THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

カテゴリ: ライフスタイル

2年に1度開催される、トラック業界では日本最大規模の展示会「ジャパントラックショー」が先月、神奈川県のパシフィコ横浜で開催されました。私はマイナビニュースの取材で初めて訪れ、いすゞグループの展示や講演を記事にしましたが、同社を含めて、近年の物流課題に積極的に取り組んでいる姿勢が伝わってきました。

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中でも印象的だったのは、上の展示です。IKEAの店内を思わせる洗練されたディスプレイのこれは、純正用品やサービスパーツを扱ういすゞA&S(アクセサリー&サービスパーツ)が参考出品した「REST +(レストプラス)」。長距離走行をするドライバーのために、脱着式テーブルや間接照明、快適なソファーベッドを備え、限られたスペースながら上質でリラックスできる環境を実現したそうです。

いすゞA&Sからは他に、エンジンを切った状態でも使える冷房装置、ベッド下のクローゼット、運転席用ラウンドカーテンなどの提案もありました。いすゞ自動車が販売している、AT限定普通自動車運転免許で運転できるトラック「エルフミオ」もそうですが、ドライバー不足の解消のために、敷居を低くして、安全快適に運転してもらおうというメッセージを感じました。



ただ先月末に発表された国勢調査の速報値でもわかるように、日本の人口は過去最高のペースで減少が続いています。こういう状況で、ドライバーのなり手だけが増えるというのは考えにくいことで、現状の物流を維持するには、外国人ドライバーを増やすしかないような気がしています。

すでにいくつかの会社が、東南アジアなどでトラックドライバーの求人に動いています。しかし海外の道路を見てきたひとりとして言わせてもらえれば、日本は道路標識が多いうえに、本標識の下にある補助標識は日本語でしか書かれていないものが多く、これらを一瞬で読解するには、単に日本語が読めるだけでは不十分だと認識しています。

それよりも手をつけるべきは、純粋に運ぶ量を減らしていくことではないでしょうか。具体的に言えば、コンビニの24時間営業をやめたりすることです。長時間の荷待ちをさせる荷主を厳しく取り締まったりすることも大事。そして東京への一極集中も悪影響を与えていると思っています。首都圏の高速道路でトラックが増え、渋滞が酷くなっていると感じるのは、全国各地から東京へ運ばれる物資が増えているからでしょう。

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もちろん自動運転も効果があります。こちらは以前ブログで、新東名高速道路での実証実験の様子を紹介しましたが、高速道路のインターチェンジの近くにステーションを設け、そこでドライバーが降りて自動運転に切り替え、目的地近くのステーションまで無人で走り、そこで待機している先方のドライバーにバトンタッチするという形になるようです。

つまりドライバーは配送センターから自動運転ステーションまでの短区間を運転するだけなので、負担が大幅に減るだけでなく、3月に新名神高速道路で起きた、ながらスマホにより6人の命を奪ったような悪質な重大事故は激減することか期待されます。

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事故と言えば、5月に磐越自動車道で起きたマイクロバスの死亡事故では、部活の遠征のためのドライバー不足が浮き彫りになりました。ここでも自動運転トラックが活用できそうです。運動部は荷物が多く、公共交通での移動は大変なので、バスを選んでいると想像していますが、荷物だけ自動運転トラックに運んでもらい、生徒や教員は送迎バスでの移動を最小限に抑えれば、安全性は高まるはずです。

個人的には、人口が減ること自体は、それほど大きな問題とは考えていません。大事なのは、人口減少に見合った社会を構築していくことだと思います。今の物流を維持しようとするあまり、トラックドライバーがさらに無理をするという構図は、重大事故をいくつも引き起こす可能性があるわけで、物流の構造を抜本的に見直す必要があると感じました。

私の事務所の近くを走る京王電鉄が、明日から2月末日まで、ポイントサービス「京王トレインポイント」のうち、鉄道乗車時の小児会員のポイント付与率を100%とし、小児運賃が実質無料(1回の乗車につき上限200ポイントまで) となるキャンペーンを実施するそうです。

通常は大人会員が利用運賃の5%分、小児会員は50%分のポイントを付与しているそうなので、もともと子どもは優遇されていたのですが、全額還元というのはインパクトがあります。ちなみに京王電鉄は昨年の夏休み期間にも、同様のキャンペーンを実施していました。

