今年の夏のモビリティの話題を振り返るうえで避けて通れないのが「令和8年8月千葉豪雨」でしょう。5月に制定されたレベル1〜5で表す大雨や土砂災害の警報で初のレベル5が出され、千葉市だけでも2700台以上の車両が動かなくなり、県内では浸水した車内に取り残されるなどして4人が亡くなりました。亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

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首都圏での自然災害ということで、私も自分ごととして感じるようになり、少し時間をおいて現地を訪れました。そのときに感じたことを「東洋経済オンライン」で記事にまとめましたので、気になる方はご覧ください。また昨日はMBS(旧毎日放送)の「よんチャンTV」にコメントを出させていただきました。関西地方の方はご覧になったかもしれません。

今回まず感じたのは、自動車は雪よりも雨に弱いのではないかということです。東京では雪は降らない年もあるので、たまに積雪があるとノーマルタイヤのまま走行した車両が立ち往生しますが、多くは雪が溶ければ再び走り出します。ところが大雨で冠水した場合はそうではありません。最初に紹介した数字でおわかりのように、エアクリーナーやマフラーから水が入り込むことで、エンジンが止まってしまうことがあるからです。

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雪道のためにはスタッドレスタイヤなどの冬用装備が必要ですが、雨の日はノーマルタイヤのままで走れます。これが油断につながっているのかもしれません。雪の日に進めなくなっても、車外へ脱出することはできますが、冠水で進めなくなるような状況では、ドアを開けるのもひと苦労になります。さらに水かさが増えれば車体が浮き流されてしまうことも、千葉豪雨ではありました。

MBSの番組ではアンダーパスがテーマでした。都市部でアンダーパスが増えているのは、踏切や交差点での事故や渋滞を緩和するためとして理解できることです。そして今回、千葉市を含めたいくつかのアンダーパスで、大雪のときのような予防的通行止めが実施されることになりました。千葉豪雨では複数のアンダーパスで死者が出ているわけですから、この判断は正しいと考えています。



ただし気をつけるべきはアンダーパスだけではありません。記事にも書きましたが、「〇〇台」「〇〇丘」などの地名がある場所でも、アップダウンがあります。歩行者や自転車であれば体感でわかりますが、今の自動車では気づきにくいでしょう。しかし水は少しでも傾斜があれば低い方へ流れ、溜まっていくことを忘れてはいけません。

それを考えると、自動運転の一環として開発された高精度地図(ダイナミックマップ)は、道路とその周辺を3次元データで収録しているので、カメラやAIを連携させれば、この先にどのぐらい深い冠水があるか、判別することができそうです。自動運転やSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の技術はこのような分野にも活かせるのではないかと思いました。



 最近増えているSUVは、フロアが高めなので、冠水には強いかもしれません。ただ一部の車種がオフィシャルサイトなどに記している「最大渡河性能」には注意が必要です。700~900mmという数字を掲げたものもありますが、最大という言葉がついているとおり、さまざまな条件が揃ったときのデータで、誰もがいつでもどこでもこの性能を発揮できるわけではありません。

その点感心するのがジープ「ラングラー」で、オフィシャルサイトには「電気シールとボディシールの追加、およびエアインテーク位置の高さを確保することで、他車では渡れない川や冠水したアンダーパスの走行を可能にします」とあり、「進入前に未確認の深みがないか確認を行うこと」「水辺における運転により生じた損傷には新車保証が適用されない場合がある」などの記載があります。数字だけをアピールするだけでなく、このような注意書きも同時に記す姿勢に感心しました。

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昔のブログで、大雪の時に乗っていた車両を置いて帰ったことを書きましたが、今回の千葉豪雨で、大雨のときにもそういう心構えが大事だと思った次第です。モビリティとは移動可能性、移動のしやすさという意味で、移動することが善という意味に取れますが、何事にも限度はあるし、自然の前には人間は無力であるわけで、モビリティは権利ではあるけれど義務ではないという考え方が必要かもしれません。