今年8月3日に開業した、広島電鉄の新しい広島駅停留場と駅前大橋ルートを、先月見に行くことができました。JR駅を貫くように設置された自由通路から直結という利便性の高さ、国内の路面電車では最大級のターミナル、新ルートによる所要時間短縮など、機能的にも感心しましたが、個人的には路面電車を見せる、舞台装置としての演出にも惹かれました。

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広島駅停留場は、JR駅自由通路の南端にあります。自由通路は幅広く、柱は目立たなくて気持ちいい空間なのですが、停留場に着くと、さらなる開放感が味わえます。停留所のところだけ天井が高く、出口に向けてその天井がさらに高くなっていって、その先は空、という作りが効いているのです。

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駅ビルを観察すると、停留場は少なくとも2フロア分を使っていました。ビル内の駅は普通1フロア分なので、かなり贅沢です。しかも完全吹き抜けではなく、3階には発着する電車を見ることができる階段状ベンチや通路があります。ベンチには何人かが腰を下ろして、電車を眺めながらひと休みしていました。

停留所の左右にも、電車を見る場所があります。両脇にカフェが入っているので、電車を待ちながひと休みできるのです。ただ実際には路面電車はひんぱんに発着しているので、カフェで待つ必要はありません。やはり3階のベンチと同じように、電車を眺めながらひと休みできるスペースとして用意しているのでしょう。 

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停留場を出た電車は、高架線を少しずつ下り、駅前大橋のあたりで地上に降りて、まちの中心部に向かいます。もし、バスやタクシーの乗り場がある地上に停留場があったら、ファッションショーのランウェイを思わせるこのような眺めにはならないはずで、ここもまたエンターテインメント的な要素を含んでいるように思いました。

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広島駅停留場を実際に訪ねて、路面電車は広島の顔であり、このまちを代表する市内交通であることを、オール広島でアピールしていこうという気持ちが伝わってきました。日本の路面電車でもっとも長い路線を持つという量的な部分だけでなく、質的な部分でも素晴らしい取り組みだと感心しました。