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京王トレインポイントのオフィシャルサイトはこちら
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東武鉄道「子育て応援プログラム」サイトはこちら

他にもこのようなキャンペーンを行っている事業者はあります。たとえば東武鉄道は今年1月13日から、東武グループ共通の「TOBU POINTアプリ」内で「親子登録」をすると、小児運賃だけでなく定期券の全額について、ポイントで運賃相当額を付与するというものです。これまで夏・冬・春の長期休みなどの期間限定で実施していたものを、通年に広げたものとのことです。

また東京都の多摩地域や川崎市・横浜市北部などを走る小田急バス(小田急電鉄とは出自が異なっており営業範囲もやや違っています)では、2024年4月より小児が交通系ICカードで利用した場合の運賃を、乗車区間に関わらず1乗車一律50円(一部路線を除く。深夜バスは100円)としているそうです。

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京王電鉄では、親子でいっしょに冬のお出かけやお買い物をしやすくすることをキャンペーンの目的としていて、普段マイカーで動いている人たちにも電車で出かける楽しさを知ってもらうとともに、親子で住み続けたい沿線づくりを行っていきたいとしています。

都心への便が良い鉄道沿線の自治体の人口が増えているのは、前にもブログで書きました。東京23区内のマンション価格上昇に歯止めがかからない中、通勤が確実にできて、広い家に住めることが、支持されている理由でしょう。ただ首都圏で言えば、つくばエクスプレス沿線など、特定の路線に注目が集まりがちなのも事実です。そのあたりを打開したいという気持ちもあるでしょう。

加えて京王電鉄や東武鉄道は、沿線に高尾山や日光などの観光地を擁し、動物園やテーマパークもあります。もちろんターミナルのある新宿や池袋などは都内有数の繁華街です。お出かけしたくなる要素が多彩であることも、子育て世代が移り住む理由になるのではないでしょうか。そのためにもこうした取り組みはアピールするのではないかと思います。

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子育て世帯が公共交通でお出かけするのは、大変なことも多々あるでしょう。ただし社会を知ることができるというのは、車内という閉じた空間で移動するマイカーにはないアドバンテージだと考えています。「可愛い子には旅をさせよ」ということわざのとおりで、社会に揉まれながら成長していくことは大事なことだし、それは公共交通ならではの場だと、自分自身の経験からも感じます。

海外の公共交通を見ると、パリやロンドンは日本に近い制度なのに対し、ニューヨークは親の同伴なら無料になるようです(ただし年齢でなく身長で区分)。もともと小学生の公共交通利用は限られている上に、もし日本でも小学生以下を無料とすれば、交通事業者にとっては2種類の運賃を設定する手間が省けるはずだし、少子化の中で明るいニュースと捉えられそうな気がします。

2025年最後のブログは、少し前にここで取り上げた姫路から大阪への移動で使った、JR西日本の新快速を取り上げます。これまでも私は関西に行ったときに、しばしば新快速を使っていましたが、京都〜大阪間、新大阪〜三ノ宮間など30分以内の利用でした。今回は約1時間の乗車だったので、この電車の魅力をいろいろ考えることになりました。

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姫路と大阪を結ぶ鉄道は、JR西日本の山陽新幹線と神戸線(山陽本線・東海道本線)、山陽電気鉄道+阪神電気鉄道と3通りあります。最速はもちろん新幹線ですが、今回は大阪の宿が野田駅の近くだったので、新幹線だと乗り換えが増え、所要時間は15分ぐらいしか変わらないことに気づきました。加えて費用は約3倍になります。山陽+阪神は運賃は安いですが、時間が30分ぐらい余計に掛かるうえに、直通特急は野田駅に停まりません。ということで新快速を選択したのです。

なぜ新快速は速いのでしょうか。理由としては、特別料金を取らない列車としては数少ない、最高速度130km/hでの運転を行っていることと、走行区間の半分近くになる草津〜西明石間が複々線となっていることが大きいと思いました。ちなみに我が国の特別料金不要列車が 130km/h 運転をしたのは新快速が初めてで、草津〜西明石間は日本最長の複々線区間になっているそうです。

