昨年何度もメディアを賑わせた「物流の2024年問題」というフレーズ。もちろん今年になって解消したわけではなく、物流だけでなく移動にも関係したテーマであり続けています。とりわけバスは、それ以前から運転士不足が課題になっていたうえに、人口減少やマイカー普及などの影響を受け、新型コロナウイルス感染症で利用者が落ち込んだことなどから、トラック以上に厳しい状況だと感じています。
こうした状況を受けて国土交通省では昨年度、完全キャッシュレスバスの実証運行を実施しました。大型連休前に報告書が公表されたので、今回はこのテーマを取り上げます。ちなみに海外では国交省の資料にあるように、英国ロンドン、韓国ソウル、オランダのアムステルダム、シンガポールなどいくつかの都市で完全キャッシュレスを実現しており、現状報告なども報告されています。

今回紹介する実証運行は、昨年7月に事業者の募集を行い、翌月採択。合わせて一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款を一部改正すると、11月からの実証運行開始に向けて、プレスリリースやポスター掲示により利用者への周知を図りました。さらに実証運行中は、国土交通省側で統一の報告様式を作成し、事業者は1カ月ごとに実証運行の結果を様式に記入のうえ、報告を行ったとのことです。
実証運行には18 事業者 29路線が参加。実証運行前のキャッシュレス比率は、生活路線については多くが80%〜90%台で、100%という路線もありました。影響の少ない路線を選んだようです。一方空港連絡路線や観光路線では50%以下もありましたが、こちらはインバウンド対応という側面もありそうです。私も北欧諸国の移動で実感しましたが、通貨の違う国を複数巡ろうと考えたとき、いちいち現地通貨に替えるのは面倒だからでしょう。

さらに福岡市内を走る西日本鉄道(西鉄)の連節バスでは、以前から交通系ICカード利用者のみ、後ろの車両のドアから降りることが可能で、全面キャッシュレス実証運行でもこの方式を踏襲していました。芳賀・宇都宮LRTでも同様の取り組みがありますが、大量輸送をスムーズにこなすために有効な仕組みだと思っています。
実証運行中の利用者からの問い合わせは、半数の事業者で「なし」だった一方、3割以上の事業者は運転士の負担が減ったと答えています。逆にネガティブなポイントとしては、IC カードの残高不足、スマートフォンの電池切れ、カードのシステム障害、アプリのエラー、災害時の通信環境などが挙げられていました。

私はMaaSの書籍を複数出しているうえに、現金は落としたり盗まれたりしたら他人の物になる怖さがあるので、公共交通の利用に限らず、日常生活はほぼキャッシュレスになっていますが、今週ブログで紹介したこともある茨城県日立市のひたちBRTで自動運転の営業運転が始まったので乗りに行った際、改めてキャッシュレスを推進したいと思う出来事がありました。
当初は交通系ICカードが使えないので現金払いにしようと思い、整理券を取って乗車しました。 ところがその後、数人しかいない乗客のひとりが途中の停留所で降りる際に、小銭が足りず、高額紙幣しかないないことを申し出たようで、運転士が財布を取り出して1000円札に両替し、それを両替機で小銭にして支払うというシーンがありました。このやりとりだけでも1分ほどを要していました。
これ以上運行に影響を与えてはいけないと思った私は、スマートフォンでキャッシュレス情報を調べました。PayPayなどのQR決済は整理券を取ったあとも使用可能とのことなので、それで支払いました。その後の利用では、スマートフォンに入れているクレジットカードのタッチ決済を使用しました。こちらは整理券を取らない代わりに、乗車時と降車時にとタッチが必要ですが、反応に不満はありませんでした。

