしガソリンエンジンで走るバイクと比べると航続距離、充電時間、販売価格、使い勝手の面でユーザからの不満が聞かれたとのことです。

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そこで航続距離と充電時間の課題を解決するために考え出されたのがバッテリー交換式です。すでに台湾「GOGORO」などが実用化していますが、日本では利便性の検証、二輪EVの認知と訴求、課題の洗い出しをするために、大学やコンビニエンスストアにバッテリー交換ステーションを設置し、学生に乗ってもらうという実証実験を大阪府でスタートしました。

参加者数は130人で、車両とバッテリーの利用料は合わせて月1000円でした。バッテリー交換ステーションはコンビニ10か所、大学2か所に用意したそうです。参加者の半分以上はそれまで二輪車に乗ったことがなかったそうで、環境にやさしい、新しいものに触れたいなどの理由で参加した人が多かったようです。

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eやんOSAKAを紹介する日本自動車工業会のブログはこちら

1日の平均走行距離は3~10km 程度で、これはガソリンエンジンの原付と同等とのこと。高望みする人もいると思いますが、現実はこのレベルなのです。メリットとしては音が静かなので夜間帰宅に躊躇しなかった、デメリットでは気温によって走行距離が変わるので焦ったなどの意見がありました。EVに精通しているわけではない一般学生の声だからこそ参考になります。

実証実験で終わりにならず、本格サービスに移行したことも評価できます。今年4月、エネルギー企業エネオスと国内二輪メーカー4社の出資で、バッテリーシェアサービスの会社「Gachaco(ガチャコ)を設立。今年秋から大阪に加えて東京でもサービスを開始すると発表したからです。スマートフォンのアプリでアクセスし、リースやシェアリングの車両も対象とするそうです。

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すでにコマツの建設機械への採用が決まっているバッテリーは、、災害用電源などにも活用するとのこと。移動距離が短いことを逆に生かし、バッテリーを交換式として汎用性まで見据えた発想は、航続距離の要求に応えてバッテリーの大容量化を推し進める傾向にある四輪EVとは対照的です。アウトドアなどのレジャーシーンでも活躍してくれそうで、今後の進展に期待しています。