日本を代表する総合デザイン会社であり、モビリティ分野だけでもモーターサイクル、鉄道、バス、フェリーなど多彩な分野で活動しているGKデザイングループのことは、ブログ読者の中にも知っている人がいるでしょう。このたび同社が出している広報誌「GK Report」の最新号(No.45)で、都市交通をテーマとした対談に出していただきました。
対談の内容をはじめとする誌面については、オフィシャルサイトから見ることができます。私の発言はともかく、長年都市交通に関わってきたデザイナーの言葉はとても勉強になりました。それとともに思ったのは、数ある乗り物の中でも、LRTがもっとも景観を左右する、建築に近い存在ではないかということでした。
GK Report No.45の紹介ページはこちら
鉄道は都市部では高架や地下を走ることが多いので、車両は見えないことも多く、高架線は景観としてはマイナスに思えることもあります。バスはさまざまな自動車に混じって道路を走るので、停留所を含めて存在感はいまひとつです。その点LRTは、地上を走ることが多いうえに、車体はバスよりはるかに長くて背も高く、走る場所がレールの上と決まっているので識別しやすいうえに、鉄道よりゆっくり走ります。こうしたことから建築っぽいと感じたのです。
車両だけでなく停留場などのインフラにも同じ印象を持ってします。バスの停留所より立派な作りである一方、鉄道駅のように駅舎の内部やホームが見えにくいということはなく、停留場名や行き先などの表示まで、路上からはっきり見えます。なので車両とインフラのデザインがバラバラだと、景観として違和感を感じてしまいがちです。
私がこれまで見てきた欧州のLRT(路面電車/トラムの中で最近開業した路線)では、車両や停留場だけでなく、架線やそのための支柱に至るまで、景観の邪魔にならず、統一感のあるデザインでまとめてある事例が多くありました。LRTの車両を落ち着いた色にする代わりに、バスは逆にわかりやすいグラフィックやカラーとした都市もいくつかありました。それだけLRTは景観の一部であるという意識が強いのかもしれません。
GKデザイングループでは、富山地方鉄道の富山港線(旧冨山ライトレール)および市内電車環状線、昨年開業した芳賀・宇都宮LRTと、国内のLRTのデザインを担当してきました。双方に共通しているのは、トータルデザインという考え方です。GK Reportにも書いてありますが、モビリティ以外のさまざまなデザインを担当してきた経験を生かし、車両や停留場だけでなくサインやプロモーションなど、LRTに関係するデザインをひとつのものとして進めてきました。
おかげで富山も芳賀・宇都宮も、目に見えるすべてものに統一感があり、都市景観にすっと溶け込んでいます。同じ気持ちを抱いている人は多いのではないでしょうか。つまりLRTには機能面だけでなく、デザインによって都市景観に彩りを添える力もあると考えています。だからこそ今後も日本に新たなLRTが生まれ、GK以外のデザインスタジオが参入することで、トータルデザインが磨き上げられていくことを期待しています。
対談の内容をはじめとする誌面については、オフィシャルサイトから見ることができます。私の発言はともかく、長年都市交通に関わってきたデザイナーの言葉はとても勉強になりました。それとともに思ったのは、数ある乗り物の中でも、LRTがもっとも景観を左右する、建築に近い存在ではないかということでした。
GK Report No.45の紹介ページはこちら
鉄道は都市部では高架や地下を走ることが多いので、車両は見えないことも多く、高架線は景観としてはマイナスに思えることもあります。バスはさまざまな自動車に混じって道路を走るので、停留所を含めて存在感はいまひとつです。その点LRTは、地上を走ることが多いうえに、車体はバスよりはるかに長くて背も高く、走る場所がレールの上と決まっているので識別しやすいうえに、鉄道よりゆっくり走ります。こうしたことから建築っぽいと感じたのです。
車両だけでなく停留場などのインフラにも同じ印象を持ってします。バスの停留所より立派な作りである一方、鉄道駅のように駅舎の内部やホームが見えにくいということはなく、停留場名や行き先などの表示まで、路上からはっきり見えます。なので車両とインフラのデザインがバラバラだと、景観として違和感を感じてしまいがちです。
私がこれまで見てきた欧州のLRT(路面電車/トラムの中で最近開業した路線)では、車両や停留場だけでなく、架線やそのための支柱に至るまで、景観の邪魔にならず、統一感のあるデザインでまとめてある事例が多くありました。LRTの車両を落ち着いた色にする代わりに、バスは逆にわかりやすいグラフィックやカラーとした都市もいくつかありました。それだけLRTは景観の一部であるという意識が強いのかもしれません。
GKデザイングループでは、富山地方鉄道の富山港線(旧冨山ライトレール)および市内電車環状線、昨年開業した芳賀・宇都宮LRTと、国内のLRTのデザインを担当してきました。双方に共通しているのは、トータルデザインという考え方です。GK Reportにも書いてありますが、モビリティ以外のさまざまなデザインを担当してきた経験を生かし、車両や停留場だけでなくサインやプロモーションなど、LRTに関係するデザインをひとつのものとして進めてきました。
おかげで富山も芳賀・宇都宮も、目に見えるすべてものに統一感があり、都市景観にすっと溶け込んでいます。同じ気持ちを抱いている人は多いのではないでしょうか。つまりLRTには機能面だけでなく、デザインによって都市景観に彩りを添える力もあると考えています。だからこそ今後も日本に新たなLRTが生まれ、GK以外のデザインスタジオが参入することで、トータルデザインが磨き上げられていくことを期待しています。