もちろん前に書いたようなトラブルの可能性はあるでしょう。そのうちスマートフォンの電池切れは利用者の責任になりますが、小銭の用意はバス停などに記してあるはずなのに、事業者の責任にする人が多いようです。しかも使い慣れた手段なので、新たに手順を覚える必要はありません。多くの利用者にとって楽な決済手段ということは言えるかもしれません。
しかしながら最初に書いたように、バスをはじめとする公共交通の運営は厳しい状況です。本来はこのブログで何度も書いてきましたが、海外のように税金や補助金主体の運営にすべきでしょう。しかし現状の制度では、合理化を推し進める以外にありません。キャッシュレス決済は鉄道のワンマン運転や駅の無人化と同じように、そのための手段のひとつであることを、多くの利用者に理解してもらいたいものです。
こうした状況を受けて国土交通省では昨年度、完全キャッシュレスバスの実証運行を実施しました。大型連休前に報告書が公表されたので、今回はこのテーマを取り上げます。ちなみに海外では国交省の資料にあるように、英国ロンドン、韓国ソウル、オランダのアムステルダム、シンガポールなどいくつかの都市で完全キャッシュレスを実現しており、現状報告なども報告されています。

今回紹介する実証運行は、昨年7月に事業者の募集を行い、翌月採択。合わせて一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款を一部改正すると、11月からの実証運行開始に向けて、プレスリリースやポスター掲示により利用者への周知を図りました。さらに実証運行中は、国土交通省側で統一の報告様式を作成し、事業者は1カ月ごとに実証運行の結果を様式に記入のうえ、報告を行ったとのことです。
実証運行には18 事業者 29路線が参加。実証運行前のキャッシュレス比率は、生活路線については多くが80%〜90%台で、100%という路線もありました。影響の少ない路線を選んだようです。一方空港連絡路線や観光路線では50%以下もありましたが、こちらはインバウンド対応という側面もありそうです。私も北欧諸国の移動で実感しましたが、通貨の違う国を複数巡ろうと考えたとき、いちいち現地通貨に替えるのは面倒だからでしょう。

さらに福岡市内を走る西日本鉄道(西鉄)の連節バスでは、以前から交通系ICカード利用者のみ、後ろの車両のドアから降りることが可能で、全面キャッシュレス実証運行でもこの方式を踏襲していました。芳賀・宇都宮LRTでも同様の取り組みがありますが、大量輸送をスムーズにこなすために有効な仕組みだと思っています。
実証運行中の利用者からの問い合わせは、半数の事業者で「なし」だった一方、3割以上の事業者は運転士の負担が減ったと答えています。逆にネガティブなポイントとしては、IC カードの残高不足、スマートフォンの電池切れ、カードのシステム障害、アプリのエラー、災害時の通信環境などが挙げられていました。

私はMaaSの書籍を複数出しているうえに、現金は落としたり盗まれたりしたら他人の物になる怖さがあるので、公共交通の利用に限らず、日常生活はほぼキャッシュレスになっていますが、今週ブログで紹介したこともある茨城県日立市のひたちBRTで自動運転の営業運転が始まったので乗りに行った際、改めてキャッシュレスを推進したいと思う出来事がありました。
当初は交通系ICカードが使えないので現金払いにしようと思い、整理券を取って乗車しました。 ところがその後、数人しかいない乗客のひとりが途中の停留所で降りる際に、小銭が足りず、高額紙幣しかないないことを申し出たようで、運転士が財布を取り出して1000円札に両替し、それを両替機で小銭にして支払うというシーンがありました。このやりとりだけでも1分ほどを要していました。
これ以上運行に影響を与えてはいけないと思った私は、スマートフォンでキャッシュレス情報を調べました。PayPayなどのQR決済は整理券を取ったあとも使用可能とのことなので、それで支払いました。その後の利用では、スマートフォンに入れているクレジットカードのタッチ決済を使用しました。こちらは整理券を取らない代わりに、乗車時と降車時にとタッチが必要ですが、反応に不満はありませんでした。

もちろん前に書いたようなトラブルの可能性はあるでしょう。そのうちスマートフォンの電池切れは利用者の責任になりますが、小銭の用意はバス停などに記してあるはずなのに、事業者の責任にする人が多いようです。しかも使い慣れた手段なので、新たに手順を覚える必要はありません。多くの利用者にとって楽な決済手段ということは言えるかもしれません。
しかしながら最初に書いたように、バスをはじめとする公共交通の運営は厳しい状況です。本来はこのブログで何度も書いてきましたが、海外のように税金や補助金主体の運営にすべきでしょう。しかし現状の制度では、合理化を推し進める以外にありません。キャッシュレス決済は鉄道のワンマン運転や駅の無人化と同じように、そのための手段のひとつであることを、多くの利用者に理解してもらいたいものです。
