島根県に用事があったので、以前から気になっていた松江市に宿泊しました。中心市街地は宍道湖のほとり、もうひとつの湖である中海に向けて大橋川が流れ出すあたりに広がっており、北岸にそびえる国宝・松江城のお堀を含めて昔から水の都と呼ばれ、水辺の活用や保全を目的とした官民一体のプロジェクト「ミズベリング」に早くから参加していたことを知っていたので、訪れてみたのです。

IMG_8298

JR西日本松江駅前のホテルに荷物を置いた私は、まず大橋川に出ました。宍道湖遊覧船が発着していた乗船場の周辺は、遊歩道として整備されていました。船や対岸を眺めながら宍道湖のほうに歩みを進めていくと、宍道湖大橋の手前で白潟公園に出ます。湖畔では近所の人たちが心地よさそうに過ごしており、うらやましく思いました。翌日は北岸の千鳥南公園や松江城周辺を巡りましたが、こちらも水辺と親しめる場所が数多く用意されていました。

IMG_1636

一方ホテルで見たテレビでは、松江市の別の側面を知ることになりました。今年1月に営業を終了した松江駅前の一畑百貨店の利活用についてのニュースがあったのです。閉店から半年が経過しましたが、まだ方向性は明らかになっておらず、秋には公表できるとのこと。松江駅の反対側にはイオンがあり、特急で30分足らずの鳥取県米子市には百貨店が3軒あるので、お客を取られてしまったのかもしれません。

駅前にはほかにも気になる箇所がありました。駅前交差点に歩行者用地下道が用意されているのは、金沢駅や鳥取駅など日本海側のいくつかのターミナル駅で見たことがありますが、松江駅前の交差点には駅の反対側に渡る横断歩道がなく、地下道に頼らなければいけないうえに、ここに地下駐車場も併設されていて、なんと地下道の途中を駐車場にアクセスする車道がクロスしているのです。ここまで自動車優先の作りは最近では異例です。

IMG_8322

松江市を訪れてもうひとつ感じたのは、JR松江駅から市役所や一畑電車松江しんじ湖駅があるエリア、松江城や島根県庁があるエリアまで、それぞれ2kmほど離れていることです。これらの間はバスで結ばれていますが、地方のバスでよくあることとして、どこのバス停から出るどのバスに乗れば行けるのかがわかりにくく、レンタサイクルはありますが周遊向けなので、短時間利用と乗り捨てができるシェアサイクルがあれば便利になりそうです。

IMG_8329

帰路は松江しんじ湖駅から松江駅経由のバスで出雲空港に向かいましたが、夕刻だったこともあり、駅前通りや国道9号線でひどい渋滞に遭遇しました。中心市街地に湖があり川が多いということで、一部の道路に自動車が集中してしまっているようでした。とはいえ湖や川は松江市の魅力の源泉でもあるので、この地形を生かすモビリティを考えてほしいと感じました。

IMG_8272
松江市オフィシャルサイト「松江駅前デザイン会議」のページはこちら

松江市では一畑百貨店の閉店を機に、「松江駅前デザイン会議」を何度か開いており、現時点でも市民アンケートの結果などは見ることができます。市民の方々も松江らしさとして「水の都」「宍道湖」を挙げている人が多いので、そのあたりをイメージできる駅前にしてほしいものです。今年はJR西日本の特急「やくも」が新型車両になり、この地域はいままで以上に注目を集めているはずなので、観光で訪れる人たちが心地よく感じる玄関口を作ってほしいものです。