今週11日、政府によるデジタル行財政改革の取りまとめ案が判明しました。このなかでは自動運転について、特定の条件下で人が運転に関わらない「レベル4」を2025年度までに全都道府県で推進するとしています。ライドシェアについてはタクシーだけでなくバスや鉄道などの運送事業者が参入できるよう検討を始めるとしています。ライドシェアは前回触れたので、今回は自動運転に絞って書きます。
政府によれば、自動運転の推進は急激な人口減少社会に対応するためとしていますが、このブログでも何度か書いてきたとおり、バスやタクシーの運転手不足は深刻であり、働き方改革でさらにそれが加速していることも関係しているでしょう。一般のドライバーが移動を補助するライドシェアとともに、運転手なしで移動できるサービスの提供は喫緊の課題だと思います。
これに先駆けて日産自動車では今月初め、自社開発の自動運転技術を搭載した新世代の実験車の走行を公開しました。日産は2017年度より自動運転モビリティサービスの実証実験を進めており、2027年度より自治体や交通事業者を含む関係各所と協議したうえで、サービスの提供を目指していくとしています。
日産自動車のニュースリリースはこちら
そんな中、日産とアライアンスを組むフランスのルノーは、レベル4の開発の主軸を自家用車からバスなどの公共交通に移し、自家用車向けの同技術の開発は進めない方針を発表しました。最近はレベル4移動サービスに積極的な自動車会社がいくつかありますが、ここまではっきり言及したのは珍しいのではないでしょうか。すでに中国WeRideと共同開発した車両が、全仏オープンテニス(ローラン・ギャロス大会)に投入されており、今後は同じフランスのEasyMileなども加わるそうです。
ルノーのニュースリリースはこちら(フランス語)
たしかに現在のアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)や車線維持支援などのレベル2またはレベル2+を体験すると、これで十分であり、一段階上のレベル3はコストが跳ね上がるわりに作動範囲が限定されていることも知っているので納得です。ルノーでは、イノベーションはできるだけ多くの人々に共有され、経済的に利用しやすく、有用でなければ意味がないとしており、フランスらしい考えだと感じました。
自動車の安全技術は年々上がっているのに、交通事故の死者はここ数年ほぼ横ばいで、昨年は増加に転じました。最近の事故のニュースを見ると、「前を見ていなかった」という、驚くべき報告がいくつもあります。おそらくスマートフォンを見ながらの運転だったのでしょう。レベル3はシステムが運転の交代を要請してきた場合、人間が運転を引き継がないといけないので、こういう人は交代に応じない可能性が出てきます。
しかも自家用車は所有者が日常点検などをしなければいけないことが、法律で決められています。これはレベル4でも引き継がれると予想していますが、すべてのドライバーが自動運転に対する知識を持ち、点検を行うシーンは、残念ながら期待できません。それを含めて考えても、レベル4は移動サービスとしての展開が妥当です。かつて「自動運転があれば公共交通はいらない」と言っていた人がいましたが、今は「自動運転は公共交通のためにある」という流れなのです。
政府によれば、自動運転の推進は急激な人口減少社会に対応するためとしていますが、このブログでも何度か書いてきたとおり、バスやタクシーの運転手不足は深刻であり、働き方改革でさらにそれが加速していることも関係しているでしょう。一般のドライバーが移動を補助するライドシェアとともに、運転手なしで移動できるサービスの提供は喫緊の課題だと思います。
これに先駆けて日産自動車では今月初め、自社開発の自動運転技術を搭載した新世代の実験車の走行を公開しました。日産は2017年度より自動運転モビリティサービスの実証実験を進めており、2027年度より自治体や交通事業者を含む関係各所と協議したうえで、サービスの提供を目指していくとしています。
日産自動車のニュースリリースはこちら
そんな中、日産とアライアンスを組むフランスのルノーは、レベル4の開発の主軸を自家用車からバスなどの公共交通に移し、自家用車向けの同技術の開発は進めない方針を発表しました。最近はレベル4移動サービスに積極的な自動車会社がいくつかありますが、ここまではっきり言及したのは珍しいのではないでしょうか。すでに中国WeRideと共同開発した車両が、全仏オープンテニス(ローラン・ギャロス大会)に投入されており、今後は同じフランスのEasyMileなども加わるそうです。
ルノーのニュースリリースはこちら(フランス語)
たしかに現在のアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)や車線維持支援などのレベル2またはレベル2+を体験すると、これで十分であり、一段階上のレベル3はコストが跳ね上がるわりに作動範囲が限定されていることも知っているので納得です。ルノーでは、イノベーションはできるだけ多くの人々に共有され、経済的に利用しやすく、有用でなければ意味がないとしており、フランスらしい考えだと感じました。
自動車の安全技術は年々上がっているのに、交通事故の死者はここ数年ほぼ横ばいで、昨年は増加に転じました。最近の事故のニュースを見ると、「前を見ていなかった」という、驚くべき報告がいくつもあります。おそらくスマートフォンを見ながらの運転だったのでしょう。レベル3はシステムが運転の交代を要請してきた場合、人間が運転を引き継がないといけないので、こういう人は交代に応じない可能性が出てきます。
しかも自家用車は所有者が日常点検などをしなければいけないことが、法律で決められています。これはレベル4でも引き継がれると予想していますが、すべてのドライバーが自動運転に対する知識を持ち、点検を行うシーンは、残念ながら期待できません。それを含めて考えても、レベル4は移動サービスとしての展開が妥当です。かつて「自動運転があれば公共交通はいらない」と言っていた人がいましたが、今は「自動運転は公共交通のためにある」という流れなのです。