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首都圏で姫路〜大阪間に近い距離を探すと、東海道本線の小田原〜東京間があります。複々線区間が長いところも似ています。しかし新快速が87.9kmを 61分で走破するのに対し、小田原〜東京間は83.9kmを81分かけて走ります。首都圏で130km/hを実現している路線としては、つくばエクスプレスが思い浮かびますが、58.3kmを最速45分なので、スピードでは新快速が上回っています。しかも多くの通勤車両が使うロングシートではなく転換クロスシートを採用しているので、快適性も上です。

でも新快速は特別な存在ではなく、日中は1時間に4本、15分間隔で走っています。大阪駅では両方向ともに、0、15、30、45分に発車するというわかりやすさです。これも多くの利用者を集める理由になっているでしょう。しかも最近の鉄道は運転区間の短縮という流れがある中で、全区間約275kmを走破する列車もあります。特別料金を取らない列車では日本最長距離になるそうで、この区間内であれば乗換なしで移動できるのは、ありがたいことです。

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前回の大阪万博が開催された1970年に、当時の国鉄の手で走り始めた新快速は、並行する民営鉄道への対抗として生まれました。しかしスピードでは新快速が上回ることから、ライバルは停車駅を増やし、座席指定の豪華車両を用意するなど、質を高める方向を目指しているようです。新快速も以前から「Aシート」という座席指定サービスはあり、来年春からは他の路線で好評の「うれシート」を導入しますが、後者は一般車両を活用する予定で、無理に戦わず棲み分けしようという気持ちが伝わってきます。

私が今回新快速に乗ったのは平日の夕刻ですが、姫路駅出発時点でもかなりの乗客がおり、地域に定着していることが伝わってきました。鉄道輸送の長所である高速性や定時性の高さ、低料金、長距離輸送という項目を、さまざまな挑戦によって高レベルで実現しているからでしょう。なによりも新幹線か新快速かという選択を、利用者に考えさせること自体が凄いことです。

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今年もTHINK MOBILITYをお読みいただきありがとうございました。来週は正月休みをいただきます。次回の更新は2026年1月10日の予定です。良いお年をお迎えください。

9月に日本福祉のまちづくり学会全国大会のために石川県小松市を訪れたことは以前書きましたが、そのときには福井県敦賀市にも足を運びました。JR西日本北陸新幹線の現時点での終着駅であり、開業直後から在来線との乗換時間が話題になっていたので、確かめたかったという理由もありました。

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最初に乗換について書くと、新幹線ホームから直下にある在来線特急「サンダーバード」「しらさぎ」専用ホームまでは、乗客がそれほど多くなかったためもあって5分ぐらいで着きました。あっけないと感じるほどでした。しかしそこから同じJR西日本の小浜線、以前は北陸本線だった第3セクターのハピラインふくいのホームまでは、100mぐらい通路を歩くことになります。この2路線への乗換はちょっと大変かもしれません。

私はまちに出たかったので、敦賀駅の玄関口である西口(まちなみ口)に向かいました。駅舎はさらに奥にあるので、移動距離はありますが、新幹線に先駆けて開業した「敦賀駅交流施設オルパーク」は多目的室やレンタルスペースを備え、隣接する「TSURUGA POLT SQUARE『otta』」は広場のまわりに飲食店が並び、子育てサポートセンターが用意されるなど、交流や賑わいを感じられる場でした。

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その中でも個人的に印象に残ったのが、木の枝をイメージした迷路のような書棚が斬新な「TSURUGA BOOKS & COMMONS ちえなみき」でした。日本初の公設民営型の書店であり、カフェや学習スペースも備えています。豊穣な生命力、生産力の象徴とされている木をモチーフとすることで、敦賀市に根差し、その成長と発展を支えていく知の拠点を表現しているそうです。

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まちの発展の礎になった敦賀港周辺も美しく整備されていました。敦賀港は明治から昭和初期にかけて、シベリア鉄道を経由してヨーロッパ各都市と日本を結ぶ国際拠点としての役割を担いました。その過程では、ロシア革命により家族を失ったポーランド孤児や、ナチス・ドイツの迫害から逃れるべく杉原千畝氏の発給した「命のビザ」を携えたユダヤ難民の受け入れという出来事もありました。

