昨年夏、私はJR西日本(西日本旅客鉄道)の芸備線に乗っていました。同線は3年前、JR西日本が輸送密度(平均通過人員)1日2000人未満の線区の収支率などを開示した中で、備中神代〜備後庄原間は2019年度の平均通過人員(輸送密度)が1日あたり100人以下、うち東城〜備後落合間は11人にすぎず、全国に先駆けて「再構築協議会」が立ち上げられたことで話題になりました。 

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その後、東城〜備後落合間の輸送密度は20人と少し好転しましたが、極端に少ないことは変わりなく、気になって足を運んだのです。実際は昨年のブログにあるとおり、平日にもかかわらず予想をはるかに回る利用者がいて驚かされました。なので1日3往復しかなかった列車をもう少し増やせば、現地で滞在しようと考える人が出てくるのではないかという提案もしました。

その提案が参考になったかどうか分かりませんが、先月19日から、再構築協議会による増便の実証実験が始まりました。芸備線の列車が発着する伯備線新見駅と備後落合駅、備後落合駅と広島駅の間で、土日祝日に上下1本ずつ増便するというもので、駅から観光地まで移動する周遊バスも増やしているとのこと。さらに8月21日からは平日の夕方に備後落合〜三次駅の間で運転時間の延長なども行い、地域の人の利便性向上につながるかについても調べるとしています。

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関連するニュースをいくつか読み返すと、実現にあたっては国土交通省と自治体、JR西日本の間で意見の相違もあったようです。従来はこうした溝を埋められず、議論が打ち切りとなって廃線ということもありました。今回のように、実際に走らせて効果を見るという動きは、ローカル線の存廃議論ではあまりないことです。再構築協議会がきっかけになったと言えるかもしれません。

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それでも地元住民と日本人観光客だけでは、利用者の大幅な増加は難しいかもしれません。その場合は、外国人観光客に目を向けてはどうでしょうか。芸備線はJRなので、外国人向けの「ジャパンレールパス」が使えます。しかも広島県内は呉、尾道、西条など、JRで巡るのに適した観光地が多くあります。そこに庄原を混ぜてプロモーションをしてはどうかと思っています。

川沿いを走り続けるのに線路が木に覆われて、景色があまり楽しめないことも気になりました。自然環境を害さない範囲で、沿線の樹木に手を入れてもらい、車窓からの眺望が楽しめるようにしてほしいと感じました。地域住民は線路改良による高速化も望んでいるはずですが、現在の線路のままでも、少し手を入れるだけで魅力は高まるのではないでしょうか。

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もちろんさまざまな実験を行っても、期待したほど利用者が集まらないこともあるでしょう。その場合は自動車による乗合交通への転換を考えて良いでしょう。ただ繰り返しになりますが、完璧でなくてもまず試してみるというのは、最近の日本ではなかなか目にしないマインドで、評価できることです。だからこそ、可能な範囲で挑戦を続けていってほしいと思っています。