電気バスに関するニュースが最近多いと感じています。私自身、国内外でさまざまな電気バスに乗ってきたので気になっているためもありますが、今回はこれをテーマに選びました。ちなみに電気バスのことを「EVバス」と表記するメーカーやメディアがありますが、EVとはエレクトリックビークル(電気自動車)の略であり、バスは乗合自動車のことで意味が重複するので、ここでは電気バスと記します。

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まずは大阪・関西万博用として150台導入され、万博終了後は路線バスなどに活用される予定だったEVモーターズ・ジャパン(EVMJ)のバスについてです。こちらは不具合が各地で発生したことから、万博閉幕後の昨年10月に国土交通省が道路運送車両法に基づく立ち入り検査を実施。その結果3分の1以上に不具合があったうえに、翌月には同社が一部車種について国交省にリコールを届け出た影響を受けて、すべての車両が大阪市内に留置されているとのことです。

EVMJは福岡県の会社ですが、車両は中国のメーカー3社で生産されたものでした。当初は福岡県内に組立工場を作り、国内生産に切り替えるとアナウンスしていた記憶がありますが、工場は今も稼働していないようです。バス事業者は国内メーカーということで契約したものの、実際はそうではなかったうえに、モビリティの肝である安全面の不具合が発生したということで、被害者と言えるでしょう。

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今週は日本国内の電気バス分野で圧倒的なシェアを誇る、中国BYDの2025年の統計結果も発表されました。総輸出台数は4234台で、電気バス輸出で3年連続世界No.1を達成したそうですが、同時に日本導入から10年で累計納車台数が500台突破したことも発表されました。BYDでさえ10年間で500台なのに対し、2019年創業のEVMJは、万博の150台以外にも全国各地にバスを導入してきており、オーバーペースではなかったかと想像しています。

EVMJとBYDを、同じ中国製としてまとめて扱う意見もSNSなどに見られますが、5年以上前から運行側で実車に触れてきた経験から言えば、BYDの信頼性、対応ともに日本車並みで、安心して使えると認識しています。なぜ日本製にしなかったのかという意見もありますが、いすゞ自動車が開発し日野自動車と合弁で設立したジェイ・バスで生産する車両が走りはじめたのは2024年で、万博の車両選定時には存在しなかったので仕方ありません。

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そんな中、今週木曜日には、三菱ふそうトラック・バスと台湾の鴻海精密工業(Foxconn)が日本国内に新しいバスメーカーを設立し、EVバス開発を推進するという発表がありました。FUSO ブランドの下、現在バスを製造している富山市の工場で開発・製造するとのことです。三菱ふそうは世界最大級の商用車グループである独ダイムラートラックに属しており、FUSOの名は90年以上の歴史があるので、日本製電気バスを望む人も満足するのではないでしょうか。

三菱ふそうは今年4月、日野自動車と経営統合し、持株会社のARCHION(アーチオン)を設立することが決まっていますが、ここまで発表されている戦略はトラックに関することであり、バスについてはしばらく、2つのブランドが独自の歩みを続けるような気がしています。だからこそ昨年秋のジャパンモビリティショーで日野が出展したコンセプトカー「ポンチョドット」に期待しています。

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ヤマト運輸などが走らせている前輪駆動の電気トラック「デュトロZ EV」をベースに、地域の移動課題解決を想定した車両で、前輪駆動であることを生かした低くフラットなフロア、サイドとリアの2カ所に用意した乗降口など、地域交通を見据えた作りに感心しました。初代「ポンチョ」はプジョーの前輪駆動商用車のプラットフォームを活用していたので、原点回帰でもあります。ぜひとも市場投入してほしいと思う1台です。