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かつて敦賀港駅があった場所には、こうした歴史を後世に伝える「人道の港 敦賀ムゼウム」があります。そして海辺に広がる緑が心地よい金ヶ崎緑地を挟んで西側には、敦賀港駅舎を再現した「敦賀鉄道資料館」が、欧亜国際連絡列車や国内最初の本格的交流電化の足跡を資料や写真で紹介しています。

ちなみに貨物線が廃止になったのは2019年とつい最近のことで、今も線路は残されています。敦賀市ではここを観光に活用すべく、廃線跡をJR貨物から購入し、今年度末までに整備の方向性を定めるそうです。敦賀駅から港までは約2kmあり、徒歩ではきつく、バスやシェアサイクルを使うことになるので、北九州市の門司港のようにトロッコ列車を走らせれば、観光客だけでなく地域の人たちにとっても便利になるでしょう。

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敦賀港イルミネーション「ミライエ」の紹介はこちら

そんな敦賀港では今月3日から、毎年恒例となっているライトアップ「ミライエ」が始まりました。金ヶ崎緑地周辺がイルミネーションで覆われる光景は写真で見ただけでも引き込まれます。時間は18〜21時で、11月中は毎週金土日曜日と祝日、12月は毎日点灯するそうです。乗換ばかりが取り上げられがちですが、まちづくりも注目の場所であることは覚えておいて良いのではないでしょうか。

日本には島がいくつあるか、知っていますか? 6,852島と答える人がいるかもしれませんが、これは1987年に海上保安庁が公表したもので、2年前に国土地理院が数え直したところ、14,125島と倍以上になりました。測量技術の進歩で、地図に描かれた陸地のうち、自然に形成されたと判断した周囲長0.1km以上の陸地を対象に数えたことが、倍以上になった理由だそうです。

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離島と呼ばれるのはこのうち、北海道、本州、四国、九州、沖縄本島以外で、ほとんどは無人島ですが、400あまりの島には人が住んでいます。そのうちのひとつ、静岡県熱海市の初島に、下の写真にある新しい高速船を就航し、観光施設も運営する富士急行のプレスツアーで行ってきました。船や施設はAUTOCAR JAPANの連載で取り上げましたが、当日はそれ以外の案内もしていただいたので、離島のモビリティというテーマで紹介していきます。

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初島は熱海市の中心部から10kmほど離れた相模湾にあり、人口は220人ぐらい。観光業のほか漁業、農業に従事する人が住んでいるようです。一周4kmほどなので、自転車で十分と考える人がいそうですが、現実にはそれは大変です。灯台がある最高峰の海抜は51mあるので、海沿い以外はほとんど山道だからです。公共交通も存在しないので、現地の人の移動手段は原付と軽トラックがメインでした。

気になったのは燃料となるガソリンです。電気や水道は本土からケーブルやパイプで供給され、携帯電話は灯台の近くに基地局がありましたが、高速船は車両は積めず、燃料の運搬もできません。島の外に行く必要がないので、原付と軽トラックという選択になるのかもしれませんが、ガソリンは専用の船で運んでいるそうで、海が荒れたりすると供給はどうなるのか、不安を抱きました。



島内は低速短距離移動なので、電動のほうがいろいろな面で便利そうです。ただ海岸を離れるとすぐに坂道が始まるうえに、熱海市は高齢化率が50%近くと、静岡県の市でもっとも高いことを考えると、私が体験した車両では、3輪あるいは4輪の特定小型原付がふさわしいと感じました。大都市では批判が集まっている特定小型原付ですが、初島のような場所にはむしろマッチしていると感じました。

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自動車は移動よりも、農産物や鮮魚などの運搬が主な役目になりそうなので、軽トラックが適役です。ただし島内はもちろん高速道路はないので、以前ブログで書いたように、高速道路を走行不可能とする代わりに保安基準を緩和し、価格を下げた車両があれば、そのほうが望ましいでしょう。

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過去に訪れた島を思い出しながら、初島を巡って、100の島があれば100通りのモビリティが求められると感じました。住民が少なく、土地が狭く、産業が限定されることが関係しているでしょう。軽トラックや原付は大量生産なので、地域のニーズに対応しにくい面があります。日本は島国であるわけですから、法規面でも構造面でも、もう少し離島の生活に柔軟に対応できるようになって良いのではないかと思いました。

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